日下部保雄の悠悠閑閑

サスケ先輩

先日、わが家の愛猫「サスケ」がいなくなった……

 うちのネコの名前はサスケと言う。わが家には代々、犬やらネコやらウサギやら、いつも動物たちが同居していた。サスケは娘が小学生のころ、真夏に拾ってきたネコだった。なんということかタッパーに入れられていたというから、さぞ暑かったことだろう。すでにわが家には先住ネコたちがいたが、それでも先輩たちを立てながらわが家に懐いてくれた。

 わが家にはネコ用の自動ドアがあって、ドア前のステップを踏むと自在に外出できる仕組みになっている。ただし帰りは入れない。首輪にセンサーを付けるとそれに反応して自動ドアが開くが、神出鬼没のネコが首輪を引っかけると大変なので装着していない。このシステムを覚えて出ていくのはサスケだけ。他のネコたちは不思議そうにサスケが出かけるのを眺めているだけだった。なかには自分でもステップを踏んでみるネコもいるが、要領がわるいのか、タイミングがわるいのか、外出に成功したネコはこれまでいない。

 ただ、前にも紹介したと思うがサスケは生粋のハンターで、出撃するとほぼ成果を上げて凱旋してくる。その成果とは、ネズミである。どこにいるんだろうと思うぐらい獲ってくる。世に言う“ネコパンチ”も見たことがあるが、あれを食らったらチューチューはひとたまりもないだろうなと思ったほどの凄腕だ。

 そして、家人はこの世で一番ネズミが嫌いときている。サスケが戦果報告する度にひと騒動持ちあがり、その後片付けに奔走するのはもちろんワタシ。

 春夏秋冬問わず、毎晩出撃していたサスケも2019年で18歳、多分……。この冬は背中を丸くして寝ていることが多くなったし(ネコだから当たり前か)、夜もすっかり外出しなくなり、人間と一緒に寝ていることが多い。むしろ早く寝るぞ、と催促してくる。

 そのサスケが久しぶりに脱走した。このところ使っていなかった例の自動ドアを開け、キャットウォークを伝って脱出したのである。

 ネコはフッといなくなることもあるのを思い出したが、なにしろ高齢。心配で何度も探し回った末、やっと見つけたのが隣家のクルマの下。ネコはいったん「こう」と決めたらなかなか動かないので、生存確認したあといったんわが家に戻る。久しぶりの外出でよほど怖い思いをしたのかもしれない……。

 そんなサスケのことを探し出してきたのは、階下に住んでいる娘のネコ、トバとタイガーである。窓の外を眺めながら、「ねえねえ、サスケ先輩何してるんだろ?」と家人を見上げたらしい。サスケも心細くなって戻ってみる気になったのだろう。

娘が飼っているネコ、トバとタイガーがサスケを探し出してきた

 ちょっとした捕り物もあったが、無事捕獲。サスケはよほど怖かったのか、1~2日は様子が変だったが、今は元に戻って背中を丸めて日がな一日寝て暮らしている。

 一方の階下に住むタイガーは黒と白のブチネコ、トバは純白のネコだ。兄弟で3歳ぐらいになるが、いろいろと面白いことをやってくれる。一応サスケ先輩に敬意を払っているようで、毎朝遊びに来ては、先輩のそばで「お邪魔します」と挨拶してから、すましてサスケの食事を平らげ、部屋にある観葉植物を食べたり、カーテンの紐をかじったりして帰っていく。なかなかいたずら好きなネコたちである。

白と黒のブチネコが「タイガー」

 先日などはソッとサスケ先輩に近寄ったかと思ったら、いきなり頭に手を置いて大慌てで飛ぶように帰っていった。なかなか一緒に遊んでくれないサスケ先輩への精いっぱいのアピールなのだろうか?

真っ白のネコが「トバ」

 好奇心旺盛なサスケとトバは自動ドアに気付いたらしく、時折興味津々でジッと眺めていたかと思うと、ステップに手を置いてみたりする。しかし、例の自動ドアはあれ以来スイッチを切っているので脱走のチャンスはないのだよ。

 まだまだいろいろやらかすトバとタイガーだが、そのうちまた登場してもらおう。まったくクルマと関係ない、わが家のネコの話でした。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/16~17年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。