まるも亜希子の「寄り道日和」

BYDの新型EV「シーライオン7」に試乗してきました

BYD シーライオン7のリアビューは世界的なトレンドである横一文字のテールランプがポイント。個性的でかっこいいですよね

 2024年の実績で、世界自動車販売台数427万台となったBYD。8秒に1台の新エネルギー車を生産し、そのうち30秒に1台は輸出されているという、日本メーカーはトヨタグループ以外すべて抜かれてしまったほどの勢いです。日本ではこれまで、BEVのみで「ATTO 3」「ドルフィン」「シール」の3モデルが販売されており、ディーラー数も着々と増えて全国に60店舗以上。2023年1月の販売開始からすでに4000台以上を販売しています。そして先日、日本で4モデル目となる新型のBEV「シーライオン7」が発売され、試乗することができました。

 ATTO3よりひとまわり大きく、堂々とした存在感のあるSUVなのですが、BYDが展開している海洋シリーズを踏襲したデザインによって、フロントマスクはとても個性的。ブーメランシェイプのLEDヘッドライトや、「オーシャンX」と呼ばれるバンパー部分のモチーフが目をひきます。フォーマルな場にも似合うセダンのシールを、もう少し力強さのあるSUVに仕上げたような印象を受けました。

ドルフィンやシールのときも驚きましたが、後席の広さはこちらも負けてません。ゆったり3人座っても大丈夫なゆとりがありました

 WLTCモードの航続距離が590kmのRWDと、540kmのAWDがあり、両方に運転席と後席で試乗したのですが、この2台は距離だけでなくキャラクターがかなり異なるんです。驚いたのはAWDでスポーツモードにしたときの、スーパーカーも真っ青かという怒涛の加速! それも、アクセルペダルを踏み込むと瞬時にぶっ飛んでいくような感覚で、0-100km/hが4.5秒というのも納得。とんでもない速さですよね。しかも後席の乗り心地にもSUVとしては落ち着きがあり、足を組んでゆったりできるほどの余裕のスペース。これならショーファーカーとしてもアリかも? RWDの方はそこまでの速さではないものの、十分に鋭い加速でキビキビとスポーティに走ることができ、高速道路のレーンチェンジなどの身のこなしが軽快で、どちらかというとドライバーズカーの要素が強いのかなと感じました。

ドライブモードのほかに、ステアリングとブレーキアシストの効き具合を別々に選べるので、好みの走りにピタリとハマるのもうれしいところです

 そしてこのBYD シーライオン7で大きく進化したのが、インパネセンターにドドーンと鎮座するディスプレイの操作。反応がものすごく早くなり、できる表現も大幅にアップしているんです。ディスプレイに表示される自分のクルマのグラフィックから、指で窓を開ける動作をすれば本物でも窓が開くなんてビックリ。後席にもルーフのハンドルのところに音声認識用のマイクが付いていて、後席から小声で「Hi、BYD。窓ちょっと開けて」なんて言ってもその通りにしてくれます。さらに、ウインカーを左に出すとディスプレイにクルマの左側の死角になるところが映されたり、Uターンなどでステアリングをぐるぐると回すと、真上から見た映像が表示されたりします。死角にある障害物がひと目で確認できるのはありがたいですね。

 また、運転席側のAピラーにドライバーモニタリングシステムのモニターが装備されて、疲労検知と注意力散漫検知を行ないます。従来はペダルやステアリングの操作のアルゴリズムで疲労度を検知していたのですが、より的確に認識できるようになっているそうです。あとすごいのはスマホの非接触充電。なんと超高速の50Wで、ベンチレーション付きで冷やしながら充電できるとのこと。これまでシールなどは15Wだったので、4倍近くパワフルになっているんです。スマホが手放せない現代人には、こういう装備が響いちゃいますよね。

 そしていちばんすごいのは、この内容で欧州ブランドだったら軽く1000万円は超えちゃうかなというところ、なんとお値段495万円から。補助金はもうすぐ確定するらしいですが、ここからさらにお得になると思うと……。本当に驚きです。BYD シーライオン7、またあらためてロングドライブをしてみたいなと思う1台でした。

4月20日に富士スピードウェイで開催されたBYD初のオーナーズミーティングでは、80台限定だったところを80台以上が集結! にぎわっていました
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。