F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第23回:フランスGP

 暑いフランスGPでした。時系列でいきたいと思います。

 木曜日、まだのんびりムードのサーキットでは、レッドブルのスタッフが路面の状況を測定しています。

 まあ、大半のチームがこれを毎レース、1周回りつつ測っているんですが、ポールポジションの位置のちょうどリアタイヤがある場所を測定しているのがさすがだなあって思いました。この測定値や気温、湿度、タイヤのコンパウンドなどでスタートの良し悪しのセットアップが決まっていくんです。

 ちなみに、この後、2番グリッドも測定していました。

 このように、細かなことの積み重ねで順位が決まっていくんです。

 パドックでは、水鉄砲で動画の撮影をしていたりします。

Photo by Peter J FOXさん

 金曜日のFP1の前に、僕がアルファタウリのガレージ前で角田選手を待っていて、少しお話ししたところを知り合いのカメラマンに撮ってもらいました。

 金曜の朝、サーキットに向かう道中、途中から僕らの前をドイツナンバーのホンダのType Rが走っていたんです。少しだけワインディングロードがあるんですけど、そこのラインどりとか、かっこいいわけです……。なかなかうまいなあ……って思ってたんです。

 そして少し渋滞した時に、Type Rのドライバーが手を振ってくれたんですね。

 尾張さんと、誰なんだろうね?って話してたんです。

 そしたら、それ、僕だったんですと角田選手に言われた瞬間の写真というわけです。

 まあ、そりゃ、運転うまいわけだわな……。

 暑い、本当に暑い。ので、各チーム、排熱の工夫がカッコいい。

 ルクレール選手のヘルメットは、思い出写真がちりばめられています。モナコ出身ですけど、フランスみたいなものだから、こちらでも大人気です。

 ニューエイさんの赤ノート。中身を見てみたい!

 FP1のハミルトン選手号は、ニック・デフリース選手が乗りました。金曜日のタイムはあくまで参考程度ですけど、9番手タイムを計測しました。

 セッションが終わって、アンジェラさんとの様子がほほ笑ましかったので……。

 ね。いい雰囲気でしょ。

 いい仕事したわね! って感じかな。

 トトさんと。雰囲気からすると、いいテストセッションとなったようです。

 F2の岩佐選手。走り出しから好調でした。

 フランスF4時代を含めて、このコースは走り慣れています。

 予選は、0.006秒差で2位!

 ポール取ったって思ったんだけどな。まあ、好調なのは間違いない。

 土曜日のレース1は、リバースグリッドになるので9番手からスタート。レース後に上位にペナルティが出たりして、6位入賞となりました。

 そして、大事なレース2。スタートはドーハン選手に先行されるけれど……。

 戻ってきた時にはトップでした! そこから、フルプッシュで後続を引き離しにかかります!

「ラスト14周くらいは、本当に早く終わってくれ~~~って気持ちでドライブしてました」という岩佐選手。堂々のレース2で、F2初優勝を飾りました!

 嬉しそうでしょ! 僕も、むっちゃ嬉しかった!!

 表彰台。角田選手のF2と同じように、日本人ドライバーがテッペンを取るというシーンはジーンとくる!

 デジタル表示になっちゃった日の丸を背負ってます。

 ついこの前のオーストリアでは、やっぱり噛み合わなくて、すごくすごく悔しそうにしていた岩佐選手。

 今回は、走り出しから全て完璧にまとめ上げることができました。

 これはもちろんチームの頑張りもありますし、そこに岩佐選手の頑張りと、コミュニケーションが取れていて、ミスなく戦えたということです。その全てを、まとめ上げる大変さが今年に入って続いていたのでホッとした感じもあります。

 シャンパンファイトのシーンも今後たくさん見たいですね。

 ARTの2人に挟まれてますけど、ダムスというチームを今引っ張り上げているのは、岩佐選手です。

 やったぜ! 今シーズン、この後も皆さん注目してくださいね!

 そして角田選手。アルファタウリのアップデートが入ったのが効いて、予選8番手を獲得!

 嬉しい!

 予選の速さを示すことも大事です。

 フランス、地元GPのガスリー選手。角田選手の好調とはかけ離れた、予選16位と沈んでしまいました。残念極まりないでしょう。

 この写真は、レース直前にトストさんと冗談を言い合う様子。トストさんの気遣いでしょうね。

 レースでもペース上がらず、12位となりました。

 久しぶりのトップ10入りのグリッド。期待は膨らみましたよね。

 予選8番手からスタートした角田選手は、オープニングラップのシケインでオコン選手と接触、大きく側面を壊してしまいました。

 この影響で空力が乱れて、タイヤのデグラデーションが悪化……。リタイアになってしまいました。

 好調なマシンで、どんなレースをしてくれるのか、楽しみだっただけに残念です。

 接触でオコン選手にペナルティが出たということは、オコン選手に非があるとしても、リザルトは返ってこないですからね。

 ハンガリーに期待です。

 2番グリッドのフェルスタッペン選手の様子。笑顔もたくさん見られて、余裕も感じられました。

 スタートは最終コーナーにいきました。どのスタンドも満員です。

 そして、暑い!

 ポールのルクレール選手とフェルスタッペン選手の序盤のトップ争い。

 緊張感のあったトップ争いの決着は、ルクレール選手のマシンのクラッシュリタイアで勝負あり。

 フェラーリ陣営にとっては、これは言い訳できぬ状況です。怪我がなくてよかった。

 そのルクレール選手のスリップ跡……。

 アロンソ選手はしっかり走り切って6位入賞。

 ラッセル選手は3位表彰台獲得。

 フェラーリが取りこぼせば、メルセデスがいるというのが今年なんですけど、徐々にメルセデスの速さが増してきているようにも思います。

 後半、三つ巴の様相になるかも?

 フェルスタッペン選手の優勝でした! 233ポイント。

 2位のルクレール選手は170ポイント。随分、差がつきました。

 今回、レッドブルのゲストで来場していた、フランスF4に参戦中の荒尾創大選手。16歳で去年まではゴーカートで走っていたそうです!

 現在、荒尾選手のフランスF4でのランキングは2位。

 初海外F1を見て、刺激を持ち帰って、チャンピオン獲得に向けて頑張ってほしい!

 レース後に、本橋さんと立ち話。

 日本GPのチケットが発売になって、販売が好調らしいですよ! ファンに向けて一言お願いします!

「3年間でわれわれは強くなってきたと思っています、その走りを直接皆さんの前で披露できるのを楽しみにしていますし、日本人ドライバーの角田選手にぜひ応援をお願いします! 今から、鈴鹿が楽しみですし、戦いがいのある鈴鹿サーキットですからね」。

 ということでした。ちょっと気が早いかもですが、ぜひホンダのスタッフみんなにも大きな応援お願いします!

 ということで、次はハンガリーGPです。

 夏休み前の1戦。お楽しみに!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。