F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第112回:オーストリアGPはマクラーレン熱いバトルをノリス選手が制して優勝! そして角田選手の小さな変化に思ったこと

 オーストリアGP、レッドブルリンクスタート。

 今回はグリッドに行くのをやめて、3コーナーに行きました。

 アントネッリ選手が3コーナーイン側でブレーキロックさせてそのまま、なんとフェルスタッペン選手に追突。

 今回のレッドブルリンクのメインドライバーをリタイアさせてしまったアントネッリ選手の心境は、想像しただけでも恐ろしいほどの反省だと思います。

 フェルスタッペン選手の雰囲気は、それほどの怒りは表には出していませんでした。これまでとは違って、勝てる要素が低かったということもあるのかもしれませんね。

 レースはノリス選手の優勝でした。

 レース展開自体は、マクラーレンの2台のトップ争いが面白かった。

 このサーキットではレッドブルの速さが際立っていたんですけどね……。

 角田選手、今回こそはと本人もファンもそう思っていたでしょう。しかし、結果は完走16台中16位となりました。

 一番下の写真はレース中大きめの左コーナー、次々にくるマシンを流し撮りするんですけど、角田選手の通過スピードは決して早い方ではないという印象でした。

 コラピント選手 vs 角田選手。

 コラピント選手も今ひとつスピードを出せていない中でのレースが続いています。

 迫る角田選手がこのあとの4コーナーでぶつかってしまって、フロントウイング交換と10秒ペナルティーで万事休す……。欲しい結果を残すことが不可能なレースにしてしまいました。

 レッドブルのマシンに乗れるチャンスがあれば、どのドライバーでも断ることはしないのではないでしょうか? 少なくとも、今年の中国GPのあとの時点ではそうだと思います。

 あのフェルスタッペン選手と同じマシンを手に入れられるのであれば、もちろん乗りますし、そもそも選ぶ権利などないかもしれませんし。ですから、「RBにいればよかったじゃん」とかいうのはなしです。

 でも、実際に乗ってみたらローソン選手が苦戦したのと同様に難しさ極まるマシンだったということです。その難しさというのが、素人の僕などではどうも理解し難いわけです。

 うまくマシンの能力が発揮できる幅が狭いっていうじゃないですか。作動温度のこと? タイヤの? それって、どういうことなんでしょう??

 全員同じタイヤで同じコースを走るわけで、少なくともチームメイト同士は同じマシン。タイヤが4つあって、その運転をしているのはこれまでたくさんのレーシングカーを運転して、勝ち上がってきた若者ですよ。

 とてつもなく、運転がうまいわけです。そのうまさって半端ないわけです。その人たちがことごとく、うまく走れないって言うわけです。

 たった1人、フェルスタッペン選手だけ速く走ることができる。フェルスタッペン選手が、特別だっていうのはこれまで目の当たりにしてきました。コース脇から、とんでもないスピードを感じたことは何度もあります。そのスピードというのは、まわりにいる19人のとてつもなくうまいドライバーに比べてそう思うんですから、やっぱり特別な才能がフェルスタッペン選手にあるのは確実にそう思うんですけど、じゃあそのマシンRB21の特別さって、なんなのか?

 謎は深まるばかり……。

 角田選手のヘルメットがアライヘルメットからシューベルトになりました。FP1のときに見てびっくりいたしました。

 変えた理由は定かではありませんが、角田選手にとってやれることはなんでもやってみようということの1つではないかと僕は思います。ヘルメットは外に出ている部分です。空力に影響はします。それは決してアライヘルメットが空力にわるい影響があったなどということではなく、フェルスタッペン選手と同じにしてみることによって疑問を減らしたいということではないですか?

 シーズン中にかぶり心地で変更することなどないと僕は思うのです。

 ローソン選手のスピードが戻ってきたように思います。予選6位、レース6位。素晴らしいじゃないですか!

