F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第76回:刻一刻と状況が変わったブラジルGP。3連戦も終わり、待ってろよカツ丼……!

 ブラジルGPです。

 正式名称はカルロス・パーチェサーキット。地名がインテルラゴス。

 木曜日、パドックに行ってみるとガラス越しにエンジニアと話すドライバー2人。笑顔もありいい雰囲気。

 いつものようにFP1はピットレーンに行きます。メキシコで好調だったマシンが、果たしてここでもいいのか?

 ローソン選手もいます。スーパーフォーミュラはランキング2位だったそうですね。

 FP1終了直後、いつものように短い4者会談。

 去年は8位でした。レッドブルといえども、難しいサーキットですから油断できません。

 金曜日の午後は、レースのための予選です。フェルスタッペン選手はポール獲得。順当であるかのようですが、天候が順当ではありませんでした。

 予選が始まるまでの公式天気予報では、降水確率60%でした。

 暑くて、薄日も差しているし、降りはしないだろう……という感じ。僕は、ライトレイン仕様でコースに出ました。

 Q2が終わるまでは、空に黒い雲はあるもののすぐには降らない感じだったんです。Q3が始まるかな~~~というときに、本当に急に空が暗くじゃなくて、黒くなってきました。

 その黒い真っ暗な雲の動きが早い!

 どんどん暗くなってきて、風もビュンビュン強くなり、ポツポツと大粒の雨……ドワ~~~~~~!って感じ。あっという間に台風のど真ん中にいる感じ。

 Q3でアタックできたのは1周でしょうね。

 それ以降は、走れる状況でもない、稲妻が走りまくります。びっくりです。さすが南米って感じ??

 あと、最終コーナーのイン側にご覧のような観客席ができていました。いろいろと変化していきます。

 土曜日はスプリント予選とスプリントレース。ポールはノリス選手でしたが、3コーナーに来たときはフェルスタッペン選手が1位になってそのまま優勝。

 角田選手は見事6位で3ポイント獲得。メルセデス、フェラーリと同等の速さって、どうしたんだろ!前半戦の不調のチームとは大違いな感じ。アメリカでのアップデートがいいんでしょうね。

 楽勝って見えるかもしれませんが、ペレス選手は3位でした。ペレス選手の実力がどんなものかご意見は多々あると思いますが。意外にフェルスタッペン選手のドライビングが超すごいのかもしれません。

 日曜日、ドライバーズパレード。レンズを向けたら「熱田さん! “××××××”ありがとうございます!」って言われました。

 この“××××××”は、ラスベガスで発表しますね。

 コブラ? 本物? ちょっと、フェンダーが派手?? いい音していました。

 グリッドにて。レッドブルのメカニックさんが歩いてくるとお客さんからブーイング。なんでなのかね?

 応援するには、敵と味方がいる方が分かりやすいからかな?

 現状、ブラジル人ドライバーが不在です。今年に関して感じたのは、例えば観客席前にあるモニターに選手紹介の画面が映ったときの反応として、ダントツの人気がハミルトン選手。数年前からブラジル&セナさん大好きアピールが効いています。すごい浸透している感じ。

 その次にルクレール選手かな。ペレス選手も人気。ブーイングが聞こえるのはフェルスタッペン選手のみ。

 でも、応援の声や拍手も同時にあるんですよ。

 速くて強い選手になるのを目指してきて、速くて強いのは誰だというのを決める競技であるのに、ブーイングを受けるってなんなの? って思います。

 何回か書いたことがありますが、勝ちすぎると面白くない、その結果ブーイング。思い返すと、セナさんもシューマッハさんもハミルトン選手も自国以外ではブーイングされてましたね。そういう意味では、もう致し方ないのかもしれません。
人間というのはそういう一面もあるということです。ドーンと話を飛躍すると戦争をしてしまうわけですから……人間はね。悲しい。

 いや、楽しいF1だった。

 日曜日は晴れてましたが、空気が冷たく感じました。

 ですので、レッドブルのカウルの穴は少なめ仕様となってました。

 吉野さんの定位置。3歩下がったところにずっとじーっとしています。セナさんへのチャンピオン報告が届いているのでしょうか。

 指を差すな! って言われますよね……。ラッセル選手のフロントブレーキをグリッドでよってたかっているので、撮ろうとしただけなんですけどね……。F1ぽい瞬間です。

 ウイリアムズの新木メカニック。頑張ってます! 今年の現場はこれで最後だそうです。また、来年ですね!

