F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第14回:モナコGP

 ハースの小松さん。

 マイアミ&スペインで流れがよくなくて……。

「うまくいきませんでした……じゃ済まされないくらい、うまくいきませんでしたね。だからこそ、モナコではどうにかポイントを取らなければなりません、クルマのポテンシャルはいいと思うのでどうにかしたいです」と、木曜日に話したんですけど……。

 今回も、ポイント獲得は可能なポテンシャルはありましたよね……。

 トンネルを出たところ、モナコで最高速が出るあたりです。

 トンネルの中は右高速コーナーとなっています。

 僕が最初に来た1992年のころは、アウト側に3枚の高さのガードレールがあって、金網などなくて、もっと暗くて、エンジンの爆音で耳栓なしでは3分もたなかったし、写真を撮るのが世界一怖かった場所でした。

 今は、エンジン音も静かで、耳栓なしでもなんとか大丈夫だし、高い塀で全く怖くないです。

 毎年のことですけど、湾内には豪華クルーザーが並びます。

 でも、どうなんでしょう? F1を見るにはあまり適さない場所でもあるかもしれません。

 でも、まあいいのかな? そんなことより、リッチな雰囲気を楽しむということなんでしょうね。

 モナコは、ガレージとホスピタリティーが離れているので、台車でランチが運搬されています。

 FP3にピットに行ってきました。3度目のモナコになる角田選手。

 ガスリー選手も、なんとかいい成績がほしいところです。

 土曜日、すでに満員のお客さんです。

 王宮下の崖石にも多くのお客さん。モナコならではの雰囲気。

「プリンセス・グレース通り」の銘板がありました。その場所は、フェアモントヘアピンでした。

 ポルティエの立ち上がりの海側は、ますます工事中でした。

 きれいな海が見えたんですけどね。変化していくんです。

 そのポルティエで予選を撮っていたら、ペレス選手がクラッシュしたところへ、なんとサインツ選手が避けきれず……。

 コースをふさいでしまいました。2人とも残念な予選となりました。

 サインツ選手の残念な気持ちが、距離があるんだけど、伝わってきました。

 なんて、ついてないんだろう……。

 なんでこうなるんだという気持ちでしょうね。

 でも、レースでは、そんな思いも少しは和らぐ結果になりました。

 日曜日は雨予報ということで、土曜日の夕方には雲が出てきました。

 日曜日、ドライバーズパレードに向かうハミルトン選手。

 どんな気持ちで戦っているんでしょうか。ラッセル選手との差が、気になります。

 気になるのは、リカルド選手も同じ。

 土曜日にはクラッシュしてしまうし、ノリス選手に追いつけないセッションが続きます。

 フェルスタッペン選手には笑顔が多く見られました。落ち着いている感じ。

 ドラパレが終わってラッセル選手と話す、角田選手。

 そして、日曜日。

 レース開始直前に雨がポツポツ。冷たい風がビュンビュン。そして、ザーザー降りで赤旗……。

 いい感じの雨のモナコのレースってなかなかないです……。期待したんだけど。

 ガスリー選手が早めにタイヤ交換。インターでガンガン追い上げるという気持ちが見える走りでした。

 路面はあっという間に乾いていきます。

 そして抜けないモナコ。連なります。

 レッドブル、今年のマシンの特徴がよく分かる角度。もう、見慣れてきましたよね。

 ペレス選手、サインツ選手、フェルスタッペン選手という順番でレースが進みます。

 カジノ前。建物の修繕が進んできれいになってます。

 毎年ここの屋上にセレブな方たちがいらっしゃいます。

 そして、表彰台へ。

 体調が心配された、シャルレーヌ王妃と子供たち。お元気そうで何よりです。

 ペレス選手のモナコ初優勝! “特別な”という形容詞が必ずつく、モナコでの優勝はうれしい!

 メキシコ国歌が流れると……。

 涙があふれます……。

 うれしい。

 そんな姿を見ていると、こちらもやっぱりうれしい。

 おめでとう!

 フェルスタッペン選手と。

 いいレースでした。

 これで、来季もシート決定かな??

 ルクレール選手にとっては、残念なモナコとなってしまいました。

 速さも強さがあっても、勝てないときは勝てない。そんなレースでした。

 サインツ選手にとっては、よかったです。これで、いい流れに乗れるといいですね。

 今年のモナコは満員のお客さんでにぎわいました。新型コロナの規制が世界中で解かれて、イベントに出掛けるお客さんがいっぱいいるということです。

 観客がたくさんいることで、その現場の雰囲気が盛り上がります。経済も動きます。

 平和さえ保てれば、動き始めた世の中を感じることができそうです。

 次戦は、アゼルバイジャン。平和という意味では微妙な雰囲気もありますけどね……。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。