日下部保雄の悠悠閑閑
ADVAN 40周年と師走のある日
2018年12月17日 00:00
師走に入るチョット前の話だが、ADVAN 40周年の記念式典が行なわれた。ADVANがスタートして40年も経つのかと感慨深い。横浜ゴムは各タイヤメーカーのブランド戦略が確立していなかった頃、摩耗しやすいが超グリップするADVANタイヤを発売して世間をあっと言わせた。そのプロモーションもマスメディアよりもモータースポーツに注力して、ADVANが各モータースポーツフィールドに参戦して「ADVAN=スポーツタイヤ」を確立した。
当時横浜ゴムが行なったブランド戦略として、スポーツの「ADVAN」、コンフォート系の「ASPEC」、広いユーザーをターゲットにした「G.T.スペシャル」の3ブランド戦略で一世を風靡したのも懐かしい。その後、ASPECとG.T.スペシャルはヨコハマタイヤのさまざまなブランドに引き継がれたが、ADVANはプレミアムブランドとして確固たるポジションを築いた。
昔大変お世話になった横浜ゴムだった水野雅男さんやタスカ・エンジニアリングの石黒邦夫さん、つちやエンジニアリングの土屋春雄さんなどの懐かしい面々にお会いすることができた。当時のADVANユーザーは個性派ばかりなので会話も変化球が多いのだが、それがまた面白い。
発足当時のメンバーが少なかったのが少し寂しかったが、モータースポーツの各部門で行なわれた横浜ゴム 山石社長からの表彰状、盾などの授与でにぎやかに進行していった。
思い起こせば20代でラリータイヤの開発のお手伝いをしていた頃は、ラリードライバーは夜は強いと思われたのか、昼間はダートトライアル用タイヤ、夜はラリータイヤのテストというスケジュールが組まれたりして一瞬目が眩んだが、作る方も走る方もみんな目標に向けて密度の濃い時間を過ごしていた。
そういえば毎年、厳冬の旭川で行なっていたラリー用スノータイヤのテストでお世話になっていた、旭岳温泉の湧駒荘の娘さんがスノーボード女子パラレルの竹内智香選手だと知ったのはずっと後のことだ。もっともボクらが湧駒荘に通っていた頃はまだ赤ちゃんだったはずで、後年のオリンピックメダリストになるとは知るよしもなかった。
ラリーとの話は長くなるので別の機会に譲ろう。
本格的に師走に入ってからは、メルセデス・ベンツ日本の年末恒例懇親会が開催された。一昨年は鶯谷のダンスホールでの社交ダンス、昨年は大井競馬場でトワイライト競馬、いずれも懇親会のイメージを覆すというか、度肝を抜くというか、何しろ型破りの上野金太郎社長の率いるメルセデス・ベンツ日本の懇親会なので、唖然としながらも十分にそのおもてなしを楽しんだ。
今年は何をやるんだろうと期待していたが、なんとプロレス! 最近、プロレス人気が高まっていると聞いていたが、いち早く時代の流れをキャッチしてプロレス仕立ての懇親会とは……。いつも上野社長の陣頭指揮(たぶん)の下、広報関係を中心とした社員一丸となった手作り感満載の懇親会は、今回もオープニングのダンスから圧倒された。社長の強制ではないというが、上野社長自らリングに上がり、確かに皆さんノリノリでした。
プロレスは女子戦1組、男子戦2組の本チャンが出てきて、息の合った試合を見せてくれ、なかなかの迫力。エンターテインメントとしても十分面白く、ズーッと笑い転げていた。プロレス人気もよく分かる。上野社長は生ビールの売り子に扮して注いで回ったし、リングに上がった木下潤一広報マネージャー、熱演ご苦労さまでした!
この日はもう1つのイベントが行なわれた。トヨタ「スープラ」のプロトタイプ試乗会である。試乗についてはすでに記事を掲載しているのでそちらを参考にしていただきたいが、たまたまエンジンフードの開いた状態で見たBMW製のスイートな直列6気筒エンジンは、極力エンジンルーム後方に置かれているようだ。前後重量配分は50:50よりもわずかに前寄りだとしている。もっと短い4気筒なら完全に50:50になり、軽いフロントノーズは少し重厚感のある6気筒とも違ったフットワークを見せるだろう。
いずれにしても日本からスポーツカ―が誕生するのは喜ばしい。2019年のデトロイトショーでデビューするスープラは、日本での発売は夏前だろうか。東京オートサロン 2019にもGTコンセプトとして展示されるという。
そのスープラもカッティングシートでカモフラージュされていたが、BMWの3シリーズの事前発表会に展示された新3シリーズもカモフラ―ジュされていた。新しい3シリーズは一見それほど外観の変化は目立たないが、現行型と見比べるとすぐに分かる。特にインテリアは大きな進化を遂げており、新しい時代のコクピットに対応している。
4気筒の2.0リッターターボエンジンは日本仕様では「320i」としており、パワースペックが他国と異なるスタートとなる。日本での使い勝手を考慮しての仕様決定だという。
で、カモフラージュされた展示車は日本全国を走りまわったクルマそのものでそれなりにやれているが、僕らが邪魔だなと思っている渦巻カモフラージュも、そのモデルが一番ぼやけて見えるように専門のデザイナーがデザインしているという。渦巻ならなんでもいいというものではないらしい。よく見るとカモフラージュも凝っていて、しっかり見ようとすると目が回る。
スープラのカモフラージュも凝っており、スパッとクルマの形を判断するのは難しいが、BMWも同様だ。なかなかこの世界も奥が深い。