F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第10回:マイアミGP

 初開催のマイアミGPです! フロリダ州にあります。

 日本風にいう白バイなんですが、アメリカでお巡りさんのバイクを見ると、白バイ野郎ジョン&パンチとイメージが一緒になってしまうのは僕だけでしょうか?

 木曜日の様子から始めたいと思います。

 木曜日にトラックウォーク中の角田選手御一行。

 とにかく、暑い! 気温は33℃くらい。

 アルファタウリチームは木曜日にトラックウォークをやります。

 フェルスタッペン選手は自転車で下見です。

 14コーナー付近は狭くてクネクネです。写メを撮って後で検証するんでしょうか?

 ボッタス選手も自転車。

 メルセデスにいた昨年よりも伸び伸びしている感じですし、成績もいい感じですよね!

 今回はWシリーズという女性だけのフォーミュラレースの開幕戦でもあります。

 日本人の野田樹潤選手。

 お父さんは、ご存知の方も多いと思いますが、元F1ドライバーの野田英樹さんです。お久しぶりです。

 お父さんと少し話したのですが、今年は勉強の年として来年に結果を求めるという感じで考えていますとのこと。

 結果は予選18位、レース1が12位、レース2が15位と、なかなかリザルトだけを見ると厳しいものがありました。

 Wシリーズ独特の難しさと、乗り慣れていないクルマ、そして初めてのコース、30分しかないプラクティスということになりますが、同じ条件で全員が戦うという大前提の前で、今年1年でどれだけ伸びていくのか、僕は楽しみにしています。

 なにしろ今年1番の暑さだったので、冷却の対策が施されていました。

 でも、この写真は金曜日の走行前ですので、さらに変更があったものと思います。

 アストンマーティン。

 ウイリアムズ。黒い部分は軽量化のために塗装をしなかった部分です。

 アルファ ロメオ。ルーバー増し。

 ハースも増してました。

 レッドブルは、実際の走行時のは、穴の面積が増えてました。

 メルセデスもこんな感じです。各チームそれぞれ工夫しています。

 これはアルピーヌのホイールカバー。Miami仕様ですね。

 アルファタウリ、今年の勢力図でいうと、レッドブルとフェラーリが首位争いをして、ウイリアムズが一番下にいて、そのほかのチームはサーキットによって上下しながら激しい中段グループの戦いという感じでしょうか?

 今年から、HONDA改め、レッドブル・パワートレインズになったわけですが、当然日本のSakuraから派遣されている日本人の方々も頑張っていますよ!

 背中にはHONDAの文字もありますし、ガレージの中の壁面にもホンダのロゴは健在です。

 最近、ポルシェとアウディがF1の参戦を決めたとかの報道があります。

 ポルシェがレッドブルと手を組むという噂もあるじゃないですか……。

 ここからは僕の想像ですけどね、もし、そうなったらですよ、ホンダの汗と涙と愛情がたっぷり詰まった、宝物のようなPUの中身が少なからず、ポルシェさまの設計や開発の手助けをすることになるんじゃないかと思うんですよね……。

 レッドブルからすると、即強力な完成度&パフォーマンスを持ったPUが必要なわけですからね。

 そういう流れは、そりゃそうなるわけで……なんで、そうなるんでしょうね……。

 過去、何度も繰り返してきたことですけどね……もったいないといいますか、残念ですなあ……本当にね……。

 まあ、僕の勝手な想像のお話ですけどね。

 でもね、ポルシェって会社の規模からしたら、ホンダと比べたら小さいでしょ、随分小さいと思うんですよ。その予算でできるのにですよ、なんでホンダが継続ということすらできないんでしょう??

 もったいない。

 まあ、ポルシェもアウディも正式な発表もないのに、こんな想像をしても仕方ないんですけどね。

 あ~あ。

 現代の最も速いマシンを作っている人の手には、いつもこの赤いノートとペンがあります。iPadではないんですよ。使い込んでいます。

 エイドリアン・ニューエイさん。

 今回は、スペシャルカラーのヘルメットが多かったですけど、アメフトチームのマイアミ・ドルフィンズの本拠地が、ここハードロック・スタジアムですから、ノリス選手のヘルメットがこうなったわけです。

 FP1の時のハミルトン選手のガレージ。

 今回のメルセデスはFP2で最速タイムがラッセル選手でした。復調したのかと思ったんですけどね……。

 FP1終わりに、タイヤとお話ししている今井さん。ハンバーガーを食べる時間を削ってのお仕事。

 ここのサーキットは、スタジアムのまわりにコースを作っているわけです。

 ですから、F1が終われば、駐車場に戻されちゃうわけです。

 ワンミスが即、壁ドン。サインツ選手が目の前でクラッシュ。

 モータースポーツにはクラッシュがつきもの。

 ものすごく速い乗り物を人間が操縦して、ヨーイドンするわけですから、単独も複数台が絡むこともあるわけです。

 ほとんどの場合は怪我もなくて済んでいるんですけれど、スピードが速かったり、運がわるかったりするとドライバー、ライダーが怪我をすることもあるし、命を落とす危険性も0%にはできません。

 昔に比べれば、2輪、4輪ともに格段に安全性は高まっています。しかし、どうしても0%にはできません。

 先日の富士のSUPER GTでも事故がありましたが、あれも誰がわるいわけでもなく、モータースポーツである以上、確率的に起こってしまうことです。

 例えば10km/hで走れば、あのような事故は起こり得ないわけですけど、そうではないわけですのでそれを踏まえた理解で楽しむスポーツだと思います。

 もちろん、原因になる事象は存在しますし、後からそれを特定もできるでしょう。

 でもSNSで特定の選手やチームを批判したりするのは、違うのではないでしょうか?

 大事なのは、命をかけてレースをしている選手へのリスペクトだと僕は思います。

 Gのかかる所の路面が剥がれてしまうということがあって、路面の補修が行なわれたコーナーがいくつかあったようですが、初開催ですからね。致し方ないのかな。

 パドックには、たくさんの人が訪れていました。バブル期のようなにぎわい。

 誰も、マスクをしていません。僕も3日間、マスクなしで過ごしたのは久しぶりです。

 でもやっぱり、狭いフォトグラファーズシャトルの車内で大声で話すカメラマンの中にいたりすると時々不安になることもありました。

 マスクしていれば大丈夫かといえばそうでもないんですけど、ず~っとマスクしていたわけですからね……。

 15コーナーの向こうには、高速道路を走るクルマが見えたりしていました。

 グリッドでの角田選手。少し不安そうに見えるのは気のせいかな?

 12位でした。うまくいきませんでしたね。

 スタートです。たくさんのお客さんで、どのスタンドも満席でした。

 勝ったのはフェルスタッペン選手でした。レースペースはフェラーリより速かったですね。

 素晴らしいレースを見せてもらいました。

 5位には予選12位から追い上げてラッセル選手。

 そして、予選18位のアルボン選手が10位で1ポイント獲得。素晴らしい!

 グリッドで、テニスのウイリアムズ姉妹。迫力ありあり!

 次戦は、ヨーロッパに戻ってスペイン&モナコの連戦です!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。