日下部保雄の悠悠閑閑
夏のドライビングスクール
2020年9月21日 00:00
今年は女神湖が凍結しなかったので、残念ながら恒例の湖上でのDriving Parkはできなかったが、2年ぶりに夏のDriving Parkを開催することができた。コースは袖ヶ浦フォレストレースウェイ。本コースを使った高速走行とパドックを使った反復練習。いずれもレーシングテクニックではなくいわゆる“上手い運転”を目指そうというもの。
原点は学生時代の夏のジムカーナ合宿。その頃のクルマはほぼFRで、たまに今宮純君が乗ってきたミニがFFだったぐらい。4WDはジープ以外、影も形もなかった頃だ。やってくるクルマの仕様もラリーからジムカーナ、ノーマルまで千差万別だった。しかし当時のクルマはそれほどパワーもなかったし、普段は街乗りしているクルマばかりだったのでお手軽だ。
コースは夏の間はガラガラのスキー場の駐車場を借りてパイロンでコースを作った。セッターは自分たちで頭をひねり、パイロンを置いて日に何回もコースを変更しながら2日間ぐらい走り回った。人のクルマを運転したり、あるいは隣に乗せてもらったりと自分の運転では分からなかったところを発見でき、楽しくよい刺激になった。
今考えるとよくタイヤが持ったな、と思うが、当時のクルマはパワーもなくてしかも軽い。タイヤにそれほど負担がかからなかったので、そのままラリーをやったりして、タイヤを買うのは年に何回もなかった幸せな時代だった。
その中で、コーナリングラインやブレーキ、トラクションの効率よいかけ方や荷重移動などを体感することができた。
そんな楽しかった経験を少しでも共有できればとの思いで開催しているのが夏のドラスクだ。Car Watchや動画版「クルマのニュース」にも取材していただいたので、詳しくはそちらをご覧いただきたいと思うが、枠いっぱいの参加者、18名はいずれも楽しんでもらえたようだ。
座学は最近、タイヤに使われるシリカの話を横浜ゴムの網野さんにVTRで話してもらい、実技に入る。
新型コロナウイルスの影響で、いつもはマン・ツー・マンに近い形で密に行なっているが、今回は同乗試乗もできないので、外からのチェックのみとなった。インストラクターが無線で行なうので、それなりに接することができたようだ。当初、オンライン・チェックも試みたがあえなく挫折。人力に頼ることになってしまったのは残念。
パドックでのブレーキは一定踏力で目標に止まることを、ウェット円旋回やスラロームではハンドルワークとアクセルワークを、そして本コースではコーナリングラインを習得してもらった。
コーナリングラインは最初はわざと走りにくいラインを取り、次に走りやすいコースを、そして徐々にペースアップしていくが、いずれも先導車からアドバイスを発しながらの習熟走行で、できるだけハンドルをこじらない走り方を理解してもらった。
さすがにリピーターが多くて皆さん上手。こちらも先導走行でバックミラーを見ながらの無線アドバイスでちょっと疲れたが、最終的には皆さんともにきれいなコーナリングラインで、ホッとした表情と笑顔がとっても嬉しかった。
パドックの最後の走行はこれまでのテクニックを発揮して、お椀に入れた水をこぼさないように走るゲーム感覚のG-CUPタイムトライアル。慎重に、でも大胆に! みんなで楽しみながら上手い運転を実践して、暑かった夏のドラスクも無事に終了した。
横浜ゴムや袖ヶ浦フォレストレースウェイの協力を得てやっと開催できたが、参加者の笑顔を見てやはり開催してよかったと思う。
今度は冬の女神湖だ。来年こそ凍結して思う存分、楽しんでほしい。
さて、フェアレディZのコンセプトカーが発表になった。とにかくZが継続することが嬉しい。Zは所有したことはないが、240Zは運転しやすい楽しいクルマだった。お尻のすぐ後ろで後輪が動くのでテールスライドもコントロールしやすく、軽い車重でトルクのあるエンジンが素晴らしいコンビネーションだった。
個人的にはGT-R用のS20型エンジンを搭載したZ432よりも、軽いL24型を積んだ240Zが運転しやすくて好きだった。手の届くスポーツカーを目指したZは、戦闘機GT-Rとは違った親しみやすさが魅力だ。
その後、Zはよく知られるように何回か存続の危機を経て現行Zに行きついたが、果たして2020年代のZはどんなクルマに仕上がっているのだろう。心臓部にはスカイライン 400Rのあの吸い込まれるようなエンジンを搭載すると言われ、6速MTとの組み合わせはドライバーにどんな夢を見せてくれるのか。早く運転できる日が来ることを楽しみにしている。
ムクは相変わらず元気に遊びまわって、疲れるとソファーでぐっすり寝ています。