F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第59回:イギリスから帰国。日本でカツ丼を堪能したら、あっという間にハンガリーGP

 イギリスGP、ホーム・オブ・モータースポーツであります。

 ほとんどのF1チームが、このシルバーストーン近くの街に本拠地を構えています。レーシングカーの細かな部品を作る小さな企業や工場もここにあるからなんです。

 サーキットの中はいい雰囲気。

 若い人が中心なんだけど、おばあちゃん&おじいちゃんがなかよく手をつなぎながら歩いていたりします。

 食べ物屋さんもたくさん出ていますしね。

 4日間の観客動員数。合計48万人!

 最近は、どこに行っても満員御礼状態のF1。勢いがあります。

 われわれカメラマンにはコースに撮影に出るために、パドック裏からシャトルを用意してくれています。

 でも、セッションが終わったあとは、お客さんの帰宅ラッシュと重なり、シャトルが待ち合わせの場所にたどり着けないため、一番遠いコーナーに行ってたりしたときは、30分くらい機材を担いで帰らなければいけないという事態になったりします……。

 シルバーストーンのメディア食堂。3食提供してくれます。

 しかし、いかんせん、まずい……何食べても、まずい……。でも、提供していただけるだけありがたいんですけどね。

 レジ横で、カプチーノプリーズ! って注文したら、3日間とも、綺麗なおねいさんに「カップオブティーですね!」って言われるんですよね。う~む。

 そのカフェでキットカットをいただきました。ビーガン用のキットカット、日本でも売っているのかな。味は普通の方が全然おいしかったです。

 今年開業したピット正面のヒルトンホテル。素晴らしすぎる立地であります。

 F1のときって、いったいいくらで宿泊できるんだろ?

 プレスルームには毎年、ワンコによるチェックがあります。クンクンひと回りして帰ります。

 パドック入り口には、熱心なファンがたくさん。角田選手も丁寧に応じてました!

 毎年、シルバーストーンのときに宿泊しているB&Bのオーナー。おいしい朝ご飯を提供してくれます。雰囲気いい宿です。

 イギリスGPが終わって、レンタカーに給油。

 ガソリン、263円/Lです。まあ、ヨーロッパ価格と一緒かな。

 高いけど……。

 M1という高速道路でヒースロー空港に向かいます。渋滞なくて1時間くらい。監視カメラがたくさんあるので、街中も含めてゆっくり走らないといけません。

 レンタカーを返して、ターミナル3へ。

 ラウンジに行ったら、川井さんがいました。次回はイタリアGPに来るそうですよ。TVでは映画のAPXGPのことをほとんど触れてはいけないそうです。

 羽田着。毎回だけど、ホッとする瞬間ですね。

 帰ったその日の晩ご飯は、サボテンのカツ丼でありました! うまい!

 1週間のインターバル。毎日、大吉の散歩とひたすら写真補正&原稿書きで休みなし。

 暑いですね! というのがあいさつですよね。どこまで暑い日が続くんだろう?

 熱波、洪水、地球規模でおかしなことになっているというニュースはあるけれど、どことなく何もしないままの世の中ですよね。地球の変化を補正するために、色々やっているような雰囲気はありつつも、結局、経済を回さねばいけない、だから止められない。

 モータースポーツもそうですよね……どうなっちゃうんだろうね。

 そして、ハンガリーに出発。羽田のラウンジで日本の味を食べて頑張るエネルギーチャージ。

 食べ過ぎ?

 フランクフルトまでのJAL。エコノミーは半分くらいのお客さん。

 なんだか疲れていて、ほとんど寝てました……。

 フランクフルトで3時間半待ち時間のあと、ブダペストへ。この便が1時間半くらい遅れて到着。

 そして荷物を受け取るターンテーブルがある場所のATM。確か2年前だったか、ここでクレジットカードでキャッシングしたんですよ。そしたら、このキャッシングの機械にカードをスキミングされてしまいました……。

 そんなことある?? あるんですね……怖いね。わるいことやる奴は、どこにでもいるってことですよ。注意しようもないけどね……。

 そうなると、カードを止めて、カード番号とか変更になるし、手続きの電話とかものすごい不便で面倒。

 今回のレンタカーです。シュコダです。

 運転は尾張さんの当番。なので僕は助手席だけど、乗り心地はわるくないです。夜中に空港まで迎えにきてくれた尾張さんに感謝です!

