F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第96回:アゼルバイジャンGPでマクラーレンのピアストリ選手が2度目の優勝! ハースはポイントを持ち帰るも小松代表は渋い顔

 アゼルバイジャンGP。ピアストリ選手の優勝。2度目です。

 前回は譲ってもらった優勝だったので、今回はスッキリ気持ちよく勝った優勝です。すぐ背後にはずっとルクレール選手がいたので、緊張感あるレースでした。

 この写真は、レース後の集合写真。さかのぼります。

 1・2・3イェ~って感じ。

 ノリス選手の前には、専用シャンパン! シャンパンと言えばノリス選手ですよね。

 その手は、すでに……。

 コルクは抜けました……。

 立ち上がりますよね!

 振りますよね!

 かけますよね!!

 ピアストリ選手が僕の横に逃げてきてくれたのでいい写真が撮れました。

 しかし、マクラーレンは強く速くなりましたね。ドライバーも素晴らしい。ノリス選手が17番グリッドから4位入賞ってのも素晴らしい。チームの作戦もバッチリ!

 このようにピアストリ選手、ルクレール選手、ペレス選手というフォーメーションが続きました。

 スタート。ポールのルクレール選手がしばらくトップを走りました。

 ペレス選手。今回は予選4位、レースも3位を走行していて残り少しのところでサインツ選手と接触し、両者リタイアとなりました。

 両者おとがめなしということは、レーシングアクシデントということ。

 ゴールしなければ結果はありませんので避けたかったアクシデント、というかいいバトルだったので最後まで見たかった。

 ハースはペナルティーで欠席のマグヌッセン選手にかわって、来年からレギュラードライバーのベアマン選手を起用。予選11位、レース10位で1ポイント獲得。

 初ハースでのレース、しかも難しいコースでポイント獲得というのは、大活躍ということです。

 今回も、ミッドフィールドで戦ったハース。

 レース後にポイント獲得、ベアマン選手の活躍の話を聞きに小松さんのところに行ってきました。

 そのときの小松さんの表情が硬い、とてもポイント取れてよかったという雰囲気ではないのです。

 その理由は「まず、最初のベアマン選手のスティントでタイヤをセーブし過ぎてしまった。ヒュルケンベルグ選手のペースがよかったので、それを見ていたチームがベアマン選手にペースアップの指示ができなかったこと。その時点でかなりタイムを犠牲にしてしまった。第2スティントでは2台のペースはものすごくよくて、余裕でコラピント選手やアロンソ選手に追いつくペースだったんです。そもそもヒュルケンベルグ選手が14位スタートであの位置にいたのだから、ベアマン選手がちゃんとしたペースで走っていればアルボン選手の前で走れていたんです。だから、今回のレースをきっちりやっていればRBとほぼ並ぶポイントになっていたはずなんです」。

「ポジティブな面はヒュルケンベルグ選手が得意としていないここでいいレースをしてくれたこと、あとはベアマン選手のパフォーマンスが素晴らしかったことです。チームとしては、及第点に全く届いていない。タイヤのマネジメントのコミュニケーションがダメです。もちろん、最終的には僕の責任なんですが、トラックサイドの力の底上げをしないといけないと思います。これまでの17戦、非常に接近した中段グループで戦っているんです。せっかく車体デザインの人、空力の人とかがいいクルマを作ってくれて、いいドライバーが2人いて……。もうね……」。

 真剣に戦うチーム代表の率直な気持ちを皆さんにもお届けしたいと思います。

 僕などは、コースに出て写真を撮りながら目の前を走ってくるクルマの順位すら中盤を過ぎると分からなくなります。

 各チーム、その内情を全部ではないにしても、ほんの少しでも聞くと大変な思いをして戦っているんだと思います。

 道具を使い、多くの人が関わっているモータースポーツ。分かりづらいけれど、結局人間がやっているんですよね。だから面白いと思うんです。

 角田選手。今回もフラストレーションのたまるレースでした。

 レース、オープニングラップでストロール選手と接触。車体の側面に大きな穴が空いてしまいました。これが原因でリタイアとなります。

 びっくりだったのがフェルスタッペン選手。3位を走っていたペレス選手とは違って、全然ペースが上がらない。こんなフェルスタッペン選手はあまり見たことがありません。

 レースは5位。これにて、コンストラクターズポイントは2位に後退。

 コラピント選手が、アルボン選手に続いて8位入賞。素晴らしい!

 正直、F2のときはほとんど気にしてなかった選手。2戦目でポイント獲得。サージェント選手の立場がないくらいの活躍。

 でも来季のシートはないんです。

 ドライバー選びって、チームの人たちはどういう尺度で選んでいるんでしょうね? もちろんお金の持ち込みもあるとは思うんですけど、F3、F2で速くてもF1だと成績が出ない人もたくさんいるし……謎。

 アゼルバイジャンのサーキットは、絵になります。光もきれい。

 写真の背景にも変化をつけやすい。

 旧市街への入り口。名物コーナー。

 その名物コーナーの縁石はペイント。路面に跡が残っていますが、最初のころは高さのある縁石があったんですよね。

 コース下見のルクレール選手。幅広ジーンズなので、靴下で裾にチェーンオイルがつかないようにしているんだなっているのを見て、高校生時代の学生服をそうしていたな~って思い出しました。

 どうでもいいか……。

 ジョナサン・ウィートリーさん。レッドブルのスポーティングディレクター。

 18年いたレッドブルを今季限りで退社。2026年からアウディのチーム代表就任と言われています。

 ニューウェイさんをはじめ、人材の流出が止まりません。そんなチームだからなのか、チーム力の低下が成績の低下ということになっているのか? いないのか?

 RBのサイドポンツーンの中にあるラジエター。美しい。

 アゼルバイジャンの街中。コース移動は僕らカメラマンもお客さんのエリアを歩いて移動しなければならないことも多く、ある程度道は覚えないといけません。

 街中にはまだ古めのクルマも見かけます。

 レースの写真を撮るには、他のサーキットとは違う要素もたくさんあって楽しいんだけど、遊びに来ることは僕個人的には絶対になし……。

 だって、いい加減な対応されることがものすごく多い。例えば、ホテルの予約を安いレートで早めにするじゃないですか。そうするとホテル側から、全部その時期はメンテナンスで休んでいるとか、休みだからと言って、レース時期が近くなると全部キャンセルになる。そんな国は他にはあまりない。

 とにかくスキアラバ、ぼったくろうという商売が多い。

 もちろん、そうでないこともあるんですけどね。いやはや、早く出国したい。

 メディアの数も、イタリアGPの半分くらいじゃないのかな? 来たくないという関係者多し。

 この方、同業のカメラマンのメイソンさん。イギリス人。

 走行時間待ちしていたら、彼の腕に日本語のタトゥー。3人の子供の名前なんだそうで、去年ロンドンで入れたらしい。

 なんで日本語なの? って聞いたら、日本が好きなんだって。なんと! うれしくて紹介させていただきます。

 朝ごはんはメディアセンターのサンドイッチと果物、晩ごはんは日本から持ってきたカレーとカップ麺。

 これでいいんです。だっておいしいんだもの。

 木曜日の小松さん。次戦のシンガポールは笑顔で終われるレースになりますよーに!

 コース脇のアパートのベランダから観戦。ストリートコースならでは。

 火曜の深夜に羽田着の予定で、水曜のお昼前に羽田からシンガポールに向かう旅程です。無事に行けるのか?

 シンガポールは日本からのお客さんが多いので、行かれる方、ぜひお声掛けください。僕に余裕があるときであれば、写真を撮らせてください! こちらに掲載させてくだい。

 ではまた。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。