F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第109回:伝統の美しきモナコGPはノリス選手がポールトゥウィン ウイリアムズトレインや2回ピットインに思ったこと

 モナコGPはマクラーレンのノリス選手が優勝! ポールポジションという強力な位置からほぼ何も起こらなかった展開のレースで優勝を成し遂げました。

 伝統のモナコでの勝利は、F1ドライバーとして成し遂げたい栄誉だと思います。

 レース終盤の実質の首位争い。結構くっついていますけど、ここはモナコですからね。

 首位の3人とも白いレーシングスーツ。モナコという場所は、チームとしても特別をアピールしたくなるグランプリなわけです。

 ウイリアムズトレイン。スタート直後ではなくレース終盤の場面。アルボン選手の後ろのラッセル選手はムズムズしている状況ですね。

 抜けないので、ゆっくり走っても抜かれない。狭い道幅とレイアウト、マシンの大きさが原因ですが、昔から抜けないのがモナコの伝統。

 確かにセナさんが走っていた頃は、ミラボーやシケインの入り口でたまに追い抜きがありましたけど、マシンの性能差がよほどあればという感じではなかったでしょうか?

 モータースポーツというのは、クルマやバイクを使ってドライバーやライダーがヨーイドンして誰が一番速いか競う競技。

 早く走るのが正義であり、ゆっくり走った方が有利になるというのは違うのではないかという議論が沸騰中であります。

 去年のこの話題で、今年2度のピットインが義務になりましたが、そのルール改正では解決になりませんでした。

 じゃあ、これからどうすればいいのか?

 いまきっとF1のルールを決める権限のある方たちが一生懸命に考えてくれていると思います。

 僕個人的には、F1がこの美しい街を走ってくれているだけで幸せいっぱいです。年間3戦やってほしいくらいです。

 もちろんレースがレースらしい方が見ている人たちにとっていいに決まっているのは当たり前ですけど、このモナコでは難しいですよね。

 例えば、雨が途中で降ることもあるだろうし、赤旗がたくさん出るようなこともあるでしょう。

 そういう不確定要素がない限り、予選の順番通りの結果じゃんか……というレースになるのがモナコGPなんです。そんなレースが24戦中1戦あってもよろしいのではないですか? 予選のピリピリ感も半端なくすごいですからぜひ注目ください! って感じでいかがでしょう!

 なんてったって、この雰囲気の中でレースが行なわれているということこそ伝統のモナコGPだと思います。

 RBの作戦が珍しくうまく機能しました! アジャー選手が6位、ローソン選手が8位。

 同じく、ゆっくり走る作戦をしたウイリアムズもアルボン選手が9位、サインツ選手が10位。

 2チームともダブルポイント獲得でした。

 ハース、オコン選手が予選8位!

 この予選が、小松代表にとってものすごくうれしかったんだそうです。

「21年F1でやってきて、一番と言ってもいいくらい!」というお言葉をいただきました。

 レースでも7位入賞6ポイント追加でコンストラクターズ6位。僕的には、レース後の小松さんの機嫌がよかったのが一番うれしかった!

 角田選手、予選12位、レース17位。

 今回でF1参戦95戦目で片山右京選手と並んで日本人最多参戦となりました。100戦目はカナダGP。

 角田選手のアンダーボディー。

 メルセデス。

 ハイブリッドPUとV10エンジンへの回帰という議論は現在落ち着いているというか、PUのまま行くんでしょうけれど、それは現在参戦しているメーカーは、エコも含めてPU開発に莫大なお金と時間を注ぎ込んでいるわけですから、いきなりV10とか言われてもオイオイって思うのは当然。

 でも、エンターテイメントでもあるF1にとってみると音は重要な要素です。

 参戦メーカーの意見は大事ですし、その参戦意義を尊重もしなければいけないと思います。

 でも、サーキットに見にきてくれるお客さんの気持ちを考えると、興奮や記憶に残るのは圧倒的V10の音であるのは間違いないと思うのです。

 だって、モナコの街中にこだまするポルシェのエンジン音は素晴らしいと感じるわけですから。

 エコという観点にしてみても、複雑怪奇なPU開発に投資するお金やパーツ開発、電池の開発も含めると、単純明快な内燃機関のエンジン開発の方がエコじゃないでしょうか?

 燃料を工夫すれば、ますますエコだし、地球環境にもいいんじゃないでしょうか? 開発費も全然安くなるし……。

 そうは言ってもね……となるんでしょうけど、長くお客さんを楽しませるF1でいるためには、思い切った舵取りをしてほしいなあって思います。

 ブレーキの冷却関係の工夫が、すごいらしい。僕には理解不能であります。

 モナコで圧倒的に人気のルクレール選手。2連覇はならずでした。

 レッドブルのスピードがモナコでは発揮されることはなかったです。次戦の普通のサーキットのスペインでどうなるか楽しみです。

 3日間ともほぼ太陽が出ていました。観戦には大変素晴らしい天候でした。

 FP3でハミルトン選手の壁ドンの瞬間であります。小さくてすみません……。

 チャンピオンでも失敗はするのです。

 F2宮田選手。スプリントレース、10位。フューチャーレース、リタイア。

 観客席の中の売店で売っていたホットドッグ。14ユーロ、2300円であります!

 しかも、おいしくない……なんで、もうちょっと工夫できないなんだろ?? 売れるの分かっているのに、もったいない。

 その場で売り上げ上がればいいのね。残念。

 かわいいです!

 素晴らしい景色あちらこちら。モナコ観戦、おすすめですよ!

 イモラとモナコ2週間、このキャプチャーと過ごしました。

 電池パワートルクで加速は気持ちよく感じられますし、燃費もいい。

 気になったのは、電池切れのとき、加速時にエンジン回転のぶち上がりはいいとして、減速時の回生ブレーキのせいなのか、踏力に対してブレーキのタッチが一定でないので、効きが甘く感じたり、低速時にカックンブレーキになるのがすごく嫌。

 だから、ハイブリッドじゃない方が普通に快適じゃないかと思いました。

 アルピーヌA290。ときどき見かけました。

 電気自動車なんですよね。ルノー5ターボみたいでカッコいい。乗ってみたい。

 素晴らしきモナコは、あと1年しないとやって来ない。また来年が楽しみです!

 次はスペインGP。いまスペインでこれを書いています。

 中華料理が楽しみなスペイン! ダメですか? さあ、チャーハン買ってこよう!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。