F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第83回:サウジアラビアGPはフェルスタッペン選手が完璧なレースで勝利! Haas小松代表にヒュルケンベルグ選手がうれしい1ポイントをプレゼント

 サウジアラビアGP。開幕から中東の2連戦。土曜日のナイトレース。

 レース直前、夜空には無数のドローンが舞っています。きらびやかな演出には夜が最適。

「僕たちにとっては、優勝と同じ意味のレース。いや僕はね、レースって本当に楽しい、大好きなんだなって思いますよ!」と小松チーム代表の初ポイント、ヒュルケンベルグ選手が持ち帰った1点獲得。

 レース後のホスピタリティーで話してくれるその笑顔は、聞いているこちらも若干涙が出てくるくらいの感動です。

 代表になって、自分なりの考えでチームの構築に取り組んで、少ない予算と時間を最大限活かして臨んだ2024シーズンの出だしは成功しているように見えます。

 いやー、うれしかった!

 上の写真を撮る少し前には、先にマグヌッセン選手が帰ってきて、ジーンさんとみんながねぎらいの言葉をかけていました。ものすごくいい雰囲気。

 小松代表の采配は、1点勝ち取るためにヒュルケンベルグ選手をステイアウトして、マグヌッセン選手に後続のライバルを抑えてもらってギャップを築くという作戦。

 1コーナーで仕掛けてくる角田選手との戦いは、非常に見応えがありました。

 チームの指示を完璧にやってのけた、マグヌッセン選手のドライビングとハースのクルマのレースペースがよかったというレースだったと思います。

 RBの2台はレースペースがよくありませんでした。何周にもわたってハースを抜けなかったRBのマシンのペースが足りなかったということです。

 角田選手ファンの皆さんからしたら、ちょっとずるいんじゃないの? と思われるかもしれません。

 でも、モータースポーツはチームで戦うスポーツです。ルールに則って戦い、先にゴールしたものが得点する権利を得るというものです。

 各チームが2人のドライバーにそのコースで走る最適な状態に近いマシンを用意し、決勝のレースの作戦を考えてドライバーに指示を出して、1台でも前の順位でゴールするためにチーム全体で戦うスポーツ。

 もちろん、全て人間がやるわけですから、作戦のミス、ドライバーのドライビングミス、そしてライバルの作戦も絡んできていろいろな状況が生まれます。

 AIやコンピュータで解析する要素が多くなってきているとはいえ、人間がやっているから面白いわけですし感動も得られるわけです。

 10位を得たヒュルケンベルグ選手から上の9台は、レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、メルセデスの8台と、アロンソ選手ということになります。

 この10位の1点の重みが、中段チームが争う最高位になるわけです。

 何がなんでも、得なければならないポイント。そのものすごい戦いを制した今回のハースの戦いに僕は感動しました。

 そのチーム代表の小松さんの気持ちが真っすぐでこれがまたいいんだな……。

 ポールtoフィニッシュ、完璧なレースでした。フェルスタッペン選手2連勝。

 どこまで連勝してくれるのか、僕は楽しみですよ!

 速い選手が速いマシンに乗って、チームが完璧に仕事をしてくれる。無敵に見えます。

 無敵に見える、レッドブル。でも、相変わらずのホーナーさんの界隈は騒がしい。

 関係者から聞いたのですが、レッドブルチームの中で、ホーナーさんへの信頼はとても厚く、今回のゴタゴタでも揺るぎないものだということです。

 開幕戦後のチーム全体ミーティングの終わりにホーナーさんの言葉で会社全体が大歓声に包まれたんだそうです。ここまで育て上げてきた実績と上司に対する信頼ということでしょうか。

 ネットの情報だけだと、本当の内情というのは分からないものなんですよね……。

 今回の騒動の影響はイメージも含め大きいと思うのですが、報道というものは兎角面白おかしくマイナスイメージに振った方がウケがいいと言うのは事実ですよね。

 その格好のネタにされているという側面も大いにあると思うんです。

 でも、その中枢では本当にどんなことになっているのか分かりませんよ、でも、チャンピオンチームがチャンピオンらしいレースを戦ってくれさえすればいいんです。なるべく早い収束を祈ります。

 マルコさんとチーム首脳陣。雰囲気はよく見えますけどね。

 パルクフェルメ。ホーナーさんの奥さまとニューウェイさん。

 サインツ選手の虫垂炎で、急遽参戦したオリバー・ベアマン選手。

 F2に参戦していて、ここでもポールポジションを獲得していました。18歳。若い!

 レースでも完走して7位入賞! 素晴らしい結果を持ち帰ったと思います。

 フェラーリでレースデビューって、運も持ってますよね。今後が楽しみ。

 そんなサインツ選手がレース日にパドックに来ました。前日に手術したそうです。

 ゆっくりゆっくりとした歩みでした。絶対に、まだ手術あとは痛いと思います……。

 ベアマン選手のお父さんとしばし話をしていました。

 急病になってしまうのは、誰でもありうること……僕も、何年か前にブラジルで救急車に乗りましたし……。

 レース日、ドライバーズパレードの前にレッドブルのホスピタリティーでマルコさんと角田選手。結構長く話していました。

 どんな内容だったんでしょうね?? バーレーンの件? 今回の予選9位の件??

 マルコさんの温かい視線がいいです。

 ドラパレ直前まで話していて、振り返った表情。その表情から察すると、前向きで楽しい会話だったのかな?

 レースではペナルティーもあって15位になってしまいましたけど、リカルド選手の前で結果を出し続けることもできているし、いい流れになるといいですね。

 海の脇を走るサーキットなんだけど、ワンショットで撮れる場所は多くないんです。

 F2、宮田選手。もちろん初めてのサーキット。

 高速コーナー、ラインオフエリアなしというサーキット。

 プラクティス直前、緊張感あり。

 SFチャンピオンとして、GRドライバーとして、日本を代表してF2を戦う。

 まわりはそう見る。

 とても難しいチャレンジ。

 世界中からF1ドライバーになるために若者が集まってくるカテゴリー。日本で培ってきたノウハウが活かせる部分とそうでない部分がある。

 厳しい結果となってしまったサウジアラビア。

 予選20位。レース1、12位。レース2、15位。

 ピアストリ選手、4位入賞! 素晴らしい才能。

 ちなみに、このピアストリ選手は2020年にF3チャンピオン、2021年にF2チャンピオン。それぞれ1年でチャンピオンを獲得した実績があります。

 ノリス選手とモントーヤさん。気をつけなければ……。

 中東2連戦が終わって、日曜日早めに起きてホテルで書いています。早く帰って、おいしいカツ丼を食べたい……。

 では、次戦オーストラリアです!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。