F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第106回:暑い、熱いバーレーンGPは、マクラーレンのピアストリ選手がポールtoウィン! 喜びのレッドブル角田選手入賞!

 桜の日本GPの翌週、バーレーンGPでした。

 肌寒かった鈴鹿から、昼間の気温が39℃近くのバーレーンに来てみて、やっぱり寒いより暑い方がいいと感じました。

 レースはポールtoウィンでピアストリ選手の優勝。ノリス選手を相手にしないようなスピードを披露しました。

 ひょっとするとチャンピオンに一番近いのがこの人かもしれません。昨年までとは速さと安定感が整ってきているかもしれません。

 2位にはラッセル選手。メルセデスとマクラーレンの差は微差。サーキットによっては勝てるレースもありそうです。

 レース後のハース代表、小松さん! どうですかこの表情!

「もう最高だよ! 本当に会心のレースができた。チームの気持ちが1つになってこの結果が得られて、今最高の気分です。たくさんの人に支えてもらってこの喜びを共有できる仲間がいて本当によかった。エステバンとオリーと予選後にもたくさん話して信頼関係を築けていたというのも大きかったし、特にオリーの予選の失敗は僕の判断ミスの結果だったので、20位のグリッドから10位でポイントを取れたのが素晴らしいし、エステバンの8位もそう。ダブルポイントを取れたのは正直びっくりだけど、チームにとって素晴らしい自信につながりますよ!」

「ミスを恐れずにやる。ミスしたらしっかりとその原因を見つめて、受け入れ、認めて次に進むということです。当たり前のことを当たり前にやっていれば、今日のようなことをやれる可能性がある。もちろんうまくいくという保証なんてないけれど、とにかく正しいと思うことをひたすらやり続けるしかないと思うんですよ。目の前にある事象を判断していくという連続の中で、神さまでもなければ、予知能力などあるわけないのだから、全力でやるしかない……。本当にうれしい、メルセデスとレッドブルと戦っていたんですよ! 本当にこういう瞬間のためにやっているんですよ。ドラッグみたいだってこの間言いましたけど本当にそう思う」。

 この写真は、上の写真を撮る直前、オーナーのジーン・ハースさんと話しているところ。その会話の中で聞こえてしまったのが、ハースさんに向けて「僕を信じてくれてありがとう」。

 320人程度という圧倒的に一番規模が小さなチームがポイントを取り続けるにはどうしたらいいか、小松さんがこれまでF1に携わる中で得た知見をもとに文字通り日夜考え、実行してこのハースというチームを強くしています。

 たまたま、僕は小松さんと話すことが多いので、このコラムで書かせてもらっていますが、このようなことをやっているチームはほかにもあるかもしれません。ですが、話を聞くたびに驚きますし、元気をもらうし、うれしさを分けてもらっている気がします。

 24戦中まだ4戦目ですけれど、ランキング5位となりました。このまま順調にはいかないとは思いますけど、単純にすごくないですか?

 オコン選手が8位で4ポイント、ベアマン選手が10位で1ポイント。5ポイント加算しました。

 モータースポーツ、マシンはキレイでカッコいい、でもそれを走らせるのは人。

 そこには、喜びも、悔しさもあります。チームスポーツなんですよね。

 もちろん、ドライバーの存在も大きいけれど、エンジニア、メカニック、ケータリングスタッフもいるし、コースマーシャルさんたち、お客さんもそう。

 楽しいね、F1。

 FP1にハースから走った平川選手。

 これまで、マクラーレン、アルピーヌのマシンでFP1を経験してきました。

 今後はハースでFP1を担当するそうです。これは、小松代表からの信頼を得ているからというのが理由です。

 フェルスタッペン選手。予選7位、レース6位でした。

 鈴鹿のようにはいきませんでしたね。今年、チャンピオンを獲得するには、マシンの大幅な進化が必要ですね。このままでは、フェルスタッペン選手が来季もレッドブルにとどまるのは厳しいかも。

