日下部保雄の悠悠閑閑
フォルクスワーゲンのディーゼルモデル
2020年12月21日 00:00
本格的な雪の便りで、スタッドレスタイヤのシーズンがやってきたことを知る。3シーズン目のアイスガード6の出番だ。このタイヤ、ほとんどをドライの舗装で過ごしているが、今シーズンはウィンタードライブができそうだ。と言うのも、昨シーズンは暖冬で凍結しなかった女神湖が今シーズンは冷え込みが期待され、2021年1月23日にWinter Driving Parkが開催できそうだからだ。
例年は土曜日だけの開催だが、今シーズンは2021年1月24日の日曜日も簡易版を開催することになった。日曜日の枠は少し余裕があるのでご興味があれば「PROSPEC」宛てにご連絡下さい。
今回は新型コロナウイルス対策で、インストラクターの同乗はできないので無線機をフルに使っていくことになりそう。さらにレストハウスでの集合もできないので初めての試みが多く、参加者には不便をかけることになってしまうが、氷上で非日常の体験を楽しんでもらえれば嬉しい。
さて年末は試乗会が目白押しで、フォルクスワーゲンの試乗会に行ってきた。選んだのはT-Rocとゴルフ、そしてティグアンの3台。いずれもMQBプラットフォームで自在に性格の異なるモデルを作り上げている。どの車種もディーゼルエンジンを選んだので、車体の違いでどのようなフィーリングになるの比較してみたかった。
まずはT-Rocの弟分にあたるT-Crossから試乗する。T-Crossのボディは兄貴分のT-Rocよりも1サイズ小さく、エンジンは3気筒1.0リッターのガソリンターボを搭載、T-Rocは4気筒2.0リッターのディーゼルターボだ。
T-Rocはホイールベース2590mmに全長4240mmなので意外とサイズは小さい。ただし全幅は1825mmで全長に対して幅広の欧州サイズだ。ターボディーゼルは340Nmのトルクを1750rpmから出し、ボディ重量1430kgを低速から力強く引っ張る。
走りはフォルクスワーゲンらしいものだ。スポーツカーのような感動はないし、個性があるわけではないが、じゃまをしない存在感がフォルクスワーゲンらしい。ただし車高が高いために少し接地感が薄くなっている。
続いてゴルフ TDI Highline Meister。同じく2.0リッターディーゼルターボ。エンジン型式はDFGとなり、T-RocのDFFから変わっているが出力は同じ110kW/340Nmだ。こちらはホイールベース2635mmと長くなり、全長×全幅×全高は4265×1800×1480mmで狭い日本の道路でも使いやすい。
実際にドライブフィールは定番のフォルクスワーゲンそのもの。さすがに常に世界のCセグメントのベンチマークだけのことはあり、市街地から山道まで破綻のない性能で安心感がある。突出した性能はないが、乗り心地からハンドリングまでドライバー、そしてパッセンジャーに安心感を与えてくれる。世界にはゴルフより優れたCセグのハッチバックはあるが、フォルクスワーゲンの看板車種だけのことはあり、平均値の高さでは今もトップレベルだ。
ティグアンはゴルフカテゴリーの中では大きく、ホイールベースは2675mm、ボディサイズは4500×1840×1675mm(全長×全幅×全高)となる。エンジンはゴルフと同じDFG型で110kW/340Nmの出力のディーゼルターボを搭載する。ディーゼルの低回転から力強いトルクはミニバンには適している。
この3台、タイヤサイズと重量に注目するとT-Roc(1430kg)の215/55R17からゴルフ(1430kg)の225/45R17、そしてティグアン(1730kg)の235/55R18とモデルの性格と荷重によって変わるのが分かる。
さてティグアンはミニバンだが、欧州車らしく腰の強い走りだ。ゴルフほどドライバーの懐に入ってくる感覚はないが、ロールを抑えているうえにタイヤキャパシティも大きく、安定した走りがフォルクスワーゲンらしい。ドライビングはT-Rocよりも安定性を重視したもので、刺激は薄いが長く付き合えそうだ。
3車を乗り比べてゴルフの存在感を改めて感じた。ゴルフはフルモデルチェンジの時期を迎え、この世代も熟成を迎える。8代目ゴルフはさて、何を目指してどんなクルマになるのだろうか?
最後に追記です。ロールス・ロイス「ゴースト」のレビューにおいてエアサスは車高調整可能としているが、その上下幅が判明した。標準に対してHighは25mm上がり、Lowで25mm下がるので都合50mmの幅で車高を変えることができるということです。
【お詫びと訂正】記事初出時、T-RocとT-Crossの表記が逆になっている箇所がありました。お詫びして訂正させていただきます。