F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第19回:イギリスGP

 サインツ選手がF1初優勝です!

 表彰台でスペイン国歌を聴きながら、目を閉じます。どんな想いを巡らせているんでしょう。

 忘れられない、2022年のイギリスGP。スペイン国旗を背負っていい笑顔です。

 アロンソ選手がパルクフェルメでお祝いにきます。

 大先輩、スペインの英雄でもあるアロンソ選手とサインツ選手は師弟関係でもあります。

 土曜日の予選は雨の中で行なわれました。

 ポールポジションを獲得。これも、自身初ポールだったんです。

 今回は、サインツ選手のグランプリでしたね。

 予選2位はフェルスタッペン選手。3位にルクレール選手。

 この時のフェルスタッペン選手のインタビューでは、満員の観客席からブーイングが起こりました。

 まあ、このブーイングというのは聞こえてくるといい気持ちはしませんね、僕はね。

 観客席に「1?」という文字を掲げる人がいます。

 ここはイギリス、ハミルトン選手の国。

 それは、イギリス人ドライバーを応援するファンが多いわけで、日本GPに角田選手を応援したいファンが多いのと全く同じなんですけど、ブーイング=その対象選手のことを気に入らないという表現です。

 昨年の最終戦のチャンピオン獲得のプロセスが納得いかないというファン心理は分かります。

 でもだからといって「お前は嫌いだ!」というような声をわざわざ上げる必要があるんでしょうか?

 スポーツ選手にとって、競技を一生懸命に取り組んでいる最中に、そんな声を耳にしたらショックを受ける選手もいると思います。

 まあ、世の中から差別や大きく言えば、戦争までやってしまうのが人間ですからね……。少なくとも、日本GPでは、ブーイングは聞きたくはないですよね。

 スタートは2コーナーに行きました。

 フェルスタッペン選手がトップで現れたんですが、その後ろをものすごい勢いで滑っていく周選手のアルファロメオ。この位置からは、何がどうなったのか全く分かりませんでした。

 直後の様子。

 角田選手もフロントウイングを破損しながらゆっくりと走っていきました。

 ラッセル選手が、すごい勢いで走っていくのが見えました。

 レース後にモニターを見て、ジョー選手のもとに駆けつけていたんですね。多重クラッシュでしたけど、大きなけがをする選手が誰もいなくてよかったです。

 ヘイローが大きな意味があるのだと、再確認。

 2位にはペレス選手。また、いい仕事をしました。

 予選の最終コーナー。カウンターステア。

 ここまで横を向いてしまうとタイムロスになりますけど、絵的には大変好ましい……。

 3位にはハミルトン選手。後半のサーキット全体の盛り上がりは、ハミルトン選手の走りのおかげです。

 スタートの後、僕はピットウォールに向かいました。

 長い赤旗中断でしたので、ピットでたくさん選手の表情を撮ることができました。

 マシンの修復もできて、ここまではラッキーも味方していてくれた角田選手。

 グリッドでの角田選手の様子。ちょっと、不安要素でもあるのかなという表情でした。

 再スタートの様子、1コーナーの入り口です。

 こちらはガスリー選手。再スタート後に、角田選手と同士討ち……。

 カナダとイギリスは、うまくいきませんでした。過ぎてしまったことは仕方ない。これから挽回しましょう!

 レッドブル陣営。そこにペレス選手もいたんですけど、ガレージに戻ってしまいました。

 モニターを見たりしながら、フェルスタッペン選手はずっとピットウォールにいました。

 角田選手とガスリー選手の接触で落ちたデブリがフェルスタッペン選手のマシンのフロアを壊してしまってペースが上がりません。7位になるのがやっとでした……。

 もちろん、ランキングはトップのままですが。もったいないレースでした。

 ハースの小松さん。ようやくホッとしたんじゃないでしょうか? シューマッハ選手が8位、マグヌッセン選手が10位とダブル入賞!

 予選が今ひとつだっただけに、レースの作戦がうまくいったのかな。よかったです!

 吉田メカニックの硬い表情なんですけど、むっちゃ喜んでいたんですよ! よかったよ!

 この3日間の天気はこんな感じでした。猛暑の日本からすると、肌寒いシルバーストーンでした。まあ、イギリスっぽい天気ということですね。

 ルフィールドの外側にも立派な観客席ができていました。多くのお客さんが来場してました。

 毎年書いているんですけど、伝統のイギリスGPは、お客さんの雰囲気がとってもよくて、交通の便がわるいけれど、その雰囲気を多くの日本人ファンの方々にも来てもらって感じてほしいなあって思うんです。けれど、今年のブーイングの多さにはちょっとがっかりな感じもしました。

 F2の岩佐選手がレース1で2位でした! 雨の中の難しいレースでした。

 パルクフェルメで「もう少しだったじゃないか!」って感じでしょうか。

 トップのドーハン選手をどんどん追い上げたんだけどもちょっとだけ周回数が足りませんでしたね。

 山本さんと。次回こそ1位という意味の1!

 やったね!

 でも日曜日のレース2は、4位を走っていたんだけど、ピットインでのタイヤ交換に手間取ってしまってノーポイント……。これも、致し方ない。

 Wシリーズの野田選手。

 予選16位、レースも16位でした。上位は遙か彼方です。

 マシン、体制など同条件のはずのカテゴリーですけど……去年の小山選手も同じような悩みを抱えていたように思います。

 レッドブルのマシン。少し形状が変更になってます。

 ウイリアムズもアルボン選手だけ変更になってました。

 ホンダの本橋さんと元ホンダで今はレッドブルのマーケティング担当の鈴木さん。

 この、競争激しいF1の世界でこうして日本人が活躍してくれていることが、僕は嬉しいのです。どんどん、日本人が活躍してほしい。

 BUZZの長谷川さん。今回から2年半の契約を締結してアルファタウリのマシンなどにロゴがあります。

 日本企業のスポンサーロゴがどんどん少なくなっている今、勢いを感じます。若手育成にも力を入れてますから、ゴーカートを走っている若い人もどんどん売り込んでみてはいかがですか!

 ウイリアムズにベッテル選手が乗っています。なぜなら、ベッテル選手が買ったマシンだからです。

 いい音してました。キヤノンの文字が素晴らしい!

 このマシンでチャンピオンを獲得したのは、ご存知この方、マンセルさんです。

 パドックを歩いていたら、なんと見たことのあるロゴのTシャツ。さすが、イギリスであります。

 チョイス・オブ・レーシング・エンスージアストですから!

 イギリスGPは、盛り沢山で盛り上がりました!

 キレイな光があるし、雲も美しいんです。ただ、天候が安定しないし、雨が降って寒いというシルバーストーン。来年は、観戦いかがでしょう!!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。