F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第80回:2023年最後のアブダビGP。魅せてくれたのは優勝したフェルスタッペン選手と……角田選手!

 最終戦です!

 フェルスタッペン選手の19勝目です。素晴らしいパフォーマンス、安定感、力強さ、速さ。見事なレースを見せてくれました。

 レッドブルというチャンピオンチームがここまでの強さを発揮しているのは、フェルスタッペン選手の存在が非常に大きいと思います。

 ペレス選手の力というのを、よくやっていると評価するのかそうでないのか。

 予選でのスピード不足を、レースで取り返すというのが1つのパターンになっているように思います。

 フェルスタッペン選手のチームメイトになり仕事を続けるのは簡単ではないです。

 スタートです。ポールポジションから出るのは今年14回目。

 そのあとは、いつものように後ろとの差を見つつレースをコントロールして優勝。圧倒的。

 フェルスタッペン選手ばかりでつまらないな~という声も聞くし、世界各国でブーイングがあるのも分からなくもない。

 速い選手が速いマシンに乗れば、速い。誰が速いのかどのマシンが速いのかを競う競技です。

 今年のこの結果になって当然だと思うし、僕は楽しかったです。

 予選6位、自己最高を更新した角田選手。ラスベガスの雪辱、メキシコでの失敗を取り返すために見事な予選結果でした。

 最終戦でフロアのアップデートを持ってきたというニュースにはびっくりしました。結局、来季への新しいチーム名もスポンサーも発表なしということに。

 レース前、ホスピタリティからガレージまでチームメンバーで花道を作りました。トストさんのラストレース。

 角田選手も大変にお世話になった上司。そして、ホンダPU(パワーユニット)を使ってくれた恩人でもあります。

 角田選手のヘルメットのテッペンにじゃあねフランツという文字と写真。

 葉っぱもきれいな色のヘルメットです。

 このトストさんと角田選手の写真は、この尾張さんが撮った写真なんですよ!

 今年のベルギーGPで10位入賞したときのレース後にアルファタウリのガレージ裏での写真です。このカメラで撮影したそうです。尾張さんも記念になりましたよね!

 角田選手、このとき3位を走行していました。

 1ストップ作戦でしたから、後半戦タイヤの摩耗が進みペースが下がってきて、8位でチェッカーでした。普通に2ストップしていたら……6位も可能だったかもしれません。まあ、レースでよくある後になってみれば、そうした方がよかったじゃんのパターンですね。

 とにかく、今回の角田選手の走りとマシンの速さにはびっくりしました! 素晴らしいレースを見せてくれました。

 トストさんがいるピットウオールも最後になってしまいました。

 トストさんの引退は、よき昔のF1を知るチーム代表の引退でもあります。時代がひとつ進んだ感じがします。

 恒例のドライバー集合写真。全員がきれいに前を向くことはほとんどありません……。

 3位入賞のラッセル選手。今年2回目の表彰台。なかなか噛み合わないレースが多かったからなおのこと嬉しそうでした。

 ルクレール選手2位。今回は力強いレースができて、今季6回目の表彰台。

 岩佐選手、久しぶりのF2開催。

 選手権3位で臨んだ2レース、土曜日が8位、日曜日が4位でした。ランキングは4位に下がってしまいました。

 もちろん、準備は入念にしてきました。2年目のF2でチャンピオンを狙えるパフォーマンスは示せたと思うのですが、速さを結果に結びつけることはできませんでした。

 今シーズン、話を聞かせてもらいながらレースを見てきましたが、F2で成績を残すことの難しさを改めて感じました。

 来シーズンは日本でスーパーフォーミュラ参戦が決定しています。無限で野尻選手とチームメイト。

 その話を最初に聞いたときは、少しマイナスイメージだったそうです。でも、F1へのステップアップのためにSFでレースをすることはステップアップになると切り替えて考えているということでした。

 ぜひ皆さんも、岩佐選手の走りに注目してください!

 さらに、このアブダビ後のテストでアルファタウリで1日テスト走行ができると発表になりました。ようやく、念願のF1に乗れることになります。角田選手のマシンになる予定です。

 僕も、急遽スケジュールを変更して撮影することにしました。岩佐選手の分析の話を聞くのが楽しみです。

 F2のチャンピオンを獲得したのがプルシエール選手。嬉しそうです!

 この喜び、チャンピオンを獲るということの意味。

 日曜日のレースに勝ったのは、ドゥーハン選手。この優勝でランキング3位になりました。

 お父さんは2輪500ccチャンピオンです。オーストラリア人ですのでシューイ(シューズで祝杯をあげること)です!

 来季F2選手権に出る、アンドレア・キミ・アントネッリ選手です。イタリア人。びっくりな17歳、しかもF3飛ばしていきなりF2というメルセデスお抱えの新人。要注目!

 土曜日にPU説明会がありました。今回はルノー。

 なんと、PUの実物の展示なし……しかもスライドショーの説明の大半は昔話という内容でした。

 見せないもんね~という意志を力強く感じました。

 ヤスマリーナに来るのは何回目なんだろうか? たくさん来ています。

 コースが変わって撮影できるコーナーが減って、撮影にいい時間帯が減り、あまりいいことが少なくなっているけれど、まだまだいいところも残っています。

 やりましたよ! ついに、記録更新!

 1988年にセナ選手とプロスト選手が打ち立てた大記録、16戦15勝。この記録を今年22戦21勝して、勝率でホンダがホンダの記録を抜きました! 大記録の樹立です。

 あとは、全戦優勝という記録も残ってはいますけど、素晴らしいじゃないですか! おめでとうございます!

 現場も、サクラの皆さんも、サプライヤーの皆さんも、お疲れさまでした!

 嬉しいな~~~!

 そのプロストさんも今回来ていました。ミカさんと立ち話。

 偉大な2人のチャンピオン。

 アルボン選手の活躍も光りました! ウイリアムズのほとんど全てを持ち帰っていて、ランキング7位を得ているわけですからね。

 日本からの遠征組ファンの方々がチラホラといらっしゃいました。アブダビは中東の中でもヨーロッパや欧米文化に近い方なので観戦にはいいかもしれません。

 海外観戦を考えていらっしゃる方は、どんどん行ってみてください。大変でドキドキすることも多いですけれど、いろんな発見や勉強にもなる部分もあると思います。

 2023シーズンが終わりました。長く感じました。

 特に、オースティン→メキシコ→ブラジル→日本→ラスベガス→日本→アブダビという旅がドッと疲れました。

 疲れたけど、F1の写真を撮るのは楽しい!

 フェルスタッペン選手の速さ、アロンソ選手のうまさ、そして角田選手の成長を感じた1年でした。

 来年はどんなシーズンになるんでしょうね。今年も、このコラムを見ていただきありがとうございました!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。