 レース中、後ろのアロンソ選手のプレッシャーに負けなかったのも素晴らしい。これからアジャー選手といいレースをしていってほしいですね。

 ハミルトン選手に勝ち続けているルクレール選手。

 今回のいちばん噛み合ったレースをやってのけたのがザウバーの2人。ヒュルケンベルグ選手が20番最下位グリッドから9位入賞。すごいことです!

 そして新人ドライバーのボルトレート選手が予選8位から8位入賞。ザウバーのダブル入賞となりました。

 ハースはオコン選手が10位入賞。中段チームのポイント争いが非常に面白くなってきています。

6位 RB 36ポイント
7位 ハース 29ポイント
8位 アストンマーティン 28ポイント
9位 ザウバー 26ポイント
10位 アルピーヌ 11ポイント

 サーキットによって、今後どうなるか分かりませんから要注目です!

 レース日は暑かったですよね。アロンソ選手がマシンから降りて、腰を左右にひねったところです。いてててて、って感じかな。7位入賞はさすがです!

 小松代表のニューマシンのシェイクダウンでした。スペシャライズドのバイク。むちゃくちゃ速いそうですよ!

 多忙を極める仕事ですから、気分転換が必須。そんなときにバイクライド。

 宿泊のホテル前にはファンがたくさん。サイン大会となるわけです。そのあとは、晩御飯をごちそうになりながら、インタビューさせていただきました! ごちそうさまでした!

 最終コーナーのトラックリミット対策は昨年と一緒かな。これは予選後の状態です。

 レース中です。昨年までは、フェルスタッペン選手応援団の集合場所になっていた人気スタンド、当然のようにぱんぱんの満員御礼状態しか知らないので違和感。今年は右の方が見ての通り売れ残ってしまってオレンジの板でごまかしている感じ。

 確かにフェルスタッペン選手、今年は苦戦しています。でも、だからって来ないんだ……って思いました。ほかのスタンドも、空席が目立ちました……。

 F1人気に陰りか?? はたまた、フェルスタッペン選手が速くないと行かなくてもいいやってなったオランダの方々が思った以上に多い?

 2041年まで開催延長したレッドブルリンクのF1開催。大丈夫かしら??

 角田選手のマシンのノーズの先っぽの中身。ドライバーに空気を送るためのダクトを削っていました。

 楽しみにしていた、フライングブルズ。今年はT-28B トロージャンとコルセアくらいしか飛んで来ませんでした。中東の戦争のせいでしょうか?

 いつもの定宿に新しいわんこのマリーちゃん登場! むちゃくちゃかわいい! 僕の洗濯して干してあったパンツをくわえていったのもこの子!

 わんこはいいなあ。

 黒い子は前からいた子です。わんこはいい。

 今回のレンタカーはプジョー・208。ガソリン6速MT。低い回転でどんどんシフトアップしていくのが気持ちいいクルマ。

 タイヤがブリザックだった。夏タイヤだったら、もっと好印象だったかもしれません。

 ウイーン空港から宿まで、250km。宿からサーキットまで片道50kmを4日間で400km。合わせて650km走って39Lですから、燃費は16.6km/Lです。

 びっくりなのは、ガソリン代。1万210円なり……リッター261円! アクセル踏めね~~~~。

 いつもの通勤途中の風景。

 日本を離れてそろそろ3週間。尾張さんが、クリームパンかこしあんドーナツのどちらかをあげるって持ってきてくれました。

 まじで神さまに見えたんです。クリームパン、いただきました! ダンケシェン!

 オーストリアに来る前はニュルブルクリンク24時間レース、スバルチームの撮影に行ってました。ゴール前に耐火スーツに着替えるためにプレスルームに行って椅子に座った3秒しか寝なくて写真を撮り続けるという幸せな時間でした。

 レンタカーはアウディ・Q5。高級車ですからいいに決まっているんですけど、やっぱり僕はデカくて背の高いクルマのゆさゆさしたのは好きではありません。

 ということで、明日、イギリスに移動します。では、ホーム・オブ・モータースポーツの地、シルバーストーンをお楽しみに!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。