F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第79回:ラスベガスから日本へ戻ってアブダビへタッチ&ゴーのスケジュール

 ラスベガスから振り返ります。

 このカジノの建物の2階にメディアセンターがありました。やっぱり、賭けごとの建物の2階にあるってのは、なんだか違和感があったんだけど、毎日通ううちに慣れてくるものですね。

 コース脇の通路。もっと狭いところもたくさんあって、決して歩きやすいわけではありませんでした。左側の黒い幕の裏は通路になっていて、レースのときには所々穴を開けてタダ見の方々がいました。

 木曜日が終わって金曜日になり、その日の仕事の方をつけてホテルに帰ろうと外に出ると朝日が眩しい。

 そのホテルへの帰り道にある食堂で朝ご飯に食べた右側のソーセージエッグマフィンと奥にあるスタバのアイスカプチーノで3400円であります……。

 もう、勘弁してくれというレベルを超えていて、食わねばならぬので食う……という心境にならないと生きていけない。庶民的なフードコートでこの値段ですからね。賭けごとが大好きですという人しか楽しめないような街ですね。

 ポテトは尾張さんの分。

 サーキットから徒歩で通えるホテルを取りました。広いけれどちょい古い感じのホテル。

 ホテル名は消しましたけど、セキュリティの人間が部屋に入ります。ロックをかけた場合は後でまた来ますという内容。

 Xのフォロワーさんに教えてもらったんですが、ラスベガスで2017年に銃乱射事件があってホテルの部屋から発砲して60人もの人が犠牲になったそうです。ですので、昼間に部屋にいると怪しいのでそのチェックをしているのではないかということでした。だから、締め切っているカーテンの裏まで見て行ったのだなと納得いたしました。

 銃乱射が毎年繰り返されているのに銃を簡単に手に入れられることをよしとしている国アメリカですからね。そんな理由があるにしても、昼夜が逆転せざるを得ないわれわれとしては、昼間寝るしかないわけです。

 ショーの要素があまりに大きいとフェルスタッペン選手が言う気持ちはよく分かります。

 大音量で派手な音楽とスモーク、夜の演出。広大なピットビル4階まで全部パドッククラブが入っていて、豪華絢爛な雰囲気とおいしいご飯。溢れんばかりのVIPな人々が楽しむ。

 そんな雰囲気は確かにF1が目指すものと合致する部分があるのも理解できます。フワフワした感じ。

 僕はフェルスタッペン選手と同じくちょっとやりすぎの感じがしますし、F1、チームとして大切なお客さまをもてなす絶好の機会を否定する意見を堂々と述べるフェルスタッペン選手っていいなと思いました。

 メディアセンターの食堂。

 そこで出てきた中華。ありがたい、助かります。でも、おいしくない……。

 レースが終わって日曜日、完徹で迎えた朝に焦りつつ着いた空港の中もカジノがど~んとあります。

 ラウンジがなくて入ったレストランで食べたパンケーキ。疲れていると甘いものを欲しますよね……おいしいんだなこれがね……。

 ラスベガスから、ロサンゼルスに飛びました。大きくてきれいな空港。ラウンジで仕事。

 羽田空港まではJALで13時間くらい。機内でも仕事しなきゃと思いつつも爆睡……。

 羽田着が月曜日の夕方。自宅で写真を自宅のHDにコピーしつつ仕事。火曜日に起きて気合いで撮るを書きつつ仕事。

 そのまま、また羽田空港に行きました。

 その前の、アメリカ、メキシコ、ブラジルの3連戦で撮った写真の整理がメキシコの途中で止まってしまっていますし、さらにラスベガスとアブダビの連戦なので全く追いついてません。

 なにしろ、こんなスケジュールで取材をしたことが過去なかったことなのでいろいろなことを後回ししないと追いつけません……これは、ちょっと詰め込みすぎですよね。

 火曜日の深夜便でアブダビに向かいます。

 妙な食欲がある自分がちょっといけませんと思うんですけど、食べちゃいました。

 水曜日の早朝にドーハに着いたところ。寝ましたけど、やっぱり機内で寝るのはただ疲れをためているだけのような感覚。

 ドーハの空港内のいつものところ。

 ドーハからアブダビまでは2時間弱。

 アブダビの空港が新しくなってました。中東らしい大きくてきれいな空港。

 アブダビは尾張さんと一緒に行動するのですが、飛行機が違って僕が先に入り、ウーバーでホテルまで。4000円くらいでした。

 今回も運び屋をやりました。

 お届け先は小松さん。小松さんのご子息が、ゴーカートを始めるのでアライヘルメットを購入。無事お届けできました。

 ゴーカートのセッティングとかバリバリにやっちゃうんだろ~な……。

 市内からサーキットに向かう高速道路。広くて5車線。ゆっくりなクルマと、無茶苦茶おらおら運転車が混在する中東の雰囲気。

 角田選手のインタビュー現場。がんばれ~~~。

 ガレージ裏には、今年いっぱいで引退のトストさんが行ったレース名の入ったボード。

 今回がラストレースのトストさん。いいレースができるといいですね。角田選手にとっても、恩返しのできる最後のレースですからね。

 マクラーレンはちょっと色合いが派手になります。

 フェラーリ、レッドブルは通常カラーリングに戻ります。

 レッドブル、ホンダはここで勝てれば勝率でセナプロ(セナ&プロスト)時代の記録を超えられます。僕はそうなってほしいな! と思います。

 メディアカフェ。

 ランチでいただいたチキンビリヤニ。おいしいです。

 今回はF2の最終戦でもあります。岩佐選手がどんなレースを見せてくれるのか楽しみですし、来季のSF参戦とアルファタウリでのテストもアナウンスされました。

 トヨタの宮田選手は来季のF2参戦が発表されるなど慌ただしくなった木曜日。

 ホンダとトヨタという日本のメーカーが日本人ドライバーとF1をどんな関わり方をしていくのか、興味津々であります!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。