F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第75回:メキシコからブラジルへ。ぼっち日本人報道関係者、ブラジルGPも頑張ります!!

 メキシコ~ブラジルの旅です。

 まず、到着したブラジルから。木曜日のパドックでドライバーのTVインタビューの場面。ガスリー選手がセナキャップをかぶっていました。

 ブラジルといえばセナさんというイメージは没後30年経とうとしている今でも強くあります。僕もそうです。

 ブラジルには火曜日の早朝に到着しました。

 火曜日はホテルで原稿と写真整理、水曜日もフリーでしたので写真整理をしつつセナさんが眠るモルンビー墓地に行ってきました。

 高級住宅街の丘の上にある墓地。正門を入ったところです。きれいに手入れがいきとどいています。

 セナさんは、この正面の木の下に眠っています。

 今回で4回目かな。ブラジルに来るのは木曜日の早朝のことが多くてなかなか来ることができませんでしたが、久しぶりに行きました。

 僕が行ったのは夕方、誰もいませんでした。最近のこと、来年のことなどを報告してきました。

 少ししたら、若い女性が2人お参りにきていました。おそらくセナさんが走っているところは見ていない世代だと思います。

 昔も今もたくさんの人の心にある、アイルトン・セナさん。

 火曜日にホンダの吉野さんもお参りに行ったそうです。

「今まで申し上げてなかったかもしれませんが、私が今ここにいるのもセナさんのおかげです。彼がいなければF1を好きになることもなかったですし。ホンダにも入ってなかったかもしれません。セナさんが大好きだったホンダF1の仕事ができ、お墓参りまでできることに心から感謝しています、ホンダエンジンでチャンピオンを獲れた報告もしてまいりました」

 第3期と第4期にホンダF1の現場で苦労を重ねてきた吉野さんの気持ちです。

 ホンダとF1、特に第2期のマクラーレンホンダとセナ選手のイメージは強烈な印象を持ち続けている人は多いですよね。

 第3期は低迷したまま撤退、第4期にチャンピオンを獲得しつつやめてしまうという決断、そして5期をやるんだという決断。

 セナさんは、ホンダの撤退に涙を流して残念がってくれました。

 参戦と撤退を繰り返すことは、その時代の社長の決断によるものです。

 経済やその時代によって、多くの社員を抱える大会社の社長ともなれば責任は重大、その決断は間違ってはならない。でも、参戦、撤退を繰り返す陰でファンや現場で多くの人の失望と涙があることも忘れてはならない。

 例えば今のレッドブルの人たちにとってみれば、納得できない感情もあるのではないでしょうか。

 ホンダより規模が小さなルノーやフェラーリが続けていることは、F1というスポーツが、自社にとってどういう意味を持つのか、確固たるコミットメントがあって、受け継いでいるからということではないでしょうか。

 なので、次の第5期は、たとえ成績が低迷していようがぜひ続けてF1の中の信頼も得られるように続けていただきたいと個人的に思います。

 火曜日に市内のホテルまで向かう途中、サンパウロ名物大渋滞。45kmの道のりが2時間以上かかりました。

 ホテルからの市内の眺め。

 ホテルでの朝食。やっぱりコーヒーがおいしい。

 夜は小松さんと、日本食の晩ご飯!

 焼き鳥とかそぼろご飯、やっぱりおいしかった。日本食はいいよ、ほんと~~~に、いい!

 去年は、びびってブラジルGPを欠席してしまったので、去年からあったのかは分かりませんが、パドックに屋根が付いていました。

 最終コーナーからのホームストレート。ここをガスリー選手とハミルトン選手が並びながら来たときはびっくりした。

 そのあとに、パルクフェルメにカメラ落としたんですよね……。

 リカルド選手。メキシコでは大活躍でした。

 角田選手。いろんな意見があるとは思いますが、僕は攻めた結果ですからいいと思います。結果を出さねばならないというのは、その通り。紙一重のことがいい方に転がったときには超褒められ、逆であれば非難される。

 前に抜けそうなクルマが見えれば抜く努力をする。抜かずに、そのままポイントを持ち帰ろうとするドライバーより100倍魅力的だし、次にいいレースを見せてくれればいいし、結果を持ち帰ってくれればいい。

 僕はそう思います。

 フェルスタッペン選手の快進撃は続くのか!

 エス・ド・セナコーナー。きれいなコーナーです。

 マイランダーさんが地元女子に説明会かな?

 少しずつ変化していくサーキット。フォトグラファーズルームは、手前のテントになりました。

 サンパウロ、危ない街としても有名です。州のWebサイトで、人口10万人あたりの2022年の強盗事件は日本の690倍、殺人件数は89倍……しかも増加傾向にあるそうです……。

 今回の駐車パス。

 普段のグランプリのパスは、フロントガラスに内側から貼って剥がせないタイプのものですが、これが貼ってあるとF1関係者だから狙われて危ないので、サーキット周辺で出して、出たらしまえるように貼るタイプではありません。

 以前にトヨタ関係者の乗るクルマが発砲されましたし、バトン選手の乗るクルマも発砲されました……。

 メキシコ&ブラジルの連戦はやばい……。

 今回のレンタカーは、フォルクスワーゲン、ボヤージュ。

 ブラジル専用車かな、メタノールで走ります。ふた昔前のクルマって感じ……。

 ワーゲンバス、まだたくさん走っています。ブラジル製なんですよね、確か。

 メキシコに戻ります。パドックに小鳥がいました。

 なんだと思っていると、おじさんが名前は? って言うから、まもるだって言うと鳥さんが、右の箱まで行って1枚持ってきてくれます。

 それが、これ。

「思っていいるより早く、表彰台で祝うことになるでしょう!」

ってことだったわけです。

 この意味は? ブラジルで叶うかも!!

 メキシコのメディアケータリングで巻き寿司。初めての出来事。おいしかったですよ!

 まあ、なんと言いますか、ペレス選手にしてみれば、地元GPの1コーナーで終わってしまったレースをしてしまったわけです。もう大変な状況ですよね。

 つらいって言葉じゃ表せないくらいの気持ちでしょう。挽回していくしかない。

 空港近くにあった大きな看板。成田とか羽田とかの空港にもこんな感じの看板ができるくらいの盛り上がりになってほしいものです。

 レース後の夜9時くらいのサーキット周辺。大混雑。

 これだけ人がいるけど、危ない雰囲気バリバリ感じます……。

 メキシコシティ空港から夕方ブラジルまで出発。ラタム航空。びっしりと満席でした。

 10時間のフライトでしたけど、長く感じました……。

 メキシコシティ空港のイミグレーションを抜けたところの寿司屋さん。

 日本がメジャーになってますけど、国力は弱くなってますよね?? 円安、勘弁していただきたい……。

 と言うことで、明日から走行開始です。天候は、すっきりとは晴れないみたいだけど、雨もなさそうという天気予報です。

 今の所、日本人の報道関係者は僕だけみたい……頑張んなきゃ!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。