 ダニエル・リカルド選手の通勤車、Type Rです。

 今回のGPで大注目のドライバー交代劇。ニック・デフリース選手に代わって、ダニエル・リカルド選手となりました。

 イギリスGPまでの10戦でデフリース選手のシートがなくなったわけですが、その決定が早すぎるという意見もあると思います。でも、雇っているのはチームです。成績が全て、契約事項にそういう条項も必ずあるはずで、それを承知の上で契約しているはずです。

 結果を求めていることに対して、それができていないと判断されればシートがなくなる。

 どんなに性格がよくて、身内の受けがよかったとしても、ダメと判断されれば乗れなくなってしまう。

 厳しい世界です。

 もちろん、契約はチームによってもさまざまですし、選手によっても内容はさまざま。お金をど~んと持ってきて、何があっても1年は乗れるという契約を得る選手もいるだろうし、育成ドライバーとして上がってきたドライバーもいるでしょう。

 デフリース選手の場合は、レッドブルのドライバーとして11戦目以降に乗せることができないと判断されてしまうパフォーマンスしか示せなかったということでしょう。

 リカルド選手に関しては、飛ぶ鳥を落とすような勢いがあったレッドブル時代から、徐々にそのパフォーマンスが下がっているという評価をされて、昨年末でシートがなくなっていたところに、レッドブルのリザーブドライバーとして契約していて、今回の人事で運よくシートを得られました。

 もちろん、経験もあるわけですからアルファタウリのマシンにパッと乗ってもすぐにそのマシンの上限までのスピードを示せるとは思います。その相手が、角田選手ということになるのですが、誰がどう見ても、いったいどちらが速いのか? という興味が尽きません。

 角田選手にとってみても、負けるわけにはいけません。勝てれば、アルファタウリとの次の契約も見えてくるのは当然として、レッドブルへの可能性も増します。

 負けてしまう……そういうことは考えない……。

 リカルド選手にとってみても、勝負の後半戦となるわけです。角田選手に勝てれば、来季以降も乗れる可能性が大きくなるでしょう。負けてしまえば、来季以降はないでしょうね。

 3年目の角田選手、ベテラン優勝経験もあるリカルド選手、どちらにとってもワンラップ、ワンラップが、ものすごく大切な時間となります。

 デフリース選手には申し訳ないんですけど、ハンガリー以降のF1がさらに面白くなったと思います。

 リカルド選手、僕は大好きな選手です。でも、日本人として角田選手に勝ってほしい! どんなもんだと世界にアピールしてほしい。

 そうなったらいいなと思いつつ、後半戦を撮影していければいいなと思います。

 フェルスタッペン選手の連勝、レッドブル・ホンダの連勝記録と、角田選手vsリカルド選手のガチ勝負。楽しみすぎる!

 シルバーストーンから始まったAPXGPの撮影。今回もあるそうです。

 僕らカメラマンには、FIAからAPXGPの撮影を制限する場面の指示がイギリスGPのときと同様にリリースとしてメールが来ています。いい映画になってほしいなあ。

 今日もハースに行って小松さんにカプチーノをごちそうになりながら、世間話をしてきました。

 こまっちゃんに聞いてみよー!の質問はすでに聞いています、内容はむっちゃ面白いです、お待たせしていますが、もう少しあとで公開になりますので楽しみにしていてください!

 ハンガロリンク、今まで暑いって印象だったんだけど、日本の酷暑から来ると快適です!

 さあ、このあとから走行開始! 楽しみです!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。