F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第52回:80回の歴史あるモナコGP。移り変わりを思い出しながら撮る、ちょこっとだけ雨のレース

 モナコGPは今年で80回目だそうです。80回もやっていれば、ずいぶん変化しています。

 僕は30回目でした。最初は1992年、セナ選手とマンセル選手の優勝争いのレースでしたね。そのときが50回大会でした。その頃からでも、コースのレイアウトやまわりの景色、カメラマンが入れる場所もコース脇の金網の量も大きく変わってきています。

 例えば、このトンネルの中のアウト側はガードレールと金網がありませんでした。エンジン音もすさまじく、排気音がトンネルの中でこだまします。耳栓がないととどまることはできませんでしたが、今は耳栓なしでも大丈夫。

 撮っていてすごく恐怖を感じることがありましたが、今は錯覚かもしれませんが、全く怖くありません。照明設備ももっと暗かったし、フィルムでしたからなかなか上手に撮れませんでしたが、今は全然簡単に写ります。昔はよかったって言いたくはないですけど、昔はもっといろいろと撮れたな~~~って思いますね。

 スタートは、いつものミラボーに行きました。スタート少し前に薄曇りになりました……。この時点で雨が降るとは思わなかった……。

 スタートから順当な順位でレースが続きます。まあ、この大きなF1で、このコースでは抜けないですからね。予選が面白いというだけでも、ここでやる価値があるように思います。

 選手によってラインどりやスピードも違って、見ていると楽しい。

 プールの出口。壁ギリギリの危うさがかっこいい!

 例えば、ウイリアムズではサージェント選手はここまで寄せてくることはほとんどありません。寄せて走れば速いのかどうかは分かりませんが、得てして速い選手の方がギリギリにきますよね。

 特に予選のアタックラップは、本当にヒリヒリするほどかっこいい。それが分かりやすいのがモナコの特徴とも言えると思います。

 カウンターをあてて立ち上がるってのもかっこいい。

 レースでは抜けないので、数珠つなぎになります。

 アルピーヌ、2人のフランス人ドライバーという布陣ですから、フランスGPがなくなった今、モナコがホームレースということになります。

 レース終盤、ポツポツと雨が降ってきました……。

 雨足は徐々に強まってきました。僕にとっては待望の雨です。モナコで雨をずっと撮りたいって思ってました。

 去年は降ってもスタートを遅らせてしまって雨の走行シーンがほとんどなかったので、レース中に適度な雨量が望ましい。しかし、割とすぐやんじゃいましたね。

 角田選手はドライ状況で9位を走っていて頑張っていたんですけど、ブレーキトラブルで後退してしまいましたね。残念です。

 ルイヴィトンの箱。

 トロフィーが入っています。箱ももらえるんでしょうね。

 3位はオコン選手でした。嬉しそうです。

 強い、速い、ミスしない。完璧なモナコGPでした。素晴らしいです。

 レッドブルの記念写真にレッドブルじゃない人がいるし……。いいね!

 アロンソ選手。今年、3-3-3-4-3-2位です。もう、素晴らしすぎます!

 レース後の記者会見などが終わって、エナジーステーションに戻ってきたフェルスタッペン選手。もみくちゃです。

 僕はレッドブルドライバーが勝ったときにプールに飛び込む絵を撮ろうと思ってこの場所に来たら、しばし待てということだったんで待機していたんです。そしたら、しばらくしてプールでのチーム写真はやらないことになったというお達し。

 フェルスタッペン選手が断ったのかな?? まあ、そうだとしたら、彼らしいと思います。

 角田選手への注目度が俄然上がってきてます。よくもわるくも、F1の世界は成績がいいということが一定時間続くと急に皆さんが褒めてくれます。逆に何回か不振が続くと、厳しいことを言われます。

 今のマシンで予選9位という結果は、素晴らしいという評価に大いにつながります! このままの調子をぜひ維持してほしい。

 フェラーリは、いまひとつ流れに乗り損ねた感じですかね。

 バンドーン選手はアストンマーティンにいました。

 ローレンス・ストロールさん。この人の手腕が今のアストンマーティンのレベルを引き上げています。5年、10年とF1の世界にいる存在になるのかどうか?

 とにかく、2026年からのホンダとの関わりを得てトップチームに勝ってほしいですね。

 ノリス選手。間違いなくトップドライバーの1人であると思います。あとは、チームが用意するマシンのパフォーマンスを上げていくことが課題。話しているのは、サインツお父さんです。

 土曜日のFP3にピットレーンに行ったのですが、カメラマンはピットレーンから退去させられてしまいました。なぜなのかは詳しくは分かりませんが、ピットレーンが狭いので、チームの邪魔になってしまうのでしょうか?

 HONDAロゴが誇らしげに見えます。

 F2岩佐選手と、中央がチームオーナーのシャルル・ピックさん。2012年はマルシアから、2013年にはケータハムからF1に参戦していました。

 土曜日のレース1で2番グリッドから優勝!

 ペースもよくて、危なげない走りでした。

 嬉しそうです。勝ちってのはいいです!

 君が代を聞かせてくれました。松下選手に続いて2人目のモナコウイナー。

 少し歩きながら話したのは、返す返すも予選のアタックラップを失敗してしまって9位になってしまったのが悔やまれる。マシンも完璧じゃないけれど、できはいいので悔しいと言ってました。

 日曜のレースは10位となってしまって、モナコ終了時点でランキング3位。

 木曜に、ハースのホスピタリティーで小松さん自らカフェオレを淹れてくれました。おいしかったです。世間話をしてきました。

 湾の外にもたくさんの船が停泊しています……。一体、あんな遠くで何をしているんでしょうか? まあ、僕が心配することではありませんけどね。

 モナコ、写真を撮るということに関しては、昔ほどではないにしても、やっぱり素晴らしいサーキットです。大好き!

 さて、火曜日にはレンタカーでバルセロナに移動します。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。