F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第128回:メルセデスのアントネッリ選手が4連勝を遂げたカナダGP! そして、ハースにまつわる報道に対して思うこと

 第5戦 カナダGP。モントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで行なわれました。

 勝ったのはメルセデスのキミ・アントネッリ選手。なんと4連勝!

 メルセデスのマシンが今年ぶっちぎってどのサーキットでも速いことは確かですが、チームメイトのラッセル選手よりスピードを感じる場面が際立っているように思えます。

 逆を言えばラッセル選手の立場がどんどん隅に追いやられているように感じます。

 参戦2年目、レース運びに若さを感じる失敗もありますけれど、19歳にして急成長を遂げていて、まだまだ伸びしろも感じられます。勝てるマシン、チャンピオンになれるマシンのシートに座っている時点で運を持っているし、今回で言えばラッセル選手のマシンが壊れてリタイアしたことも運が味方しているわけです。

 まだ序盤の今シーズン、ランキング1位。2位のラッセル選手との差は43ポイントあります。

 土曜日のスプリントレースのスタートと首位争い。このメルセデスの首位争いのシーン、今年何回繰り返されるでしょうね。

 日曜日、決勝レースの1周目。僕は雨が降ることを期待して1コーナーには行かず、8コーナーに行きました。

 朝から、何度ネットの天気予報を確認したことでしょう……。

 8時ごろまでは本格的な雨、完全にウエットコンディションでしたが、徐々に雨足は弱まり、小雨が降ってはやみ、という連続でレース開始の1時間前ぐらいには路面はドライタイヤが正解の状態になりました。しかし霧雨のような状態が続いていました。それでもその時点で予報は雨がやむ方向でした。

 スタート時点で、雨が降ることを予想してインターミディエイトを選択したのがマクラーレン、アウディ、キャデラック、サインツ選手の7台。下位チームが賭けに出る意味でインターを選ぶのは分かるんだけれど、マクラーレンまでインターにしたのはびっくりでした。

 スタートしてから予報通り、霧雨もやみました。インターを選択したのは失敗に終わり、雨期待の僕も失敗しました……。まあ致し方なし。

 終盤の2位争い、フェルスタッペン選手とハミルトン選手。1コーナーでハミルトン選手が前に出て2位。

 非常に嬉しそうなハミルトン選手。中国GPに続いて2回目の表彰台獲得。

 抜かれて悔しいのかと思っていたら、こちらも嬉しそうな表情のフェルスタッペン選手。今年、初表彰台獲得。

 今年のマシンレギュレーションに対して、辛辣な意見を述べているフェルスタッペン選手。ニュル24時間レースに出て、あわや優勝かというレースをしてきた直後なので、余計に今のF1に納得いかないのでしょう。今回のハミルトン選手に抜かれた状況もその一部なのかもしれません。

 ハース。スプリントでオコン選手13位、ベアマン選手18位。レースはベアマン選手が10位で1ポイント獲得。オコン選手は14位。マイアミに続いていまひとつ噛み合わないレースになってしまいました。

 選手権7位、19ポイント。モナコ以降に期待です。

 木曜日のハースホスピタリティで行なわれた小松さんの囲み会見。

 オコン選手の将来に関して、全く根拠のない記事が配信されたことについて、小松さんがジャーナリストに対して意見しました。その様子や内容はもう多くのWeb記事になっています。

 僕の私見ですけど、ブラジルのジャーナリストが書いたオコン選手の記事に対して、角田選手の可能性について日本のサイトが勝手に言及した内容を加えたものが拡散されたわけです。もちろん、それを書いた人もそのサイトも現地に来て取材したことはないはずです。

 要は英文や他の言語で書かれた記事を日本語に勝手に翻訳して、アクセス数稼ぎで角田選手という名前を使って記事を仕立てたということ。そのようなことは、これまでもたくさんありました。

 今回カナダGPに来ていた日本人ジャーナリストは1人、カメラマンも僕1人でした。なぜそうなっているのかと言えば、商売にならないわけです。高騰している渡航費を捻出して来ても、その経費すらペイするのは至難の業というのが現状です。

