F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

番外編:写真集「P1」が発売されました!

 うれしい、うれしいなあ。

 日本グランプリ前の9月19日に私の新しい写真集「P1」が発売になりました。

 写真家として、モータースポーツやクルマ、オートバイの撮影を始めて約40年。その間、ほかのことはいざ知らず、写真を撮るということに関してだけは真剣に真面目にサボらず愚直に取り組んできたと誰に対してもお話しできるという自負はあります。

 もちろん仕事というのはどんな職種でも1人で完結するものではなく、僕自身も多くの方に助けてもらいながらいろいろな仕事をさせていただいています。

 僕にとってのF1は、これまでの中で最も時間を費やした被写体。これまで30年間で取材グランプリ数は現時点日本GP終了時で570戦、日本人で最多だと思います。

 フリーランスとして東洋の島国から世界各地に取材に出るのは、控えめに表現しても、超絶大変です。その中身を書き始めると終わらないのでやめますが、そんな大変なのになぜ570戦も行き続けているのか?

 それは、F1という世界が僕にとって撮りに行きたいと思わせる場所であるということ。

 世界中からドライバー、エンジニアやメカニック、チームスタッフが全員で世界一番を目指し戦う場所、そこに存在するエネルギーが半端ないほどキラキラしている。

 満員の観客席のサーキットの雰囲気が好き。

 写真家という職業でその写真をどういう気持ちで撮るのか、それをどう使うのかは作家の気持ち次第。

 僕は、しかるべく場所でしっかりと発表したい。それが写真集であり写真展ということになります。

 今回、キヤノンさんからお話をいただき、「PHOTOGRAPHERS' ETERNAL COLLECTION(フォトグラファーズ・エターナル・コレクション)」というシリーズの9番目に選んでいただきました。

この写真集は、さまざまな分野の第一線で活躍する写真家の作品を、同じ体裁で製本しシリーズ写真集として後世に遺していくという趣旨。

 幸運にもこれまで数冊の写真集を発表させていただいているのですが、もちろんそれぞれテーマがあります。

 今回のアートディレクションは三村漢さん。

 多くの写真集や写真展のディレクション、大学の講師もしていらっしゃる方に、僕のベストショット1万点以上をSSDに入れて渡しました。

 写真集P1のテーマは、モータースポーツに詳しくない三村さんに、僕の写真を使ってモータースポーツ、F1の世界を表現してもらうこと。F1に興味のない人が見たときに「お!いいね」って思ってもらえるような裾野の広い写真集ができあがってくれればうれしいという気持ち。

 実際に、三村さんは僕のSSD1万点以上の写真をひと通り見るのに2週間かかったそうです。そこから2000点にしぼり、最終的に71点になりました。

 そのご苦労たるやすごかったと思います。無理難題とはまさにこの仕事だったかもしれません。本当にありがとうございました。

 僕は、写真のセレクトとその順番を決めるということが苦手というかできません! 全部好きな写真をセレクトして落とすということができない。ですから、このようなお願いをしてしまいました。

 三村さん曰く「今回は、超大変でした!」という仕事が完成しました。

 ページ数は80ページ。240mm×240mmの正方形。印刷はキヤノンが誇るDreamLabo 5000という5000万円する印刷機で印刷します。

 そのクオリティーはまさに写真展に飾るのと全く同じです。ご自宅の本棚に写真展と同じプリントの写真が本になって置けるというプレミアムな写真集なのです。

 あと、僕のサイン入りの写真が1枚付属します。額装していただいてもいいかもしれません。

 そんな写真集は500部限定発売。値段は2万9150円(送料込み)です。

 高いですよね!

 そう思います。が、プリントのクオリティを見ていただければ納得していただけると思います。印刷と製本は名古屋にあるジャパンクリエイトが担当していて、製本作業は手作業で丁寧に仕上げています。

 銀座と大阪のキヤノンフォトハウスでは現物が見れますのでぜひお出かけください! 多くの方々に見ていただきたく思います。

 この写真集の発刊を記念して2024年1月23~28日にNine Galleryで写真展も開催します。こちらでも写真集「P1」の購入も可能です。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。