F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第107回:鈴鹿からの3連戦を締めくくるサウジアラビアGP。マクラーレンのピアストリ選手が連勝! レッドブル勢は……

 怒濤の3連戦の最後、サウジアラビアGP。

 スタートは1コーナーのアウト側にあるゴールデンタワーの41階に行ってきました。

 ポールポジションはフェルスタッペン選手。

 優勝はピアストリ選手でした。

 予選は2位、スタートでポールのフェルスタッペン選手に並んで1コーナーに入って、フェルスタッペン選手の行く場所がなくなり、コースオフして2コーナーでそのまま復帰したことが5秒ペナルティとなり、順位が入れ替わってそのまま最後まで順位が変わらずピアストリ選手が優勝となりました。

 まあ、そのような順位の決定というのは、見ている側から言うと、なんだかつまらないという状況になってしまいましたね。でもルールがそうだから仕方ないです。

 首位走行時にミスなくやり切ったピアストリ選手はランキングでも首位に立ちました。

 喜怒哀楽を大きく表現しない性格もあるのですが、3シーズン目の若者という感じではなく、ベテランっぽいレース運びです。

 今後はチームメイトのノリス選手とのランキング争いになっていくと思うのですが、レースでこの2人がトップ争いをする場面を見てみたい気がいたします。

 もちろん、コースによってはメルセデスやレッドブル、フェラーリにもチャンスはあると思います。

 フェルスタッペン選手は悔しかったでしょうね、1コーナーに入るまでにピアストリ選手が真横まで来ていました。

 蹴り出しで負けてしまいましたね。ただ、それが決定打となってしまいました。

 予選のQ3、最後のアタックラップの走りにはしびれました。高速コーナー、ブラインドコーナー、壁近コーナー満載のこのサーキットで、あのような走りができるのは、フェルスタッペン選手しかいないように思います。

 レースは2位でランキングは3位。

 1周目の角田選手とガスリー選手との接触クラッシュの影響でセーフティーカー。その解除後の1、2コーナー。

 角田選手。ピットまで戻って、ガレージに戻されるところです。

 スタートして1周目というのは、追い抜きのチャンス。誰もがジャンプアップを狙いにいきます。

 ぶつかってしまえば元も子もないというのは、もちろん分かっているのです。それでも、そのギリギリのところでどうにか前に行きたい。

 レース後にコントロールタワーに向かう角田選手。その結果、レーシングインシデント。どちらにも非があるわけではないという裁定です。

 世界で選ばれし20人でも、当たってしまうときは当たってしまう。

 サーキットでさまざまなカテゴリーのレースがありますが、一番よくあるスタートでの接触リタイア。一番悔しいのは、ドライバー本人。

 レッドブルドライバーになって3戦目。難しいと言われているマシンに慣れるためにはなるべくたくさん走りたいという意味でも、今回の2回のクラッシュは残念でした。

 トップチームに在籍するということはまわりからの注目度も格段に上がってくるわけです。結果さえ出せば、雑音はあっという間に消し去ることができます。

 期待しています!

 3位にはルクレール選手。

 ドライバーズパレードの代わりにチームごとのトークイベントでした。観客席が少ないからかな?

 ハミルトン選手のペースが上がりません。少し焦りのようなことを感じ始めているような気もします。様子を見てみましょう。

 今回はウイリアムズがダブル入賞。8位サインツ選手、9位アルボン選手。
コンストラクターズ5位になりました。

 10位はアジャー選手。

 ハース、サウバー、両チームは無得点でした。ヒュルケンベルグ選手と小松代表は今でも良好な関係です。

 小さなモスクと紅海。

 毎日晴れ。今年は日中の気温が30℃くらいで、いつもより5℃くらい低い気温でした。

 このノーズに開いた小さな穴から空気を入れて、多分ダクトが伸びていて……。

 多分、このゾウさんの鼻みたいな穴とつながって、角田選手のコクピットに空気を送り込むのではないでしょうか? 多分です……。

 ブリアトーレさんが来てからのアルピーヌはいいですよね。それはたまたまなのか、はたまたブリアトーレパワーなのか?

 この写真はレース中、半分くらいの時間グランドスタンドの裏側、結構な人が歩いています。

 レースをじっくりと見るのではない人の割合も多い感じですね。鈴鹿とは大違いです。

 空軍による戦闘機などのパレード。これは金曜日の練習。

 本番の日曜日、予定の時間ずっと待っていたんですけど、来ませんでした……。何かあったから来ないの? とかいろいろ考えてしまったのは僕だけか?

 メディアのケータリングです。ランチとディナーを提供していただけます。

 バーレーンとほぼ同じような味と内容。2週間連続というのは厳しい修行のような気持ちにもなる味でございます。

 食べれるというだけで幸せなんですけどね。

 F2宮田選手、今回もポイント獲得ならず。

 うちわに僕の“MAMORU”という名前をアラビア語で書いてもらいました。左側の黒い部分。

 今年で5回目のサウジアラビア。

 今回初めてレンタカーを借りて通勤しました。トヨタ・ヤリス。安心のトヨタでありました。全く普通。バーレーンのクルマとはえらい違いです。

 今までの4年間は、Uberで移動だったり、メディア用のシャトルバスを利用したりしていました。

 ここの交通事情は、ほかの国とは段違いに強烈なんです。

 何がって言えば、簡単に言うと運転が荒い! ウインカーを出さないのは当たり前、追い越し車線はどこでも、50cmでも車間があれば入ってくる。

 まさに、なんじゃこりゃという異国情緒満載。きっと50%くらいのドライバーは自分はフェルスタッペン選手より運転がうまいと思っているに違いない!

 だいたい、日中は暑いから歩くという習慣はないんでしょうね。だからクルマが多い。

 去年も書いたような気がしますけど、歩道というのがほとんどない。横断歩道もない。だから縦横無尽に横断してしてくる人が多い。

 幹線道路に信号がない。右左折が厄介。特に左折ができない。どうするかというと、Uターン場所で戻って右折場所を探すというむっちゃ面倒。

 だからUターン渋滞。そこに割り込み多数だからさらに渋滞。クラクションの嵐。

 道の作り方が普通とは違うんですね。なんでそうなったのか? 信号を作るのが面倒だったから? 信号を守る人がいなかったから? とにかく独特であります。

 もしサウジアラビアに行ってクルマの運転をする人がいたら、ぜひ注意して運転してくださいね!

 というサウジアラビアGPが終わって、急いで空港に向かって深夜3時の飛行機に乗り、カタール経由で日本に月曜日の深夜に到着しました。

 帰国してからこのコラムをアップしましたので遅くなってしまいました、すみません!

 次戦のマイアミGPはお休みいたします! TV観戦いたします。

 なぜかというと、ゴールデンウィークで日本から出る航空券がとんでもない値段ですし、アメリカの物価もとてもとてもな状況ですので行けません。

 ですので、次回はエミリア・ロマーニャGPからの3連戦となります。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。