 そんな状況ですから、取材をしていい記事を載せましょうというより、いかに経費をかけずにアクセス数を稼ぐか、そこだけに注力するような記事の作り方になってしまっているサイトが多く存在しています。

 そこで今回の場合は、オコン選手にとってみれば大迷惑、大切なスポンサーや近い存在の人たちに心配をかけてしまったわけです。

 小松さんやハースにとっても大迷惑。

 インターネットで早く、安く情報があふれるようになったこの時代に、本当のジャーナリズムの質も明らかに下がったように思います。

 僕はもう古い人間なので昔話になりますが、雑誌が売れていたころは、経費もふんだんに使って取材をしていました。例えばファクトリーに行って撮影とインタビューをしてくる。その途中で引退した選手の自宅に訪問したりしていました。

 そんなことは今は誰も思いつきもしないし、やろうとしない。だってその経費を回収できる術がないから。

 だから、薄っぺらい内容または嘘八百の記事があふれるわけです。

 とは言ってもこの伝える側の状況を打破するのも容易なことではありません。どうすりゃいいんでしょう?

 受け取る側の皆さんに、取捨選択をしっかりお願いするしかないのでしょうか? どうか変な噂を拡散しないようにお願いします。

 僕はF1の中の人たちのやっていることを、写真と文字で伝えることをただ実直にやるしかないのかなと思っています。

 アストンマーティン。レースはアロンソ選手がリタイア、ストロール選手は15位。

 今回も遅かった。FP1でアロンソ選手が10位になったり、レースで19番グリッドから9台も抜いたりというのは、全てアロンソ選手だからできたこと。

 スタート直後で前に行きたいというのは、ドライバー全員が考えることです。世界で一番運転がうまい人たちの中でするすると前に出るのは、当たり前ですけど簡単ではありません。

 それを毎回のようにやってのけるアロンソ選手というのは本当にすごいと思います。

 夏ごろのマシンの大幅なアップデートまでこんな状況が続くのかな? モナコで予選一発タイムが出れば、上位入賞も可能かも??

 ハミルトン選手のリアウイングの動き、くるりんぱ。

 僕のカメラは1秒間で40コマ撮れるんです。ちょうど一連の動作が10コマで完了していたので、約0.25秒でくるりんぱ完了ということでした。

 まあ、それだけです……。

 アジャー選手は5位入賞。フェルスタッペン選手と同じようなところを走っていました。素晴らしい!

 リンドブラッド選手。レースはスタートできず残念でしたが、ローソン選手より前に行くことも多くなってきています。

 天気がよかったのは木曜日と金曜日だけでした。土曜日と日曜日は寒くてまいりました。

 サーキットから宿に向かおうとしたら、ちょうどルクレールご夫妻&ワンコと一緒になったので撮らせてもらいました。ワンコはかわいい!

 木曜日と金曜日、1コーナーにいた鳥。全く逃げなかったのにびっくり。土曜日からはいなくなってました。まさか……?

 木曜日にフジテレビさんとグラウンドホッグくんを探しに行って撮ったのがこの写真で、その後、いろいろ探したんだけど会うことができず。今年はアップで撮ることができなかった……残念。

 今年のモントリオールのメディア駐車券は、マイアミで少しだけ配られただけで、カナダでの配布はなしと言われて小パニックになりました。

 いつもの感じでレンタカーで移動の予定だったのが、街中のシェラトンホテルからシャトルバスを使いなさいというお達しが出ました。

 ですから、僕は宿から街中にレンタカーで移動して、駐車場に停めてシャトルバスでサーキットに通うということになりました。まあ、面倒でした。

 初日の木曜日は、そのシャトルバスがなかなか来なくて、街中も渋滞していたりしてものすごく時間がかかったのですが、金曜日からこのアウディ・Q7が大量に投入されてスムーズな移動でした。乗り心地もよくてさすが高級車でした!

 今回のレンタカーはこちら。シボレーのトレイルブレイザーです。初めて乗りました。

 まあ、アメ車って感じの乗り心地。でもカックンアクセルが半端なくて、最後まで慣れず、それだけで好きになれませんでした。

 サーキットからモントリオール市内に戻る橋の上からの風景です。

 さあ、次はモナコ。楽しみだ!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。