F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第74回:メキシコGPは悔しい母国レースとなったペレス選手……。僕にとっても忘れられないグランプリになりました

 今回も勝ちました、フェルスタッペン選手。16勝目!

 大観客席に向かって手を振ります。ブーイングもあったけれど、そんなにひどくはなかった。

 パルクフェルメでヘルメットをとって汗をふく。予選で3位となりつつも、いつものようにレースでは圧倒的なペースがありました。楽なレースはないけれど、ずぬけたパフォーマンスを発揮して勝ち取った優勝のように感じます。

 スタート地点から1コーナーまでの距離が長いので、3番手からのスタートが一番有利だ! というのをそのまま再現して1コーナーをトップで抜けてそのままゴール。

 赤旗中断後の終盤に向かうころ。2位争いのルクレール選手とハミルトン選手を徐々に引き離していきます。

 マシンと共にせり上がる表彰台は、メキシコ独特の演出。メインストレートではなくフォロ・ソルというスタジアムセクションのお客さん向けに設置された表彰台。

 今回のビックリは、復帰2戦目のリカルド選手が予選4位! ピースサインですから!

 あのアルファタウリが4位ですよ!

 リカルド選手さすがですね。予選で角田選手の助けがあったとはいえ4位ってのは素晴らしい! レースは7位! 6ポイント獲得。

 木曜の様子を少し。始まって少ししかここにいなかったのでよく分かってないんですけれど、絵を描いて勝敗をつけるというゲームかな。

 FP1で角田選手のマシンを走らせたアイザック・ハジャル選手。F2をレッドブルカラーで走っていて現在ランキング14位。フランス人ドライバーです。

 レッドブル育成の中でも首脳陣に才能を認められているそうです。

 僕個人的には、岩佐選手にF1をドライブしてほしいのですが、決めるのはマルコさんやホーナーさんですからね。

 同じくFP1にハースのマシンをドライブしたのは、オリバー・ベアマン選手です。初めてのF1ドライブで15位のタイム。

 写真は走行終了後に、小松さんからお褒めの言葉をいただいているベアマン選手です。フェラーリの育成ドライバー、イケメンですし要注目です!

 角田選手、今回はPU(パワーユニット)交換で最後尾スタートが決まっていたので、それを念頭にセッションを進めていきました。でもね、ここまでアルファタウリのマシンがこのサーキットにぴったりの相性を示していたのに……と思うと残念です。

 まあ、走ってみないと分からないことですけどね。

 今シーズン最後までを見越してフレッシュPUをここで投入ということになったわけです。

 レース直前にガレージ前で法原さんと話したら、超ご機嫌! 今回は走り出しから絶好調でしたからね!

 という、期待度半端ない感じでした。

 角田選手は18位グリッドからのスタートで、なんと8番手を走行してました。すごくいいペースで追い上げているのが、見ていて心地いい感じ。よしよし! いけいけ! って感じ。

 赤旗再開後にはピアストリ選手を抜く勢いで、その前がリカルド選手でしたから、余裕でリカルド選手に追いつきそうな勢いが感じられるほどでした。

 ふとモニターを見ると1コーナーでコースオフする角田選手……。

 え~~~~~! って声出ました……。

 なんとなんと、ちょっと焦っちゃったかな。すごいレースをやっている途中だったので、すごく残念……ガックリ。戦略もよかったし、マシンのスピードもバッチリ。う~~~ん、噛み合ってほしかったレースでした。

 ドラパレの選手紹介。そこにいたらお客さんから丸見えじゃん……出待ちの角田選手。

 メキシコ国旗大多数の中、日本国旗が見えました!

