F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第39回:メキシコGP

 木曜日のハミルトン選手。ファッションに注目して、たくさんのカメラマンが彼の出勤を待っているんですね。

 僕は、全く興味がないのでいつもは撮らないんですけど、たまたまいたのでこの日は撮りました。今回はちょっと地味めですか?

 角田選手ともあいさつできました。おはようございます!

 ウイリアムズ、来季のレギュラードライバーほとんど確定のサージェント選手。

 アメリカという国籍も有利になっているとは思いますけど、F2のレースを見ていても速い選手です。

 レッドブルのバジェットキャップ違反の裁定が出ましたね。10億円の罰金と10%の風洞使用削減。

 10億円ってもちろん大金だけども、チャンピオン取れるんだったら払うか……と考える上位チームってあるよね……きっと。

 まあ、こういう話ってグレーな部分をどこまでやっちゃうのかという判断をチームごとに考え方が違うしね。難しい問題です。

 でも、昔からF1でよくある話の1つです。

 メキシコスペシャルカラー、フェルスタッペン選手。カッコいい!

 地元の英雄、ペレス選手のスペシャルカラーヘルメット。

 F2ドライバーのジャック・ドーハン選手。今回、FP1でアルピーヌから初F1!

 乗る前には、エンジニアさんと笑顔でやりとりしながら、1人になると、にやにやとうれしくて仕方ない感じでした。

 ご存じの方は多いと思いますが、右側に立って心配そうに話しかけるのは、お父さん、2輪レジェンドライダーのミック・ドーハンさん。最高峰500ccクラスで5年連続チャンピオンであります。乗ってたのはホンダNSR500です。

 5年連続、最高峰クラスでチャンピオンってのは半端ないっす!

 僕がWGPに行ってた頃デビューした人です。

 ジャック選手のヘルメットはアライ。お父さんのヘルメットのカラーリングをオマージュしてます。

 ヘルメットをかぶると、お父さんとそっくり。こうしてどんどんF2ドライバーがF1に乗り始めると、岩佐選手も乗ってほしいとか思っちゃいますね。

 ベッテル選手のヘルメットは、レッドブルカラーに。マテシッツさんへの感謝を込めて……。

 ベッテル選手のF1はあと2戦を残すのみとなりました。

 木曜にハースのホスピタリティーでアイスクリームをいただきながら、小松さんと雑談。

 その中で、日本GPのレースの判断を間違ってしまい、レース後ひどく落ち込み、みんなに謝り、建物の裏で号泣してしまって、その様子を見たシューマッハ選手に慰められ、ボスのグンターさんも慰めてくれたという話を聞きました。

 沈着冷静、頭脳明晰な小松さん、そんな彼でも大失敗をするんだということと、そんなことを正直に話してくれることがかっこいいですよね。

 モータースポーツは機械を使って行なうスポーツ、でもそこには多くの人間が関わっています。人が中心のスポーツです。

 うまくいかないこと、失敗、成功いろんな立場の人が真剣に取り組んで結果が出る、それを見た人たちが感情移入できる。そんなことを、伝えるためにそこにいるわれわれがもっと努力しなければいけませんね。

 パドックを歩いていたら、なんと日の丸を持った親子。

 角田選手のファン。素晴らしいですね。うれしい!

 金曜日のFP2は、90分の新しいタイヤテスト。サイドウォールにピレリのロゴがありません。

 新しいタイヤはタイムでません……。

 FP1で走らなかったドライバーはFP2の最初の45分間は従来のタイヤで走ったので、タイムシートの上に来たんですです。

 分かってはいるんですけど、ペレス選手の人気のすさまじい感じは毎年驚きです。

 FP2は観客席に行ったんですけど、横にいたこのおじさんが話しかけてきてくれました。

 カメラのこととか質問されて、セナさんのキャップをかぶっていたので、セナさん好きなんですか? って聞いたら「そりゃあ、あんなドライバーはそのあと1人も出てきてないし、特別な存在だよ!」……って言った5秒後に、「あ、チェコもだ!」って! 2人で大笑い!

 FP2が終わって、パドックに戻るまで大勢のお客さんの中をかき分けながら歩いていたら、後ろから熱田さんと呼び止めていただきました。

 まさかメキシコで!

 メキシコにある日本の運送会社に勤めている方だそうです。ありがとうございます!

 まあ、なんつうか、みなさん元気がいい! いい雰囲気!

 ルクレール、あなたは私の赤旗! そうか……。

 チェコ! チェコ!

 予選、ハースの2台はマグヌセン選手が15位、シューマッハ選手が16位。でも、マグヌッセン選手がエンジン交換で19番グリッドとなってしまいました。

 予選後のペレス選手、手を挙げてごあいさつ。4位でした。

 ほぼ全員が、ペレス選手の応援ですよね!

 ドライバーズパレードのリカルド選手。

 レースでは、角田選手と接触して10秒ペナルティー、でも7位と大健闘。

 裁定としては、リカルド選手がわるいということになっているわけです。でも、リカルド選手にしてみれば、でもさ……って言いたくなるわけですよね。

 角田選手にとってみれば、おいおい、そこでそうくれば当たるに決まってるでしょうが……ぷんぷんって思うわけです。

 入賞が見えていただけに残念な結果となってしまいました。

 フェラーリのサーキットではなかったということでしょうか。

 ルクレール選手はクラッシュしてからペースが上がってこなくてレースでもそうでしたね。ランキングでも3位に後退してしまいました。

 メルセデスの2人、今シーズン序盤のラッセル選手優位か!? って感じでもなくなってきてますね。

 ハミルトン選手の底力は半端ないってことでしょうか?

 グリッドに行ったら、なんだかミュージカルの方々?なのか?? という雰囲気の人が各車の前に立っていました。

 世界一の大金持ちランキング首位にもなったことがある、カルロス・スリムさんと左側奥さま。

 息子のカルロス・スリム・ドミットさんがモータースポーツに積極的に投資をしていて、ペレス選手の大きなスポンサーになっています。観客席からも、カルロ~ス!って声援が飛ぶほど人気があるみたいです。

 ちょっと、日本人にはこんな感じのお金持ちいませんね。

 グリッドのフェルスタッペン選手。非常にリラックスした雰囲気でした。

 金ピカヘルメット。

 スタートして2周目かな。スタジアムセクション。超満員のスタンド。

 今年は60周年記念GP、観客動員数は、39万5902人!

 アメリカの44万人にはちょっと届かないけどすごい数字。鈴鹿が20万人だから倍!

 鈴鹿も、来年とかはもっとスタンドを増やして、追いつけメキシコ!

 危なげがないという印象の走りでした。今季14勝目!

 最多優勝回数達成です。こうなりゃ16勝目指してほしいな!

 ゼッケン1のチャンピオンが、34勝目!

 ヘルメットを脱いだところ。気温がそんなに高くなかったにしても、汗、ほとんどかいてないように見えるけど。

 さあ、今年のF1はあと2戦となりました。

 ブラジルとアブダビの2連戦。今年、1番移動が大変なグランプリです。

 まあ、ともかく、いったん日本に帰ります。

 今、深夜0時半。シャワーを浴びて、荷物をパッキングして、深夜2時にホテルを出て空港に向かいます。

 飛行機で爆睡だな。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。