F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第138回:バーレーンGPがまさかのマレーシアで開催。驚きの多かったレースを制したのは、今季初優勝のフェルスタッペン選手

 マレーシア、セパンサーキットで行なわれたバーレーンGP。

 マレーシアでのF1開催は9年ぶり。久しぶりな感じでした。

 勝ったのはポールtoウィンのマックス・フェルスタッペン選手。今季初優勝。

 速かったし強さ光りました。嬉しそうな表情を見れてよかった。

 日曜日、グリッドにマシンが向かうころにパラパラときて、その後本降り。そして雷雨。スタートはディレイ。

 僕は「マレーシアこそ雨だろ!」と思っていて、金曜日と土曜日に降らず、どういう天気予報なんだよ! と本気で思っていたので、ようやく待ちに待った雨。

 よっしゃ! と気合いが入ったものの、やっぱり走らないってことなんだ……。

 40分ほど待って、セーフティカー先導でレコノサンスラップ開始。その最中、なんと次々といろんなマシンにトラブルが出てコース上にストップするなどがあり、赤旗。

 その原因はECUソフトウェアのバグが原因。低速での走行が引き金となり、エンジンはかかっているのにスロットルが開かず加速していかないという前代未聞の事態となりました。

 1コーナーでポンチョ姿で延々とさらに50分待って、新しく書き換えたソフトをFIAが各チームに配布し、インストールして再開にこぎつけたのでした。

 なんとも、情けない事態。電池切れになるF1に続き、ソフトウエアのバグで加速しないF1になってしまった。

 一部報道で、次期エンジン候補としてV8ターボという話ですけれど、NAでいいじゃないですか! 騒音問題とかがあるのなら、そのサーキットはサイレンサーをつければいいじゃないですか。安いですし。

 単純なエンジンで、安価で軽量、高出力。素晴らしい音。壊れなくて、いいことずくめ。環境にやさしい燃料。小さなエンジンメーカーでも参加できるかもしれない。

 V8でもV10でもV12でもいい。そうしましょうよ。バイクレースのMotoGPのマシンの方がよほどレーシングだよ!

 ようやくスタート。ドライタイヤの選択は厳しい感じ。

 1コーナーでフェルスタッペン選手が抜くに違いないと思い、その通りになりました。

 かっこよかった! ほれぼれしました!

 2位にはアントネッリ選手。3位に追い上げてハミルトン選手。

 3位をずっと走っていたラッセル選手は終盤トラブルでリタイア。チャンピオンシップはますますアントネッリ選手に傾きつつあります。

 4位を走っていたアジャー選手はマシンの不調で順位を下げてしまって、5位となってしまいました。トラブルさえなければ……というところです。

 今も昔も、スタートからチェッカーまで完璧な状況でレースできることは多くはないんですね。だからこそ、その不調をカバーしてラップタイムや順位を落とさずに、きっちりと得点して帰ってきてくれるドライバーが評価を上げていくんです。

 そういう意味でもアジャー選手は素晴らしい仕事をしていると思います。

 素晴らしいと言えば、アロンソ選手です。もう「やっぱりね」というレースを見せてくれました。

 難しいコンディションになればなったで抜群の結果を持ち帰ってくれるのは、ほんと素晴らしい。

 アゼルバイジャンでレース途中にガレージに帰ってしまったことなど、来年になれば誰も覚えてないし、得点できないような状況でPU(パワーユニット)を温存したことにもなるかもしれないし。

 それより、得点できるサーキットでしっかりと点数を持ち帰ってくれるアロンソ選手。僕は、いいと思います。

 ホンダの折原さん。「予選でアロンソ選手12位、ストロール選手14位と、すごいとは言えないまでも、これまでのことを考えるといいポジションを得られたのかと思います。レースで取りにいったポイントを取れたというのは、われわれとしてもよかったのかと思います。バクー、モンツァ、マドリードで厳しい時間を過ごしました。その中でハードワークをして対応してくれたトラックサイドとファクトリーのメンバーにとっても、今回はいいステップだと思います」。

「8位入賞で4ポイント獲得。最後に勝負をして逃げ切れたので、やり切った感もありますし、皆すごく喜んでいました。オランダで9位、2ポイント取れたときはスペック2を入れ、その結果ほっとしたという感じだったのですが、今回はFP1からパッケージとして調子よさそうで、ポイントを取りにいこうとしてやり切った結果ポイントが取れたので、充実感を感じました」というお話でした。

