F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第108回:ヨーロッパ3連戦! 初戦のエミリアロマーニャGPはレッドブルのフェルスタッペン選手がぶっちぎり優勝。イタリア飯レポもお届けします

 エミリアロマーニャGP。初日の木曜日に、タンブレロイン側にあるセナさんのモニュメントに行きました。

 パドックエリアから公園の散歩道をゆっくり歩いて10分くらいの場所にあります。サーキット敷地外にありますから、いつでも行くことができます。

 いつもと変わらぬたたずまい、雰囲気。31年前の出来事です。

「人生は、敵を作るには短すぎる」。深い……。

 レースは、予選2位からフェルスタッペン選手が優勝!

 しかもぶっちぎりな感じ。

 年間24回も違うサーキットで行なわれるF1。

 サーキットによって得て不得手が出てきますから、勝てるところは確実に勝つ。そして、マシンのアップデートを成功させて年間戦うことになるわけです。

 昨年のレッドブルは、そのアップデートを失敗してしまって後半は厳しい展開となりました。

 今年はマクラーレンの年だって言われてますけれど、今回のレッドブルとフェルスタッペン選手の速さを見せつけられると、まだまだ分からない展開になりそうですし、予測不可能ということになってほしいと僕は思いますね。

 土曜日の予選はヴァリアンテ・アルタに行ってました。

 角田選手はQ1のインラップしか来ませんでした。最初のアタックの3コーナーでクラッシュ……なんということでしょう……。

 未確認ですけれど、角田選手にとって、このイモラサーキットは庭みたいなサーキットではないでしょうか? F1でテストなどしてますし、一番たくさん走っているはずです。ですから、縁石や路面の状況など知り尽くしているはずです。

 レッドブルという勝つことが可能なマシンに乗っている自分にとって、今回の予選は行けるはずだったし、行こうとしていたはずです。

 本人のコメントでも言っていますが、悔しいでしょうね。

 とりあえず、Q1とQ2はそこそこで通過してQ3で勝負すればよかったのにとか、あとになって外野が言うのは簡単ですが、やるやらないを決めるのはドライバー本人。成功すれば称賛、失敗すれば非難。結果を出さねばならない。

 レースは、ピットレーンスタートから10位入賞。1ポイント獲得。

 ドラパレの直前。

 ローソン選手にしても、アジャー選手に対して負けてしまっています。

 関係者の方に伺ったところ、完全にメンタル的なこととしか思えないとおっしゃっていました。レッドブルに行く前のローソン選手と、今と比べると別人のように悩んでいるそうです。

 克服するにはどうすればいいのか。

 F1ドライバーが結果を出し続けていくためには、自身のドライビングに関する技術へのたゆまぬ研鑽、メンタル、運、才能、適切なアドバイスができて身近に寄り添ってくれる人の有無などで決まってくると思うけど、自分で切り開いていかねばなりません。

 大変な職業ですよね。

 FP1で、ホンダの吉野さんが、銀色の棒を持ってあちこち。あとで聞いたら、この棒はオイルを足し引きするときに使う延長棒ということでした。

 セッションの途中でもPUのエンジンオイルの量を調整するそうです。

 例えば、少なくすれば軽くなりますから、チームにすれば軽くしたいという要望もあるそうです。なんとも、極限の世界のお話だこと!

 突き詰めるのが、F1ということです。

 アジャー選手は9位入賞2ポイント獲得。素晴らしいですね。

 チーム内でも人気者。これから伸びていく雰囲気大です。

 そんな彼も、開幕戦で大失敗しているわけですからね。

 見ているわれわれも、やっぱりリスペクトが大事です。

 大人気のハミルトン選手、今回はいいレースができて4位。ルクレール選手にも勝てて、ご機嫌さんでした。

 ドゥーハン選手に替わって、コラピント選手になりました。

 ブリアトーレさんの采配だと思うんですけれど、チームとして結果を出すという目的からすると、このコロコロドライバー交代するのが正解のかどうなのか?

 5戦しかないとなると、結果を出しに焦るというのは成り行き上仕方ないように思えますけれど。まあ、お考えあってのことだと思いますけどね。

 お久しぶりの、アロンソ選手好調、予選5番手! レースは11位でポイントならず。アストンマーティン、復活なるのか?

 ホスピタリティーユニットが新しくなったハース。

 サウジアラビア、マイアミ、エミリアロマーニャと続けてノーポイントに終わってしまいました。

 それぞれのレースで噛み合わなかった理由は細かくあるんですね。今回もポイント圏内で走れるマシンのパフォーマンスはしっかりとあったそうです。

 しかし、いろいろな問題があってポイントを取れなかった。小松代表は前向きに対処を続けていくことで結果をつかみ取ってくれると思います。

 レース後も、チームのメンバーと長く話しているところを見ました。ハースファンの皆さん、大丈夫。きっとまたやってくれると思います。

 今回は、古いF1の走行もありました。

 タイレル6輪が2台も走ってました。4番の方は、マルティニさんが走っていて、とっても速かった。ぶっちぎりな感じでした。3番の方も速かった。

 6つもタイヤが付いているし、小さい。かっこいい!