 シューマッハ選手が古巣ハースに来ていました。ちょっと痩せたかな?

 ブランドルさんに呼び止められるバーニーさん。

 ホーナーさんと話していたのは、メキシコの大富豪のカルロス・スリムJr。ペレス選手の大スポンサーであります。

 10コーナー上。なんと、階段ができてました。大したことない情報ですけど、僕たちにとっては大事件です。ピットビルの大改修、最終コーナー員側の観客席、そしてこの階段。大事件。

 スタートはここで撮りました。結構ずっと毎年ここです。

 世界中、どのサーキットも満員です。ずっといると、毎年同じ面白さだと感じるんですけど、お客さんが増えているということは、やっぱりNetflixとか動画系のコンテンツが頑張っているからということなんでしょうね。

 静止画の立場がどんどん肩身が狭くなるような気がしているのは僕だけかな?

 10コーナーで撮っていたら、角田選手がコーナーの入り口で外に出てしまいます。

 びっくりした。

 柔らかいタイヤバリアがアウト側にあるんだけど、接触したのかな? とにかく、びっくりした。その後、無事に走れてよかったよ!

 2位にはノリス選手。マクラーレンも好調を維持しています。あとは、いつ勝てるのか?

 一番サーキットが沸いたのは、アロンソ選手VSペレス選手。この写真はチェッカーの4ラップくらい前かな。

 ここで、このまま最終ラップまで撮るか、それともパルクフェルメに行くのか実は2回行ったり来たりして、パルクフェルメを選んだので最終ラップの写真はありません。

 勝ちをまた重ねて17勝目! 素晴らしい! 金色ヘルメットがデフォルトのイメージになりつつあります。

 してやったりのアロンソ選手。

 最近、クルマが遅かったので久しぶりの上位のレースができて、しかもあんなに劇的な逆転をできるのがさすがとしか言いようがない。

 カッコいい! マジで素晴らしい!

 ハミルトン選手のガッカリハンパなし。どのサーキットでもコンスタントに成績を出す難しさがにじみ出ています。

 角田選手、9位で2ポイント獲得。スプリントと合わせて5ポイントも加算する大活躍!

 パルクフェルメで7位のガスリー選手とグータッチ。

 マシンの不調もあったりして、いたわりながらのゴールでした。あと2レースが楽しみになってきたよ!

 表彰台で一番うれしそうなのは、もちろんアロンソ選手。

 今回もいいレースでしたね。

 ピットビルのコース側にあるセナさんの肖像。

 4コーナー手前の観客席に出るセナさんの巨大旗。

 セナキャップのおじさん3人を撮らせてもらいました。オブリガード。

 いつものように、観客席からは、オ~レ~オレ、オレオレ、セーナ~セ~ナ~と始まります。

 ハースのホスピでグロージャン選手。来年はどこで走るのかな?

 バリチェロさん、お元気そうでなにより。レンズを向けると必ず目線をくれるのは現役当時と一緒。

 今回は息子さんがF4のレースに出てました。2位表彰台獲得。

 全然うれしそうではありませんでした。勝ちしか考えていなかったのかな。

 ブラジルのF4のレベルはどんなものなのか分かりませんけど、どこを目指しているんでしょうね。アレジさんやヤルノさん、バリチェロさんと息子さんがレースを始めてます。

 シューマッハキャップですね。

 オタクのワンちゃんの名前がマックス。それはよく分かりました!

 現在、夜中の3時前……日本のお昼の3時。

 やっと3連戦が終わりました。正直、3連戦はキツい、しかもメキシコとブラジルってのは精神的にもキツい。

 もう、早く帰りたい。おいしいご飯食べたい。月曜の夜便で帰ります。

 では、次はラスベガス。キラキラかな?

 いやいや、まずはカツ丼だよ!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。