日下部保雄の悠悠閑閑

メディア4耐と懐かしい顔

パドックのCar Watchロードスター。傷つけずに返せてよかったです

 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース。第1回はNA型ロードスターがデビューした1989年。見知った顔がたくさん出ていて当時は「楽しそう~! 出てみたいな~」と思っていた。舞台となる筑波サーキットはテストやレースで嫌というほど走っていたが、なかなかチャンスは訪れず、やっと参加できたのは第7回の1996年でホリデーオートチームからお呼びがかかった。

 NA型ロードスターの時代はチームに貸し出されていたこともあったので、チューニングの差がありカオスだったこともあった。

 マツダが車両を管理するようになってから性能は一律になって、スピードと燃費の両立を図りつつチームの戦略が重要になってきた。年々ノウハウが積み重ねられた結果、今ではかなり高いレベルでレースが行なわれている。

 自分はといえば、数えてみると19回もこのレースに参加させてもらっている。前回乗ったのは2019年。まだ新型コロナ前でピンクパンサーの助っ人だった。

 コロナ禍で行なわれた2020年大会は無給油2時間半に短縮された。参加していないが無給油での2時間半はなかなかしびれそうだ。

 新型コロナが急拡大した2021年は延期となり、半年後の3月に無事開催された。自分としては初めてCar Watchチームで走ることになった。

グリッド上のロードスターたち。Car Watchチームのスタートドライバーは副編集長の小林さん。安定したドライビングでした。マスクしたままフェイスマスクしない方がいいと思いますが……

 メンバーは副編集長の小林さんと岡本幸一郎君、そして石川和也さん、私の4名。レースの顛末は別項に譲るとして、個人的なトピックスは石川和也さん。

 私が主宰するPROSPECでは設立当時からドライビングスクールを続けており、石川さんはそのとき来てくれた参加者だったのだ。当時は氷上以外では鈴鹿や富士、茂木、筑波、茂原、日光などいろんなサーキットを使って開催しており、石川さんは日光に来てくれていた。

 名前と顔をなかなか覚えない身としては失礼ながらすぐに思い出せなかったが、石川さんという名前は遠い記憶の彼方にあった。

 石川さんはドラスク後も腕を磨いて、ロードスターのワンメイクレース、パーティレースの強者だというからうれしい。パーティ―レースはレギュレーションが厳しく、4耐車と近似性が高い。ドラテクもロードスターで磨かれて腕は確かだ。Car Watchチームにとっては設立当時の2012年からのメンバーなので強い味方に違いない。もっともハンディキャップも持ってきたのは余計だったけど……。

 PROSPECのドラテクで腕が上がったと傲慢なことは思わないが、かりそめにもスクールに来てくれた人が腕を上げて、同じチームで走ることになったのはとても感慨深い。

 今度はこちらがいろいろ教えてもらう立場だ。各コーナーへのアプローチ、エンジン回転数、ロードスターの特性、タイヤの空気圧や走行ライン、燃費の稼ぎ方など根掘り葉掘り聞きまくり、とっても参考になった。やってみるとまだまだ実践できてないところも多くて、その応用編も試してみたいところだ。次のチャンスがあるならまた活かしてみたい。

 今回のレース本番はセーフティカー導入のタイミングを活かせず、下位に沈んでしまったのは残念。レースもドラテクも奥深い。

フィニッシュ後にコース上で車両保管されるCar Watch号。4耐では明るいうちのフィニッシュは初めてで新鮮でした。手前はJ-WAVE号、相変わらずあっぱれな走り

 チームの皆さん、ありがとうございました! そして何よりもこのレースを開催してくれたマツダに感謝です。

ムク、渋い顔してます。ま、次がんばるから……
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。