F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第120回:ハース・ベアマン選手が4位で小松代表も大喜びだったメキシコGP 優勝は圧倒的に速かったマクラーレン・ノリス選手!

 メキシコGP。ベアマン選手が4位というレースでした。

 僕は、パルクフェルメ&表彰式を撮るのをやめて、ベアマン選手と小松さんの表情を追うことにしました。

 メキシコの表彰台は通常のサーキットのようにピットビルディングではなくフォロソルというスタジアムセクションにあります。

 表彰台の3人と4位のベアマン選手をチェッカー含めて同時に撮ることは不可能なんです。

 レース中に各コーナーにあるビジョンで順位を確認しながらの撮影していると、なんと3位を走る場面もあって、僕としてはドキドキするわけです。

 フェルスタッペン選手に抜かれて4位になってからもドキドキするわけです。

 現在の10チームある中でも、一番小さなプライベートチームがワークスチームを後ろに従えてレースするというのは、実質優勝するのと同じくらいの状況だと僕は思うのです。ですから、僕はパルクフェルメと表彰台を撮るのをやめてハースチームの様子を撮ることにしました。

 そうする決断をしたのは、小松代表という存在があっていろんな話を聞いていましたし、今年のクルマのスピードと成績がうまく噛み合わないレースが続いてしまって、シーズン中盤でポイントを逃すレースが続いていた中で、今回ようやくバッチリ噛み合ったレースができたわけです。

 グリッドで、いつものような雰囲気でした。

 レース中盤、3位走行中のベアマン選手。

 終盤に差しかかるころ、ラッセル選手を従えて振り切った場面です。

 パルクフェルメ。いい表情でマシンを降りてテレビのインタビューブースに向かうベアマン選手。

 ベアマン選手のドライビングとチームの作戦、そしてマシンのスピードがミスなく完璧に噛み合ったレースでした。

 この4位というのは、ベアマン選手にとって最上位フィニッシュですし、チームにとってみても2018年のオーストリアGPでグロージャン選手が得た4位が最上位で、通算2回目の快挙です。

 素晴らしい!

 ガレージ裏でベアマン選手が帰ってくるのを待ちました。その間も、皆いい表情です。

 待っている小松さんと言葉をかわすベアマン選手。

 今シーズン、いろいろありましたからね。ベアマン選手のミスもありましたし、チームの作戦ミスもありました。

 ようやく、噛み合いました!

 ガレージの中で撤収作業中のメカニックさんにあいさつ。雰囲気最高でしたよ!

 チーフエンジニアさんと!

『今プレッシャーから解放されて、とってもいい気分だよ!』って言ってました!

 そりゃそうでしょうね。素晴らしいレースでした。

 チームメンバーと喜びを分かち合う時間、とてつもない努力と研鑽を積み重ねてきて、それが結果として残ったときの喜びはこんな表情に現われるのだなと思います。

 グロージャンさんも祝福に来てました。

 そして、レース後のブリーフィングのあと、チームの記念撮影。

 一番シャンパンを浴びていたのは小松さん。シャンパンシャワーの応酬のあと、記念撮影という時間でした。オコン選手は9位で、ダブル入賞です。

 チームの予算や規模が最小のチームが、マクラーレン、メルセデス、フェラーリ、レッドブルのマシンたちを従えて4位を得たという意味は、このチームを構成する写っている人たちと、ファクトリーにいる人たちの思いが結実したということです。

 全てを噛み合わせてレースの週末をやり切るというのは、本当に難しい。でもそれをやり切った今回のメキシコGP、みなさんの笑顔が輝いてますよね。

 小松さんと話しているのは、元全日本のオートバイのレースで活躍していた宮城光さん。

 モリワキからHRCのワークスライダーとして活躍した人で、僕がF1を撮影する前にバイクレースを撮っていたころからの知り合いです。

 今回は、ホンダのRA272のリザーブドライバーとしてメキシコに来ていました。そのRA272のことは、後ほど詳しく書こうと思いますので、アップしたらぜひ読んでみてくださいね!

 宮城さんからいただいた写真です。ありがとうございます。こんな顔して撮影しているんですね……。

 レース優勝はノリス選手でした。圧勝って感じで終始速かった。その結果、ドライバーズランキングも首位に返り咲きました。

 2位はルクレール選手でした。

 3位にはフェルスタッペン選手。

 マシンのフロアなどのアップデートを持ち込んでみたけれど、予選では5位。レースではタイヤのマネジメントを完璧にやり切って、ルクレール選手に肉薄するけれど3位でした。

 さすがですね。

 これまで首位だったピアストリ選手は、メキシコで失速。予選8位でレースは5位となりました。

 そんなこともあるんですね。

 角田選手、予選11位、レース11位。ポイント獲得ならず。

 タイヤ交換で12秒というタイムロスがありました。「もし」を言っても仕方ないけれど、ポイントは取れていましたね。

 チームからは、来季のドライバーラインアップの決定は先にするという話もあります。

 予選の順位を上げてアピールを期待したいです!

 パルクフェルメの後ろ姿。

 なんでか不思議なんですけれど、ノリス選手へのブーイングが目立ちました……。

 コラピント選手、来季も継続という話もありますけれど、どうなんでしょう?

 ジャック・ドゥーハン選手。彼の立場はどうなっているんでしょう?

 FP1には多くの新人が乗りました。ハースには平川選手。RBには岩佐選手。

 HRC渡辺社長とメキースさん、この組み合わせも残り少なくなってきました。

 アロンソ選手のドラパレ前の姿です。やるときはやるんですね。

 やっぱり、ここではペレス選手の復帰が一番期待されています。

 SUZUKAと書かれたTシャツの人を見つけたので、どこで買ったんですかと聞いてみました。

 そしたら、後ろにいるご夫婦が、今年、鈴鹿にF1を見に行って買ったとのこと。なんか嬉しかった!

 メキシコシティーは標高が2300mもあって空気が薄いのです。

 名物は渋滞。空気が汚れているのかどうなのはわかりませんが、関係者で体調を崩す人が多く出るのは、メキシコが一番多いのではないでしょうか?

 僕も、COTAのメディアセンターの冷房のせいで喉が痛かったのがメキシコでさらに悪化しました。

 タコスはおいしいんだけどね。

 乗り継ぎのダラスの空港のセキュリティチェックにあったフイルムの注意書き。

 まあ、もう必要ないでしょうね。

 次戦のブラジルとラスベガスは行きません。移動や宿泊などの経費がとても高いので致し方ないです。

 僕の次戦はカタール、そして最終戦のアブダビとなります。

 今回も更新が遅くなってしまってすみません。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。