 上の写真は木曜日、パドックには人が少なくて、鈴鹿とは大違い。ゆっくりな時間が流れていました。

 FP1にフェルスタッペン選手のマシンで岩佐選手が走りました。

 ガレージの外にいる僕には、その緊張感が伝わってきました。まあ、そりゃそうですよね。

 ヘルメットのてっぺんのイラストが小さくなってました。

 最初のランでは、リアに計測器付きでした。

 パフォーマンスランはなし。いい経験になっているはずです。

 レッドブルに移籍2戦目の角田選手。

 鈴鹿ではポイント獲得ならずでしたから、じゃあ、ここではどうなんだという期待も膨らみます。

 FP2、フェルスタッペン選手7位、角田選手18位。FP3、フェルスタッペン選手8位、角田選手20位。

 この時点では、むむ……という気持ちもあり。

 予選でフェルスタッペン選手7位、角田選手10位。

 ここで、ようやく、ホッといたしました。

 レースは9位入賞。ポイントを取れて、本当によかった。

 今後は、フェルスタッペン選手とのタイムや順位がどこまで縮まるのか、それを楽しみにしていますし、ひょっとしたら表彰台のチャンスもあり得るわけですからね。

 そう思えるだけでも、幸せですよね!

 今回はガスリー選手がいいレースしました。7位6ポイント獲得。

 ハミルトン選手、レースは5位。ルクレール選手とのタイム差が気になります。

 サヒールの路面はザラザラです。いかにもタイヤ減りそうな感じです。

 中東でレースをやりたい。昼間は暑いから夜やればいい。ということで、バーレーン、サウジアラビア、カタールはナイトレース。

 鈴鹿での白艶レッドブルから通常色に戻ったレッドブル。

 あの白は、この通常色の上にラッピングをしたんです。そのラッピングしたことで重量が増えます。でも、もともとマシンにはバラストを積んで最低重量に合わせているので、バラストの重量をラッピングの重さ分だけ減らしたことによって、総重量は変化ありません。

 しかし、白いラッピングは車体の上の方にありますから、重心が上の方に変化します。それは、究極のマシンにとってはほんの少しだけ喜ばしいことではありません。

 ラッピングの重さは、僕が食べられないくらいのステーキの重さ程度だそうです。さてなんグラムなんだろ??

 HRC渡辺社長にV10エンジンについて聞いてきました。

 僕がした質問は「F1というスポーツ、エンターテイメントにとって今後10年、20年先のことを考えたときに、お客さんにとってV10エンジンから発せられる音というのは非常に大きな意味を持つと僕は思うのですが、ホンダにとってはどのようにお考えでしょうか?」

 それに対して渡辺社長は「とても難しい話だと思います。単純に見る側からはV10の方がもしかしたら楽しくエモーショナルに感じるのかもしれないですが、やはりわれわれとしては、技術対技術の戦いということがF1に参戦するという意味の1つにあるので、一度撤退して今回2026年から再参戦するというのは、電動の部分が重要な要素を占めるということなんです。そういうレギュレーションがあったからこそ、再参戦を決めたという部分があるわけです」。

「もちろんファンの方々は大切ですので、エキサイトメントということと、われわれの求めていることとの折り合いをどう折り合いをつけていくかということは、今後よく議論をして決着できるといいなと思います」とのこと。

 F2、宮田選手。オーストラリアに続いて、ポイント獲得ならず。

 遊んでいるわけではありません。

 パスタのバリラがスポンサーに付きました。

 ですから、パドックにパスタを提供していただけるスタンドがありました! すごくおいしかったです。毎戦、来てほしい。本当に!

 メディアとF2、F3のチームは同じ食堂でご飯を提供していただけるんです。ありがたいです!

 今回のレンタカー。

 カローラかなって思ったら、チャンガン?というメーカー。

 なんと申しましょうか、とにかくギヤボックスがすさまじくひどい。燃費も著しくひどい……。

 ガソリン、相変わらず激安! 53円/Lです!

 いい音しながら走っていた30Z。僕は昭和のおじさんですから、エンジンの音や振動、匂い。大好物なんですよね。

 今週末は、3連戦の最後サウジアラビアGPです。ではまた!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。