 角田選手のマシンの後方。予選で速かったアルファタウリのマシンをじ~~~~~~と見つめるニューエイさん。レッドブルの弱点は予選スピードですから。

 レッドブルとアルファタウリ。逆光で差が見えやすいかなって思って載せてみました。似ているけれど、違いますよね。

 アストンマーティン。今回は2台ともリタイア。スピードもありませんでした。序盤の好調はすっかりどこへやら。

 サイドポンツーンの上面のえぐれがすごいんですよね。

 ほんの少しの開発のズレがいくつか重なると、大きく順位が下がるというF1のすさまじさを感じます。

 ヒュルケンベルグ選手は通算200戦目。復帰できてよかった。今はしっかりと存在感を示せていますからね。

 メキシコGPと言えば、“チェコ”ことペレス選手です。今年も圧倒的人気。

 今年、最近の成績はいまひとつ。そんなの関係ない!

 少なくとも6割くらいの人がペレス選手応援グッズを身につけています。

 予選は5位。レースは1コーナーでルクレール選手と接触してピットに戻りそのままリタイア。

 観客の皆さんからのノ~~~って声がつらかった……。

 予選のQ3アウトラップ、ポールポジション確定後のルクレール選手。レースペースが厳しいことが圧倒的に多いフェラーリ。

 万全ではないマシンで3位がやっとか……って感じでしょうか。

 ドラパレ終わりでフェラーリのスポンサー関係のお子さまかな?? サインツ選手は優しい。

 ハミルトン選手はやっぱりさすがに強いですね。2位です。

 レース終盤にストロール選手とボッタス選手が接触。ストロール選手が飛ばされて、そのままピットまで戻ってリタイア。

 ……というシーンなんですが、このとき、実は警察の集団とカメラマンの集団が大揉めの最中。もう押し合いへし合い。

 カメラマンは事前の掲示でパルクフェルメを撮れる範囲を示されていてそこに陣取っていたわけです。僕もそこにいました。

 そこに残り5ラップくらいのときに、警察20人くらいがきて「ここはダメだ」って言うわけです。

「いや、ここはいいんだ」と言っても、あちらは命令されたまま動くガタイのいい人ばかり、その一番先頭にいたのが僕……わけ分からんし!

 光が一番いいところに、ずっと待ち続けていたのでこちらもぜってえ動かんぞ! 動けって、なんの意味があるのだ! ふざけんなよ!

 って言っても、日本語ですからね通じるわけもなく、あちらも強硬に押してくるわけです。その意味が分からんのですよ!

 このカメラマンの集団を、押してしまおうというだけの、なんの根拠もない命令に違いないわけです。大体さ、そんな状況を分かってない警察をサーキット内の警備に配置する国ってなんなのよ! と文句つけたくなるわけですよ。こっちは、なんのジャマにもならないところにいて写真を撮るだけの集団ですよ! 最悪だよ!

 最後はその警官と警官の頭の間にレンズを差し入れて撮りましたけど……。

 ついでに言わせていただければさ、前座レースでF4の予選かなんかやっていた土曜日かな、フォトグラファーズルームでぼーっとモニターを見ていたわけです。

 そしたらね、ママチャリに乗ったおっさんが、なんとセッション中ですよ、逆走でコースの端を堂々と走っているわけさ……。

 よくある動物じゃないのよ、タバードもつけてなかったメキシコ人のおっさん……当然F4マシンがその横を何台も通過していく。

 ガードレールの切れ目から、堂々と出て行く様子まで捉えてました。F1の公式日程中にそんなことある?

 マーシャルさんたちが呆気にとられているのも映っていたけど、あまりに堂々としているからマーシャルポストを素通りです。どうなったんだろ、あのおっさん。もちろん赤旗セッション中断。ビックリもいい加減にしてほしいよ、まったく……。

 そういう意味で、忘れっぽい僕でも忘れられないメキシコGPとなりました。

 ホンダの吉野さんと、元ホンダの鈴木さん。パドックで少ない日本人。ホンダさんの存在がなかったら、本当に少なくなってしまう日本人。

 次はブラジルです。報道関係者で日本人は僕だけかもしれません……。まあ、行ってみないと分かりませんけどね。

 過去に僕だけってのも何回かあるんですけど、ブラジルで1人ぽっちってのも寂しいなあって思ってね……。また、ブラジルから報告しますね。

 月曜の夕方に移動します。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。