F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第92回:マクラーレンのピアストリ選手が初優勝! 厳しいレースの世界が見えた&晩ご飯難民になったハンガリーGP

 ハンガリーGP。マクラーレンのオスカー・ピアストリ選手が初優勝を飾りました!

 オーストラリア人の23歳。ドライバーとして目指すものは、F1のシートを得る、そして優勝、チャンピオンであると思うのですが、F1参戦2シーズン目で優勝という目標を達成したことになります。

 その才能は、関係者を含め多くの人が認めるところで、レースごとに速さと強さを積み上げていっている感じ。

 しかし、チームメイトのノリス選手のレベルまではほんの少し届かないレベルではないでしょうか。

 今回のレースでも、そうでした。チームとの取り決めで、今回のレースではピアストリ選手が勝ちを受け取るというチームオーダーがあったようです。レース終盤残り3ラップのところで、首位を走っていたノリス選手がホームストレートで減速、ピアストリ選手に勝ちを譲りました。

 正直、僕個人的にはスッキリしない順位の決まり方だったので残念に思います。

 夢にまで見たF1での初優勝が、チームオーダーによって得られたものというのは、本人もうれしさ100%ではないですし、速かったノリス選手にしても納得100%ではないですからね。

 だから、なぜ、チームがそのような取り決めをしたのか……。

 ピアストリ選手の貢献度を評価してのことだと思うんですけれど、今のピアストリ選手の状況からして、自分の力で優勝するときはそう遠くない気がするのは僕だけでしょうか?

 パルクフェルメで一番うれしそうな表情をしたのはハミルトン選手との会話のとき。

 ふとした瞬間には、素の表情に戻ってましたからね。

 ノリス選手にしてみたら、そりゃあ、いろいろな気持ちが交錯しますよね。

 ペレス選手の気持ちになってみると、それはそれは夜も寝れないですね。否が応でも自分のパフォーマンスがタイムや順位ではっきりと出てしまうスポーツ。

 言い訳を並べることはできるけれど、結局は結果でしか評価を得られない。

 チームとしても、コンストラクターズタイトルの順位にも影響がありますし、なんとかしてくれないかという気持ち。

 でも、今回の予選でもクラッシュしてしまいます。

 もうメンタル的な要因じゃないかと思います。16位のグリッドから、7位でゴール、6ポイント獲得。

 チームとして、じゃあ交代するとすると誰がいるのか? となるわけです。

 僕は日本人ですから、角田選手がいるじゃないかと思いますけれど、メキシコの多くのファンからすると、もう少し時間をあげてくださいよとなるだろうし、ホーナーさん、マルコさんからすると、リカルド選手、ローソン選手、角田選手の3択になると、いろいろな側面から決めにくい状況にあるわけですね、きっとね。

 角田選手にしてみたら、もうレースで結果を見せつけるしかありません。

 そんな予選のQ3、僕は4コーナーにいました。

 そのアタックラップの4コーナーの立ち上がりのマシンの向きの変え方のキレはひときわすごかった。

 その数秒後に、ドカンという大きな音が聞こえました。5コーナーの立ち上がりでガードレールにぶつかった音でした。

 その場所は、以前からよく撮影する場所です。立ち上がってくるマシンが縁石をギリギリに捉えられるポイントです。もう何十年もここで撮影していましたけど、今回のようなコースアウトを見たことがありません。

 上りながらの右高速コーナーなんですけど、ほんの少し攻め過ぎてしまったんでしょう。

 スピードも乗っているし衝撃はすさまじく大きかったのは間違いないです。

 マシンはほぼ新車になってレースに臨むことになり、角田選手から説明はないけれど、おそらく身体的にも影響があったのではないでしょうか。

 それほど、このアタックラップにかけていたのだと思います。

 メディカルカーの後ろに座った瞬間に悔しさを爆発させていたように見えました。

 レースではただ1人、1ストップという作戦をとって9位入賞しました。素晴らしいレースをしたと思います。

 レース後のパルクフェルメで、マシンから降りて体重測定に向かう姿を見ると少し足を引きずっているようでした。

 そういう姿を見たのは今回が初めてではなく、体にきついサーキットの走行後は同じような光景を見ることがあります。

 今回は、予選のときのダメージもあったのかもしれませんね。

 9位入賞というのは、レッドブル首脳陣に対していいアピールになったのは間違いありません。

 リカルド選手。レースは12位で、チームの戦略ミスかという結果でした。

 リカルド選手にとってみても、結果を出さねばならぬ状況は一緒です。

 そういう意味では、走れなくてただ待つのみのローソン選手の状況というのもハラハラしますね。さあ、どういう決着になるんでしょう……。

 とりあえず、現状のままというのも次戦のベルギーの結果次第ではありますし……。

 今回のレースで、これまで以上にフラストレーションを表に出していたのはフェルスタッペン選手。

 自分のマシンがこれまでのようなパフォーマンスを出せていない。レッドブルというチームが最強のマシンを作り続けてくれなくなっている。

 4年連続チャンピオンに一番近いところにいるのだけれど、マクラーレンの速さ、メルセデスの復調をみると心中穏やかではいられなくなっている。

 リアカウルをスッキリしたバージョンに変更して臨んだ今回のレースだけれど、結果的にはマクラーレンのペースにはついていけなかった。

 レース終盤、1コーナーで3位のハミルトン選手をパスするときにタイヤをロックさせてしまって方向が変わらないという状況になり、ハミルトン選手と接触してしまってコースオフ5位になってしまったことも、フェルスタッペン選手らしからぬ焦りがあったのかもしれませんね。

 スパでは好調なはずですからね。

 ハース。

 FP1では、来季からのレギュラードライバーが決まったベアマン選手が乗りました。

 そして、今季限りでハースを離れることがアナウンスされたマグヌッセン選手。

 ヒュルケンベルグ選手との差を冷静になってみてみると致し方ないです。来季以降はほかのカテゴリーで活躍してくれると思います。

 いいレースもたくさん見せてくれましたね。残りのレースを楽しんでいってほしいです。

 F2宮田選手。

 日曜日のレースで、ようやく8位入賞! トンネルを抜けられたかな!

 前回のシルバーストーンでも撮影があったらしいのですが、僕はお休みしていたので続報を。

 大がかりな撮影は相変わらずの規模で行なわれていました。ブラピさんもちらっと見かけました。

 レースの映画って、ちゃんとしたのなかなかないので期待してます!

 今回のレンタカー。ルーマニアのクルマメーカーのダチア。ルノー傘下のメーカーだそうです。

 運転は尾張さんなので助手席に乗った感じでしかないですけれど、久々にこれは……って感じのクルマかな……。

 晩ご飯難民になるハンガリーGP取材班……。

 金曜日がマック。3330フォリント、1458円。

 土曜日がケンタ。3850フォリント、1686円。

 日曜日は、遅くなり過ぎて抜き……。

 暑いハンガリーGPが終わって次は大好きなスパフランコルシャンです!

 雨乞いしちゃいます! ベルギーは雨降ってほしい!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。