 現状のアストンマーティン・ホンダの実力は、サーキットの特性で大きくリザルトが変化するということです。

 それは、どのチームでも大なり小なりあることで、その相性のいいところで確実にポイントを取り、相性のわるいところでの下げ幅をなるべく少なくして、できる限りいいポジションで終われるようにする。その上げ下げの幅をなるべく上位で推移させて、年間の獲得ポイントで勝負するわけです。

 ですから、ホンダファンの皆さま。現状のホンダのパフォーマンスはイマイチなのは確かです。車体もイマイチ。でもサーキットによっては戦えるグランプリも出てきます。ダメなときは温かい目で、いいときはたくさん応援するという感じでいきましょう。

 PU担当の責任者も、HRC社長の交代も発表されました。ホンダという日本の会社の場合は、伝統的に責任者が一定期間でコロコロと変わります。人材育成という観点などで、もちろんいい面もあるんですけれど、モータースポーツの場合は上位の責任者が変わるというのは、あまりいいことは少ない気がします。

 でもまあ、F1参戦そのものを考えたとき、そのときの社長の決断で揺らいできたホンダですからね。現在参戦してくれているというだけで、ありがたく感じなければならないのかもしれません。でも結果が出てこそ意義が出てくるのがこの世界じゃないか! それはそうです。

 でも少し振り返れば、チャンピオンを取っている状況で撤退という決断をしてバラバラになり、アストンマーティンさんからのオファーで、じゃあやるかとなり、やってみたら今シーズンの状況になったわけです。

 もったいないです。過去を振り返っても仕方ない。現状、トラックサイド、サクラとミルトンキーンズの人たちは必死に仕事をしています。その仕事の効果が結果となって、またチャンピオン争いに加われるようになるまでには長い時間がかかるのではないでしょうか。来年「急に馬力出た!」というミラクルは、もちろん100%ではないけれど、起きないと思います。数年かかるかもしれません。

 なが~く楽しみながら見ていきたいと思います。苦労が大きいほど達成したときの感動はでかいに違いない。

 ハース。アゼルバイジャンでダブル入賞してセパンへ。

 レース中盤くらいまではオコン選手が6番手を走行するものの、ピットインのタイミングなど運がなく2台ともポイント圏外へ。

 木曜日のランチをホスピタリティでごちそうになりました。マレーシアで食べたご飯で一番おいしかったのが、このランチでした。

 小松さんは、相変わらずとても忙しそう。食べながら、「いいドライバーとは」という話になって、無茶苦茶面白かった。やっぱり、外から見ているだけでは分からないことが多いと実感いたしました。

 メルセデスが大幅アップデート。しかし速かったのはフェルスタッペン選手。

 ドラパレの前、ペレス選手に褒められるボルトレート選手。

 バーレーンGPをマレーシアでやるってびっくりした。

 グランドスタンド裏などはバーレーン感あり。

 すさまじいお客さんの数。3日間で26万1000人! この数はセパンサーキット史上最多です。

 これは中国の国慶節と重なり、中国からの多くのお客さんであふれ返ったことが大きかったようです。

 サーキットまでの移動のバスなどが追いつかず、多くのお客さんが長距離歩いて移動しなければならないなど、混乱もありました。2017年の開催時はほとんどお客さんがいないような感じだったのでびっくり。

 金子カメラマンと毎晩ご飯に行った「来来飯店」に9年ぶりに行ってきたら、全く変わってなくて、葱油豆腐も鉄板豆腐も同じ味で非常に嬉しかった!

 メディアセンターのご飯は中華系でした。

 宿の近くのご飯屋さんでチキンナシゴレン。383円。

 レンタカーも安くて5日間で3万円くらい。安くて助かる。

 クルマはプロトン。昭和な感じのクルマ。

 久しぶりのマレーシアは、風景もお店の感じもほとんど変化ないんだけど、たくさん走っている小さなバイクが一番変化を感じました。

 この女性のバイクはホンダ。以前はスクーターが圧倒的に多かったんだけど、今はこんな感じのバイクが主流です。アジア圏のバイクのシェアはホンダが多いんだよね。

 ガソリンはやっぱりペトロナスかなと思って行ってみました。リッター174円くらい。他の物価に比べると高い。

 クレジットカードがなぜか使えず、キャッシングして50リンギット分買って、ギリギリ使いきれず……悔しい……。

 とにかく、湿気がすごくて暑い。ものすごく暑い。フォトジャケットを着ていると本当に暑い。

 レースはいろいろあったけど、楽しかった。また、マレーシアでレースがあるといいな。

 次戦のシンガポールはお休みして、オースティンから取材します。ではまた!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。