F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第90回:フェルスタッペン選手が優勝したスペインGP。ハース代表になってから10レースを終えた小松代表と話してきました

 スペインGPでした。

 フェルスタッペン選手優勝。予選2位からスタートし、最初だけラッセル選手にリードされたけど、サクッと抜いてあとは独走。

 圧勝って感じ。素晴らしい!

 今回のヘルメットカラーリングはオレンジメタリック。過去に何度か同じようなオレンジ色があったけど、かっこいい!

 レース前、グリッドに向かう直前。ホーナーさんと談笑。余裕を感じました。

 アップデートもあった今回のマシン。コースによって得手不得手が例年よりはっきり出るようですけど、チャンピオンを取れればそれが正解。

 ただ、個人的にかっこいいかと言われると、ちょっとね……。

 今期7勝目。もちろん、ランキングトップ。

 契約が更新されてホッとしているのかな。ペレス選手の予選は8位。ペナルティーがあってグリッドは11位からスタート。レースは8位。

 作戦があったとはいえ、8位ってのはどうなの?

 フェルスタッペン選手のサポートに徹する役目に納得したのかな。

 チームとして、それでいいのかな? ドライバーとして、それでいいのか?

 グリッドでホンダの吉野さんと湊谷さん。

 外から見ると余裕でレースしているように見えるホンダですが、たぶん、毎戦緊張感ありまくりの戦いを続けているんだと思います。この2人の顔つきがどんどん男前になっていってますからね。

 チャンピオンチームとホンダがレースをできるのはあと1年半。

 アストンマーティンというチームがどのように力をつけていくのか分かりませんが、おそらく現在のレッドブルのようにはいきませんよね。

 まあ、まだそんな先のことを考えなくてもいいか……。

 スタート直後。この状態から、フェルスタッペン選手の後ろにいるラッセル選手がトップに立つわけです。

 2位にはポールポジションからスタートのノリス選手。メルセデスを抜いていくときは、サーキット全体が湧きました。

 マクラーレンの躍進は本物です。

 フェラーリは今ひとつスピードが足りませんでした。サインツ選手にとっては、フェラーリで戦う最後のGPだったので結果がほしかったでしょうね。

 ルクレール選手が5位、サインツ選手が6位。

 ガスリー選手が9位入賞2点。

 オコン選手が10位、1点獲得でアルピーヌがダブル入賞。選手権もハースを抜いて7位に浮上。

 オコン選手の来季のチームはどうなるんでしょうね。

 地元の英雄、圧倒的人気のアロンソ選手は12位。ポイント獲得ならず。

 RBのアップデートが全く機能しないという事態。ここまで好調を維持してきたように見えていたし、さらなるアップデートを入れて……というもくろみは外れてしまいました。

 リカルド選手が15位、角田選手が19位という結果。

 アストンマーティン、RBのマシンの特性をバルセロナに合わせ切れなかったということです。

 これだけ空力の解析が進んでいる現在の状況でもこのようになってしまうということは、チームにとっては厳しい現実には違いありませんが、僕個人的にはこういうことがあるから面白いんじゃないかと思うわけです。

 コンピュータで全てがはじき出せて結果が決まるのであれば、レースをやる意味がほぼなくなるわけですからね。

 ドライバー、エンジニア、メカニックの努力や経験を総動員し、それぞれの人間のやることの失敗や成功、天候の変化、運、などいろいろ混じり合ってヨーイドンして結果が導き出される。

 分からない部分をどれだけ結果に結びつけられるか、だから面白いし感動もあるわけですからね。

 レースが終わって、小松代表と雑談を1時間ほどしました。

 代表になって1年目、チームの重積を背負って10レース目。明確なビジョンを持って、確実に仕事をしつつ、ときには反省し、次にはその反省を元に倍返しするような痛快な話もたくさんありました。

 小さな巨人のような小松代表。何よりレースが好きで、レースの本質を100%分かっていて、チームをこれから押し上げていくことをまっすぐに考え、これまで興味のなかった仕事も考え方を自ら変化させて楽しみながら突き進んで、偉くなったからといって決して虚勢を張ることなく、バックパックでサーキットに通うチーム代表は小松さんだけだと思います。

 1つ話を披露すると、代表になって身だしなみも気をつけなきゃと思い、ヒゲを毎日剃るようになったって!

 今回のレースはヒュルケンベルグ選手が11位……で、残念ながらノーポイント。しかも10レースで5回目の11位というギリギリの残念……マシンにコンマ1秒足りないんだよねってことです。

 僕にとっても小松代表のおかげで、レースが楽しくなったよ!

 きっとそういうファンもたくさんいると思います。

 来季からザウバー、アウディに移籍のヒュルケンベルグ選手。大活躍の今シーズンですね。小松代表も大絶賛。

 F2の宮田選手。

 土曜日のレース1は2番手でゴールしたのでパルクフェルメに走ったら、なんとペナルティーで7位になってしまったそうです。レースペースもよくてようやく波に乗れたかなって感じでした。

 日曜日のレース2はスタートからペースが上がらず13位。何か原因があると思うのですが、またまた結果を出す難しさを感じるF2でしたね。

 日曜日は曇り予報だったんですけど、晴れ間も出たんです。

 お客さんもたくさん入りました。レースウィーク合計観客動員数は29万7368人だそうです。

 大入りの観客席から、「MAMORU!」という声。

 え? 誰? と振り返ると、お兄さんが僕を見ながら手を振ってくれていて、レース後にメッセンジャーにこの写真を送ってくれました。

 モンツァのパラボリカでマーシャルさんをやっている人でした。写真ありがとう!

 左下に真っ黒い人が写っているんだけどね。こんなには黒くないよね?

 月曜日はホテルで仕事しつつ、洗濯もしなきゃね。火曜日にオーストリアに飛びます!

 今回のレンタカー、オペル・コルサの新型。6速マニュアル。

 前の型もたくさん乗って好印象だったけど、新型はさらによくなった。乗り心地も使い勝手も素晴らしい!

 スペインに来る前に北海道の旭川で借りた新型フィット。前の型はたくさん乗りましたし好印象。新型は初めてでした。

 モーターが主導するクルマになったそうですね。アクセルを踏み込めばビュ~って加速は気持ちいいんだけど車体が重い感じするし、ブレーキのフィーリングとか足まわりの感じとかも僕には今ひとつ。

 燃費とかはいいのかもしれないし、慣れの部分もあるんだろうけどね。僕は前の型の方が好き。

 ということで、次はオーストリアGP。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。