まるも亜希子の「寄り道日和」
オフロード走行で感じた「エクリプス クロス」の魅力
2018年10月18日 00:00
今までのミツビシとはちょっと違って、“攻めてる”デザインと言われるSUV「エクリプス クロス」。2017年末から国産・輸入車問わずSUVが豊作で、マツダ「CX-8」、スズキ「ジムニー」、スバル「フォレスター」、BMW「X4」やボルボ「XC40」など、もう百花繚乱。最後にホンダ「CR-V」も駆け込んできましたが、ジムニーと1、2位を争うくらいエクリプス クロスのデザインが好みな私です。
最近は都会派SUVも市民権を得ていますし、デザインの選択肢の1つとしてSUVを選ぶという人も多いですよね。もちろん私もデザインの好き嫌いは譲れないポイント。でもSUVならやっぱり、ある程度は悪路走破性にもこだわって開発してほしいと思ってしまいます。SUVを選ぶということは、気持ちのどこかで「いざという時に頼りになる」性能を期待しているということ。それに応えてくれないSUVは、いくらカッコよくても魅力半減なのです。
2018年はジムニーやフォレスターでオフロードの試乗をさせてもらいました。どちらも、オンロードの時よりクルマが生き生きと動いているような気がして、やっぱり楽しいものですね。とくにジムニーは、オンロードの印象より何倍もカッコよく、頼もしく、何百万円もするSUVさえかなわないほど楽しめることを実感。オフロードを走ることは、着飾ったクルマを丸裸にするのと同じことで、そこで光るクルマこそが私たちが評価すべきクルマなんじゃないかな、と思いました。
そして今回、エクリプス クロスでもオフロードを走る機会に恵まれたんです。ミツビシの4WDは、1987年に発売された6代目「ギャラン VR-4」で搭載した「AWC(オールホイールコントロール)」という4輪制御技術がベースとなって、今日までさまざまな進化を続けてきています。実は私、20代のころに1度その伝説のクルマに乗ってみたくて、ダートラ競技用に中古車を手にれたことがあるんですね~。当時は私のドライビング・テクニックもぜんぜんダメで、うまく乗りこなせなかったんですが、とにかくコーナリングでは負けないくらい速くて、安定感がすごかったのを覚えています。
そのAWCが2007年の「ランサーエボリューション X」から「S-AWC(スーパー・オールホイールコントロール)」という、車両運動統合制御システムへと昇華して、エクリプス クロスにもそれが搭載されています。これは前後タイヤ間のトルク配分に加えて、左右タイヤ間のトルクベクタリング、4輪のブレーキ制御を巧みにシームレスに組み合わせて、トラクション制御、旋回制御、安定性制御を連続的に制御して走るというもの。一般的な車両制御は、その3つを状況に合わせて切り替えながら制御するので、わずかな遅れや制御不能な状況が起こりやすいところを、見事に克服しているのがS-AWCなんですね。
さて、難しい話はこれくらいにして、実際にオフロードを走った感想を。今回は「AUTO」「SNOW」「GRAVEL」と選べる3つの走行モードを1回ずつ試して、違いを比べてみました。まず「AUTO」は、あらゆる路面で最適な4WD性能を発揮してくれるというだけあって、スラロームやヘアピンカーブ、8の字走行ではこちらがアクセルを開けすぎていても、自動で適切に抑えてくれるので、まったく挙動を乱すことなく、安定感抜群。「おっとっと~」とヒヤリとする場面もないので、もっと踏んでイケるかも!? なんて欲が出てしまうくらいでした。
続いては「SNOW」を選択。本来は雪道の走行を想定したモードですが、ダートの滑りやすい路面でも効果アリとのことで走りはじめてみると……。加速している時はほとんど違いを感じなかったのですが、驚いたのは減速してスラロームのパイロンをかわし、立ち上がりの瞬間。先ほどより再加速が穏やかで、ボディがちゃんとまっすぐに向くまで抑えてから、加速が強まるんです。なのでリアが滑り出すこともなく、路面を掘ることもなく、より安定方向の制御を実感することができました。
そして「GRAVEL」は、悪路走行やスタック脱出性に優れるモード。全体的に先ほどまでよりも遊びの部分、ラフな部分が許されるような制御で、8の字走行ではリアを流して旋回するなんてこともやりやすくなっていた印象。個人的にはこれがいちばん楽しめましたが、それぞれにけっこう違いが感じ取れて、よく考えられているなぁと改めて感心したのでした。
デザインがいいだけでなく、ダートコースの試乗で中身も本物だと確認させてくれたエクリプス クロス。皆さんも、時には愛車でオフロードを走ってみると、それまで知らなかった意外な一面が出てくるかもしれないですよ。