F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第137回:スペインGPの初開催コース初優勝はメルセデスのアントネッリ選手! マドリンクのレースを振り返ります

 初開催マドリンク。快晴の4日間でした。

 写真はスタートをバンク上の観客席から撮りました。

 超満員かというと、ポツポツと空席もあったりして初開催にしては「?」という側面もありました。

 レースの方は予想通り抜けない数珠つなぎの展開でした。なぜ、こんなレイアウトにしてしまったんでしょう? 電池切れで抜けるはずのマシンでも抜けない状況はさすがにいけませんね。

 改修するという報道もすでに出ていますから、ぜひ実施してほしいところですし、われわれカメラマンにとってもコースの移動が非常に困難、しかも日替わりで事前のアナウンスもない。

 現地のセキュリティや警察の人たちは、何を言ってもノーと言うだけ……あちこちで怒鳴り合いになっていました。

 カメラホールも少なくて厳しい撮影現場でした。初開催というのは、いろいろ問題がつきものだと思いますけど。多すぎました。

 優勝はアントネッリ選手。もうさすがとしか言えないですよね。

 運も確実に味方につけています。

 表彰台の下からスマホを投げてもらって、撮って返すという。すでに場慣れしている感じ。PR担当のおじさんがいるんだけど、その人の指示通りしている素直さがいい。

 木曜日のコースウォークで、スマホで撮る僕に対してもピースをしてくれるアントネッリ選手。

 ずっとこんな感じだと嬉しいけれど、どうなんだろ?

 ポールポジションのノリス選手は3位。ポールも見事だったし、スタート直後のペースも素晴らしく速かった。

 しかし、セーフティーカーのタイミングがノリス選手に対して最悪になってしまった。ただ運がなかった。

 フェルスタッペン選手、2位。

 コースレイアウトがダメであるとか、今年のレギュレーションがダメであるとか、しっかりと言えるチャンピオンという存在は貴重だと思いますし、僕は好感が持てます。

 角田選手、今季3戦目。予選15位。レース14位。ポイントならず。

 レーススタートでサインツ選手と接触。確かにその影響もあったけれど、このコースだと予選の順位が何より大事でした。

 今後また乗れるのか? アジャー選手のケガの回復次第となります。

 来季につなげるためには、大活躍が必要です。そのハードルは高く厳しい。アゼルバイジャンのシートがあったなら、その大活躍を見せてほしい。

 日の丸! ヨウコさん、ホアキンさんご夫妻が持ってきてくれました!

 このサーキットの近所にお住まいだそうです。

 日曜日、レース中バンクから移動中に、なんとなく呼ばれたような気がして観客席を見ると、ありました日の丸!

 角田選手にとっても、F2、F3に参戦中の日本人選手にとっても、日の丸が見えると力になるはずです!

 F2宮田選手が大活躍! やっと、やっと勝てた! 土曜日のレースで優勝、日曜日のレースで3位!

 すごく嬉しそうだった! 日曜日のレース後に、土曜日とどっちが嬉しい? って聞いたら、「どちらも比べられないくらい嬉しいです!」という答えでした。おめでとうございます!

 F3では加藤選手が大活躍。予選1でポールポジション! 予選2で4位。スプリントレースで9位。フィーチャーレース1で2位表彰台。フィーチャーレース2で4位。

 F3はこれで今季終了で、加藤選手のランキングは4位。日本人最高位です!

 山越選手のランキングは9位。マドリンクでは苦戦してしまいました。

 しかしビッグニュース。今季のアゼルバイジャンでF2参戦が発表されました。来季につなげてほしいです!

 中村選手のランキングは14位。来季がどうなるのか、もうすぐ発表されるのではないでしょうか?

 F2もF3も選手全員が、人生を賭けてF1のシートを得るために必死で走っています。もちろん世界から集まった超優秀な選手ばかりです。その中で好成績を上げてチャンピオンになれるのは、各カテゴリーでたった1人。

 その差は、ほんの少しなんです。そのほんの少しの差の中で、うまく戦えるレースをひたすら必死に走って、上位を走るためにチームと共に戦っています。

 うまくいくレースもあればそうでもないレースもある。チームの持ち込みのセットアップがバッチリのときもあれば大外れのときもある。ドライビングでミスをしてしまうこともある。

 いかにリカバリーできるか、持っているマシンをうまく走らせることができるのか。残るのは結果しかありません。

 F1にステップアップするためには、この大激戦の中で光る何かを見せなければなりません。

 厳しい世界です。ドライビングする技術もコミュニケーション能力も、後押ししてくれるお金を出してくれる企業や個人の存在の有無。そして運。

 角田選手の今の状況を見てもわかるように、F1のシートをつかみ取るのは本当に難しいし大変。

 でもそんなに大変な世界だからこそ、多くのファンが付いてきてくれる存在になれるのだろうし、尊敬も得られるし、収入も得られるわけです。

 頑張ってほしい。何がなんでもそのシートをつかみ取ってほしい。

 アロンソ選手。この人のためのグランプリでもあった今回。予選18位、レース17位。2周遅れ……。

 モンツァよりはいいかなと思ったけれど、そうはいきませんでした。

 ホンダの見解をレース後に折原さんに聞きました。

「パワーユニットサプライヤーの目線からすると、われわれのパワーユニットは基本的に他のパワーユニットサプライヤーに負けているという前提です。それがモンツァだととても目立ちます。ここは目立ちづらいです。しかし、戦った結果、この位置になってしまった。今後、今季は大きなアップデートはありませんが、もっと車体とPUのパッケージのパフォーマンスを上げていくために、エンジンとしてデータをチューニングすることでストレートラインスピードなどはまだ上げられますし、エネマネも最適化していけばもっと速くなっていく余地があると思うので、それをやっていくことになります」。

 とのことでした。

 スペック2になったけれど、大幅なパフォーマンス向上には至らなかった。今季、まだまだレースが続きます。

 むむ……と思っていたら、レース後の月曜日にF1パワーユニット開発体制の強化で、開発責任者が角田哲史さんから深尾洋一郎さんになるとのリリースがHRCから届きました。

 この時期にこの交代は、何を意味しているのか?

 何度も書いているようにレースは結果がすべて。深尾さんの力強い、ホンダらしい取り組みに期待したいところです。

 リンドブラッド選手、今回も素晴らしい。予選10位、レース9位。

 ルクレール選手、モンツァのクラッシュの影響が心配されましたけど、レース4位。

 ボッタス選手、何周もコースを走ってました。来季はどうなる?

 バンク入り口。

 バンク中間。

 バンク出口。

 3コーナーあたり。

 ピットビル、超長い。

 大部分のチームのトレーラーは室内。このサーキットは日本で言うところの幕張メッセって感じの場所なんです。

 だからメディアセンターも広々。

 メディアのご飯はおいしかった。サラダがおいしくて、野菜不足の毎日だったので嬉しく、おいしくいただきました。

 スペインといえば、パエリアと生ハム。おいしかったです!

 卵焼き、トルティーヤも有名ですよね。

 アストンマーティン、タイヤエンジニアの松崎さんが路面のデータ収集中です。

 ホテルからサーキットまで地下鉄で通いました。快適です。本数もあるし、乗り換えも簡単。10回の回数券が13ユーロくらいでした。おすすめです!

 暑くて、いろいろ大変なマドリードでした。お客さんは楽しめたのかな?

 アップが遅くなってしまってすみません。帰国後、いろいろ取材などありまして、今仙台でこれを書いています。

 次戦のアゼルバイジャンはお休みして、マレーシアには行きます。久しぶりのマレーシア、楽しみです!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。