F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第113回:伝統のイギリスGP。マクラーレン・ノリス選手の優勝も、ザウバー・ヒュルケンベルグ選手の3位もおめでとう!

 イギリスGP、僕的に1番だったのが、ヒュルケンベルグ選手が3位表彰台獲得!

 なんと、初表彰台! なんと、239戦目の快挙! なんと、37歳! なんと、予選19番からスタート! しかも、ザウバーです! 素晴らしい!

 条件が厳しくなり、完璧なドライビングとチームの戦略が噛み合えばフェラーリよりも速く強いレースができるということを証明してくれました!

 表彰式では、本当にうれしそうなヒュルケンベルグ選手がまぶしいくらいです。

 ガレージ前で行なわれた記念撮影大会でも、非常にいい雰囲気でした。

 ヒュルケンベルグ選手が3位になれるなんて誰が想像したでしょう? もちろん、最近調子よかったけれど、19番グリッドから出ているわけですからね。

 いやもう本当に素晴らしいレースでした。まさに快挙だと思います。何年かに一度の気持ちいいリザルトです! おめでとうございます!

 これで、コンストラクターズランキングもザウバーが6位となりました。

 優勝はノリス選手、地元GP初優勝です! やっぱり誰でも、自国での優勝というのは夢を見るわけですからね。達成感あるでしょうね。

 2位はドライバーズランキングトップのピアストリ選手。レース序盤は首位を走行していたんですが、セーフティーカーラン中に急減速したことで10秒のペナルティー。自らのミスで優勝を手放してしまったわけです。悔しそうでした。

 序盤の急な豪雨は、空の景色も雨飛沫も素晴らしく美しかったです! この天候も、何年かに一度あるイギリスらしい天候です。

 予選のフェルスタッペン選手のアタックラップ。前を走るアントネッリ選手の後ろを走ってトーをもらいました。

 と言っても、アントネッリ選手からすれば、オーストリアのお返しにというわけではなく、たまたまそこにいただけだとは思うんですけれど、しかし予選後にはこの場面がタイムに好影響を与えてポールポジションの獲得につながったわけです。

 フェルスタッペン選手のライン取りも通常よりだいぶアウトにマシンを振ってました。

 レースのウエット路面では、さすがのフェルスタッペン選手でも厳しくミスもあり5位となりました。

 ホンダ三部社長とHRC渡辺社長と記念撮影。

 角田選手。今回こそはと思っていたと思いますが、グリッドは11番からスタート、レースは15位。

 ウエット路面では厳しかった。10秒のペナルティーもありましたし。

 木曜日の記者会見。

 今回は笑顔の場面が増えたように思いました。

 FP1はリンドブラッド選手に譲ったので、ピットウォールからデータを見ながら様子をうかがっていました。ホーナー代表といい雰囲気で談笑する様子もありました。

 リンドブラッド選手はF2ルーキーでイギリスが終わった時点でランキング6位という選手。成績だけ見ていると、ずぬけているわけじゃないけれどルーキーで6位という成績は立派です。

 木曜日、ピットレーンをプラプラしていたら、ローソン選手が抱えられていました。もちろん、メカさんやフィジオさんたちとふざけていたんですけど、レッドブルから戻ったばかりのローソン選手にはこんな感じは皆無でした。もう精神的にも落ち着いてきているんじゃないかと思いますよ!

 今回のRBは2台とも残念な結果でしたけれど、アジャー選手と2人で頑張っていただきたい!

 ハース、今回はうまくいきませんでした。予選でベアマン選手が8位という素晴らしいタイムを出したんですけれど、赤旗中のピット入り口でスピンしてしまって、ペナルティーで10グリッドダウン。

 レースではハースの2台で接触してしまってコースアウトでタイムロス。歯車が噛み合わないという典型的なレースでした。

 これでランキング9位まで落ちてしまいました。まだまだ折り返しですからね! 頑張っていただきたい!