 ほかにも、走っていたF1たち。たぶん1980年代のマシン。

 F2の宮田選手。土曜日のレース1はリバースグリッドでポールポジションからスタートしたのですが、6位。日曜日のレース2は16位でした。

 ザウバーが参戦600戦ということで、ピーター・ザウバーさんが来ていました。

 レッドブルも400戦目。勝ててよかった。

 あと私事ですが、今回でF1取材600戦目となりました。

 500戦を日本人で最初に達成したのは、先輩カメラマンの金子博さんです。

 600戦を日本人で最初に達成できて思うのは、正直そんなに実感としてなんてことはないというのが実感であります。

 ただ数を重ねれば何かいいことがあるのかと問われれば、ほとんど意味はないと思います。けれど、数を重ねて、真面目に写真を撮ることを追求すれば、いい写真が撮れる可能性が確実に上がります。もちろん撮れないことがほとんどですけど、写真は現地に行かなければ何も始まりませんからね。

 日本から出かけて取材するというのは、ヨーロッパベースの人たちに比べて大変だし疲れます。でも、F1を撮影するのが難しくて楽しすぎるので、これまでやってこれました。

 さらにF1に来て参戦しているチームや企業の日本人の皆さんに話を聞くと、半端ないエネルギーを持って真面目に挑む姿を間近で聞かせてもらってます。少しでも、僕にできることは写真を撮り伝える努力をしたいし、下手な文章でも伝えることをしなければいけないように思うのです。

 僕は英語が話せないので、日本人限定な取材になってしまうのが、自分でも歯痒いのですが、今から英語の勉強をする気力はありませんのでこのままいけるところまでいこうと思っています。

 これから、F1で取材したいと思っているジャーナリスト&カメラマン志望の人がいれば、ぜひ英語をきちんと勉強してから来た方が絶対いいと思いますよ!

 このタワーに登ってFP2を撮影してきました。下の写真の、直線が以前のスタート位置です。グリッドの白線、今は黒く塗りつぶされていますが、ポールポジションの位置からセナ選手のスタートが切られました。

 セナさんがいたころは、報道関係者に日本人はたくさんいました。カメラマンとジャーナリスト、編集者、フジテレビさんなど合わせて少なくとも30人。ひょっとしたら40人くらいはいたのではないでしょうか? 今回は6人でした。

 現地に来て取材したものに対してお金を払える媒体がなくなったし、世の中がネットで情報を得て翻訳コピペする、写真も同じですよね。

 でも、早く安く伝えるものばかりでは、その面白さを正確に伝えることができるんでしょうか? 時代の流れだと諦めてしまっている、僕も流されてしまっていますけど、ほんの少しだけどあらがってみようと思っています。

 そんなふうに、思う600戦目でした。

 ではイタリアの食レポいきます!

 僕は、なんと言われようとスパゲティと言えば、ペペロンチーノが好き! 日本風では素うどんですけど、好きなんですね。

 ですから、毎回イタリアに来たら最初に食べるパスタはペペロンチーノなんですよ。

 たぶん、これまでイタリアにはたくさん来ています。50回は楽勝で来ています。その度に、イタリアのレストランで食べるペペロンチーノはなんでこんなにおいしいのか! と言ってきましたし、実際にそうでした。

 でもなんと、今回初めて、なんじゃこれはというペペロンチーノに出会いました……。ゆですぎふにゃふにゃ、味もしょっぱいだけ……もう愕然といたしました、イタリアで食べればどこでもおいしいというのは違いました。

 このあと、ピザも食べたけど、写真を撮るのを忘れたぐらいおいしくなかった。そういうこともあるんですね。

 その次の日の夕食は、昨年行ったレストランへ。

 きしめんみたいなパスタにトリュフとベーコン。これは最高においしかった。よかった、本当によかった!

 あとは、メディア用のケータリングがサーキットでランチとディナーを出してくれます。

 ありがたいし、超おいしい。イモラのサービス最高です!

 今回のレンタカーは、ニースで借りてイタリアまで走ってきました。ルノー・キャプチャー。ハイブリッドモデルです。

 18インチタイヤはカッコいいのかもしれませんが、悪路でバタバタいたします。でも、高速道路、長距離も快適ドライブです。

 燃費は17.5km/Lって感じ。なかなか優秀ではないでしょうか。

 低速でのカックンブレーキと、電池切れのときのエンジン回転の上がりとかが今ひとつですけど、全体的にまあまあです。

 ハイブリッドじゃない方がいいかもね。

 サーキットが近くなると、恒例の渋滞です。まあ、渋滞致し方なしですね。

 サーキット近くの駐車場。1日、3300円くらい。安い?

 SS9という道からイモラの街に入ってすぐにセナ選手が泊まっていたホテルOLIMPIAがあります。

 丘に少し登ればタダ??

 サーキット外のショップ。

 カウンタックLP500QVは、おじさんたちの憧れ!

 今年は天気もよくて過ごしやすかったグランプリウイークでした。

 ドイツに駐在しているご夫婦。各国でよく会います。旦那さまは、超絶写真が上手なんですよ。電撃ナマズさんです。

 次はスペインGPに行かれるそうです! またね!

 イモラでのレース、来季はないような噂があります。次のF1開催はいつになるのでしょうね?

 今回は600戦記念で、少したくさん書いてみました。いかがでしたでしょうか?

 さて、次はモナコであります! 楽しみしかない!

 また!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。