F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第47回:サウジアラビアGP。レッドブルが1-2、アロンソが100回目のポディウム!

 サウジアラビアGP。

 昨年(2022年)は近くの石油施設にミサイルが飛んできて、レースをやるのやらないので揉めましたね。今年は、ごく普通に開催できました。

 サウジアラビアへの渡航前に胃腸炎を患い、サーキット入りが1日遅れたフェルスタッペン選手。金曜、土曜日と順調にこなして、圧倒的な速さを示していたんですが、予選でドライブシャフトのトラブルが起こり15位となってしまいました。

 僕はたとえ15位からのスタートでも勝てるんじゃないかと思いました。

 セーフティーカー解除の1コーナー、この時点で4位。後方から追い上げていく様子は神々しいほどの強さでした。

 2位に上がったあたりでドライブシャフトの不具合再びかという状況で、2位キープとなったようです。

 勝ったのはペレス選手。4度目の優勝です!

 嬉しそうでした。

 パルクフェルメにマシンを止めて、タイヤに挨拶するペレス選手。

 勝てるマシンに乗っていて勝つことの難しさを嫌というほど知っている彼にとって嬉しい勝利。

 パルクフェルメから表彰台したに移動するところ。ヘルメットの中の表情がいいですね。

 レッドブルの1-2。表彰台でのフェルスタッペン選手の表情が微妙だった。

 怒涛の追い上げを成功させて、ペレス選手の後ろまで迫りながら2位キープをしたことに対するフラストレーションがあったのだと思います。ドライブシャフトをいたわるためなのか、チームからの指示だったのか、さてはて自分の判断だったのか。

 パルクフェルメにマシンを運ばなかったのは、そんな気持ちの表れだったのかもしれません。

 果たして、そのままのペースでペレス選手に追いついたのかどうかは分かりませんけれど……確実なのは、勝ちたかったということでしょうか。

 表彰台の3人のいるその上に、レッドブルメンバー。3人の首脳陣は満足の結果でした。

 今のところ昨年よりもさらに、レッドブルの速さと強さが目立ちます。混戦の優勝争いというのは、どうやら今年はないかもしれませんね。

 首位争い。ペレス選手とアロンソ選手。

 アロンソ選手が首位を走っている時はドキドキしました。

 3位表彰台に上がって、表彰台のセレモニーが終わり、その3位に10秒ペナルティーが課されて4位になりました。

 その後、チームからの抗議でFIAがごめんなさい。3位復活となるというドタバタ。レギュレーションの判断ってそんなに難しいんですね……。

 ともあれ、アストンマーティンの速さは本物です。元レッドブルの空力エンジニアの獲得こそ、この速さがあるのだと思うのですが、それがF1です。

 結局はたくさんの世界一の人が関与すること、最高峰の世界で競う面白さということですね。

 アロンソ選手、連続の3位。

 レッドブル2台がコケるというのはあまり考えられませんが、優勝の2文字が近いところにあります。100回目のポディウムおめでとう!

 メルセデスの不調、フェラーリの信頼性、うまく噛み合いません。

 10位争い。角田選手に迫るハースの2台。ポイント獲得という大事な大事な戦いです。

 苦戦、そんなレースでした。

 レース直後のインタビューで、肩で息をしながら答える角田選手からはフラストレーションという言葉がなん度も出てましたね。

 どうやら今年のアルファタウリのマシンは厳しそうですね。

 そんな中、ミスをせずいい仕事をしていると思います。マシン特性が合うサーキットで、少しでもいいポジションでポイントを持ち帰るという、いい仕事を続けることですね。

 ハースに1ポイントをもたらしたマグヌッセン選手。いい笑顔です!

 笑顔でレース中の出来事を小松さんに報告するその様子はいい雰囲気です。

 小松さんは、このレースでできうる最大のパフォーマンスを出し切ることができたと言ってました。ホッとしたとも、そして2人のドライバーにも満足の様子でした。

 小松さんはヒュルケンベルグ選手にもマシンへの理解度や速さもあるとベタ褒めでした。当たり前ですけど、結果を持ち帰れるドライバーって大事な存在ですよね。

 レース後のガスリー選手。9位入賞です。チームを移籍して正解でした!

 2戦が終わって、マクラーレンとアルファタウリだけ0ポイント。

 ピアストリ選手が予選8位を取れたということは、一発の速さはあるので今後に期待です。

 スタート前、夜空にドローンが上がります。馬やらF1マシンにも変身してました。昭和の人間からすると、なんだかすごいと思います。

 そんなドローンの発着場所。いったい何機あるんだろ。

 夕陽の綺麗な時間に走行するF2の土曜日のレース。どうしてもここから撮りたかったので、岩佐選手の表彰台は行けませんでした。

 土曜日優勝、日曜日4位でランキング3位!

 いい感じではあるんだけど、コースで見ているとマシンの速さが去年のような感じではないように見えるのは気のせいかな?

 日曜日のレース。後ろを走るのは、開幕戦でぶっちぎり速かったプルシエール選手、今回はそうでもなく0ポイント。

 毎戦、戦えるセットアップができるチームとそうでないチーム。持ち込んだ最初のセットアップの出来が大きく物をいう世界。

 お客さんはたくさん。でもチームウエアを着ている人は少ないですね。

 今回で3回目の開催。だいぶ、コース周辺の施設や人の流れが普通になってきています。

 第2戦が終わりました。

 ここでお知らせです。第3戦のオーストラリアGPは欠席します。

 その理由は、航空券、ホテル、レンタカーなどの経費が高騰しているために、個人事業主である僕にとって限界を超えてしまっています。

 写真業はその場に行かなければ、仕事は生まれません。全戦の取材をできるだけ頑張ってきましたが、ここまで高くなるとどうしようもありません……。自宅でアルバートパークのレースを観戦したいと思います。

 アゼルバイジャンには行きます。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。