F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第125回:メルセデスのアントネッリ選手がポールトゥウィンを決めた中国GP。初優勝おめでとう!

 第2戦は上海で中国GPが開催されました。

 優勝はポールトゥウィンで、キミ・アントネッリ選手。この2戦を見て、メルセデスのスピードが他を圧倒している感じでしたので、近いうちにアントネッリ選手の初優勝もあるのかなって思っていたら、早くも2戦目で勝ちました。

 嬉しそうな表情が素晴らしい! 初優勝って1度しかないですからね。

 そして、今年はこの2人のドライバーでチャンピオンを争うのでしょうか?

 3位にはハミルトン選手。去年もここでは速かったから、得意のサーキットなんでしょうか。

 フェラーリ2台の抜きつ抜かれつの戦いは見応えありました。

 メルボルンと上海で追い抜きのシーンが多くありました。おそらく抜きどころが少ない鈴鹿でも同じではないでしょうか。

 前回も書きましたが、この追い抜きのシーンが前を走るマシンの電池切れによる失速で追い抜きが可能になったのが理由です。ですから、作為的とか人工的とかいうことで、ドライバーからはすこぶる不評です。まあ、抜く方は苦労なくあっさりと抜けますし、抜かれる方はどうすることもできないわけですからね。

 昨年までの天然物のパッシングシーンと比べると、ギリギリで戦っている感じは激減してしているわけです。

 しかし、今回のレースではヘアピンの14コーナーでパッシングシーンを撮影していたのですが、お客さんは大歓声でものすごく楽しんでいました。ですから、エンターテイメントとしては大成功ですよね。

 昨年までの滅多に抜けないギリギリの技が光る天然物のマシンが走るF1。今年の多発する追い抜くシーンが見られる養殖物のマシンが走るF1。

 どちらがいいのか、僕は迷い始めております。ぜひ、鈴鹿で見ていただいて、皆さんの意見を知りたいです。

 でも速いドライバー&速いマシンがちゃんと順位を上げているし結果も出していることに変わりないんですけどね。

 小松さんのところのハース、ベアマン選手がスプリントで8位で1ポイント獲得、レースで5位で10ポイント獲得。素晴らしいではありませんか!

 あのレッドブル+フェルスタッペン選手を突き放しての5位を走るベアマン選手の走りは圧巻でした。ハースは現在ランキング4位ですよ!

 中段勢のトップにいるのがハースと思っていいのではないでしょうか。

 表彰式の後、ハースのオフィスで小松さんに話を聞いてきました。まず開口一番、「このチーム、すごいでしょ!」といい笑顔。

 今週を振り返ってどうだったのか聞いてみました。

「金曜日のスプリント予選のQ3で、ニュータイヤを履いてないんですよ。ユーズドタイヤで走ってアジャーに勝ったんです。もしQ3でニュータイヤを履いていたら7位はいけるなと思っていたんです。でもたとえ10位になったとしても、土曜日の予選に温存しておきたかったので、ユーズドで走って9位を得ました。それでスプリントレース8位でポイントを獲得できました。しかもユーズドミディアムタイヤで8位ですからね」。

「スプリントレースでローソンに負けたんですが、ローソンはニューハードで走っていたて、もしこちらもニューハードを使えばローソンには勝てて7位にはなれた。そこで1ポイントを失っているんだけれど、日曜日のレースのなりゆきによっては、セーフティーカーなどで2セット目のハードが必要な場合があるから温存したんです」。

「レースでスタートはフォーメーションラップからクルマのバランスをウインドウに入れてスタートすれば2個ぐらいはポジションを上げられると思っていました。しかし、アジャーが突っ込んできて、オリーのリアクションが素晴らしくて避けられたからよかったんですけど、順位を落としてしまったわけです。もしそれがなかったらフェラーリの4位に迫れるようなレースができていたと思うんです」。

「ストラテジーもオリーが10位からミディアムで、エステバンが13位からハードでのスタートにしたのは、どのチームも信頼性に問題があるじゃないですか。だからレース中に何かあるということを予測しておかなければいけませんから、戦略を分けました。エステバンは無理な追い越しでスピンとか、ピット作業でもたついてしまいましたが、少なくとも9位はいけたのではないかと思っています。取りこぼしがありましたが、チーム全体としてはすごくいいですね。オリーはレースが本当によくなった。昨年のメキシコと同じで、後ろにマックスがいてもミスがゼロですからね。すごく成長したと思います。あとは、マックスよりもガスリーを気にしていたんです。アルピーヌは0.5秒くらいストレートで稼いできますから。でも、全てのコーナーでハースの方が速いんです」。