 シルバーストーンの撮影場所のほとんどは、すぐ後ろに観客席があるので拍手や声援が聞こえるんです。その反応を見ていると、ドライバーの人気度が分かるんですけど、圧倒的にハミルトン選手の人気抜群。

 現在イギリス人のドライバーは4人もいます。モータースポーツに文化という言葉を使うとすれば、世界でいちばんモータースポーツへの人気や理解があるのがイギリスというのは間違いないと思います。

 学校の課外授業でゴーカートを選べるって素晴らしいです! 層の厚さが違うんですよね。

 レースに赤ちゃん! 英才教育? これもイギリスならではではないでしょうか。

 おじいさん&おばあさんで仲良く見にきているのもシルバーストーンならではですし、幅広い層でレースが支えられていると実感します。

 コプスコーナーのマーシャルさんたち。われわれカメラマンにも理解あって、撮影場所にも非常に協力的です。毎年、ご苦労さまです。

 グリッドでカメラを向けたら立ち止まってくれました。お久しぶりの、アーバインさん。

 古いF1の走行シーンをどうぞ。

 水曜日にアストンマーティンのチーフデザイナーの羽下晃生さんとインドレストランに行ってきました。おいしいカレーをいただきながら、長時間いろんなお話を伺いました。

 羽下さんはジョーダングランプリからスパイカー、フォースインディア、そしてアストンマーティンとずっと一緒のチームで仕事をしています。現在の仕事は、空力以外の部分のデザイン全般だそうです。

 今までで印象に残っているドライバーは?

「セバスチャン・ベッテル選手とフェルナンド・アロンソ選手ですね。やはりチャンピオンを獲るドライバーというのは本当にすごい才能を持っていて、ベッテル選手のチームをまとめ上げていく力、アロンソ選手のいいものは素晴らしいとベタ褒めしてくれるんだけれど、ほとんどダメ出しの言葉が多く、その中間がない。ストロール選手のことをよく言わない人が多いけれど、マシンの調子がいいときには素晴らしい結果を持って帰ってきてくれるし、いいドライバーだと思います」。

 エイドリアン・ニューエイさんに関しては?

「本当に手で線を描いているんですよ!現在のデザインはものすごくシュッとしていて無茶苦茶かっこいいです!」

 来年のマシンが楽しみです!

 毎年宿泊させてもらっているB&B。今年で創業42年。ジムさんとアンさんが経営しています。温かな雰囲気で迎えてくれて、朝ご飯が素晴らしいんです!

 今回のレンタカーは、フィアット・500。6速マニュアル。

 毎回思うのは、デザインと小ささだけはいいんだけど、ほかが好きになれないんですよね。乗り心地、ブレーキのフィール、エンジンもね。

 オーストリアで乗っていたプジョー・208が恋しくなる感じ。

 テイクアウト中華屋さんで食べたかったチャーハン。1500円。おいしいんだけど、日本のチャーハンとは比べられない感じです。

 ご覧の通り、ノーマルカップニュードル。レース後のメディアセンターで尾張さんからもらったんだけれど、ものすごくおいしかった!

 1か月の出張で、日本の味に飢えている状態は自覚しているんです。でもそれを差し引けないんだけど、マジ超おいしかった!

 伝統のイギリスGPはいいレースでしたね。角田選手の成績が上がってこないのは、今回も変わらずでした。

 ハースチームも同じ。

 いろんなパズルを合わせて成績が出るこのスポーツ。その組み合わせを決めるのは、決して1人ではできません。チームスポーツですからね。

 僕の初ハリウッド映画出演作のF1を僕はまだ見ていません。見た人の感想をSNSで見かけますが、モータースポーツの楽しみ方の1つが、この映画で示されているといいなって思います。

 さあ、やっと日本へ帰れます。

 次は、ベルギーとハンガリーの2連戦ですね。ではまた。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。