「F1って厳しい世界、どこかでつまずくとなかなか取り戻すのが厳しくなります、もちろん絶対的なマシンパフォーマンスがあるメルセデスとかフェラーリであれば立て直すのも容易にできますけど、うちのような小さなチームでは無理。だから。絶対いるべき位置にいなければならないんです。全部積み上げなんですね。そういう目の前のことだけでなく、3日間全てのセッションを見通してプライオリティーを決めて物事を組み立てていった結果が5位という結果につながったわけです。確実に毎セッション、チームの力が付いてきています。それが嬉しいです!」と話してくれました。

 ケータリングのスタッフにも労いの言葉を1人ずつ交わしていく小松さん。そのスタイルはずっと一緒です。

 ますます、いいチームになってきています! そして力もついてきています。

 今年も楽しみになってきました!

 平川選手も来ていました。日本GPにも来るそうです。

 日曜日、レース前のピットレーンオープンの30分くらい前にピットレーンに行ったとき、ノリス選手のマシンで作業を始めていました。

 明らかなトラブル。その結果、走れず。

 ピアストリ選手も、グリッドには来たんだけど、その後ガレージに行って、走れず。

 チャンピオンチーム、2台ともDNSという事態。複雑なPUになったのが原因ですよね。

 さて、アストンマーティン。

 中国では金曜日、土曜日と走行はできました。周回数を稼げたという状況です。

 予選、アロンソ選手が19位、ストロール選手が21位。

 レースは2台ともリタイヤ。レース中の順位を見ていると、キャデラックに抜かれてしまって最下位を走っていました。

 振動問題もありますが、全体としてのマシンパフォーマンス、信頼性が全チームの中で最下位にいるのは間違いなさそうです。

 お金があるチームがファクトリーの施設を充実させ、実績のあるデザイナーのニューウェイさんを招聘してマシンを設計してもらい、少し前にチャンピオンPUを生み出したホンダのPUを独占使用し、チャンピオンのフェルナンド・アロンソ選手がドライブする新しいマシンは、これまでのところ、その期待に応えるようなラップは1ラップも走れていません。

 チームとしてその総合力をまとめ上げていくような人材が居ないことが問題なのではないでしょうか? 小松さんのハースと対極にあるような気がしてなりません。

 道のりは険しそうです。

 キャデラックのペレス選手とボッタス選手は、復帰した当初の喜びではなく、今は新規チームの厳しい局面の連続にフラストレーションを感じることが多くなっているようです。

 上海でのレッドブルは苦戦。

 フェルスタッペン選手は予選8位、レースリタイヤ。アジャー選手は予選9位、レース8位。

 角田選手もちゃんといました。

 今回のレース、22台中7台がリタイヤ。そのほとんどがPU関係のトラブル。昔のF1に戻った感じのリザルトです。マシンによるパフォーマンスの差もあるし、壊れるし。

 昨年のようなマシンの差がほとんどなく、壊れないレースと大違い。

 今年もたくさんのお客さんでした。

 ミッキーとミニーちゃん。今年はほかのGPにも来るんでしょうか? 中国のパドックでの人気は今ひとつな感じがしたのは僕だけかな?

 メディアセンターでは、朝昼晩と中華料理が出ます。ありがたいです。

 木曜日の夜に、街に晩ご飯を食べに出ました。

 18回目の中国GPで、たぶん3回目くらいかな……。日本人差別な感じは皆無。日本関連のお店も多い。

 日本のニュース番組だけを見ていると、日本人とわかると不当な扱いを受けるに違いないと思うけれど、少なくとも上海の街中ではそんな様子はなかったです。

 クルマ好きとしては気になる中国のクルマたち。日本車はトヨタが少し、話題のホンダはほとんど見ませんでした。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディは走っています。

 電気自動車とガソリン自動車の割合は6:4くらいかな。どんどん電気自動車が増えています。タクシーも全部電気自動車。

 おしゃれな外観の知らないクルマがたくさん走っています。交通マナーも毎年改善されているように思いました。

 さて、次は日本GPです。桜はどうなのか? レースはどうなのか?

 皆さんの準備はできてますか?

 また、現地でこのコラムに載ってもいいよって人は声がけくださいね! 走行時間以外で写真を撮らせていただきます。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。