まるも亜希子の「寄り道日和」

22回目の「子どもアイディアコンテスト」

小学校1年生から6年生までの20組20名が参加した、第22回子どもアイディアコンテストの最終審査会。まだ舌足らずなところが可愛くもあり、ユーモアとセンスの良さが光っていた大阪府の2年生・脇田良太郎さんは、作品「空とぶシャボン玉タクシー」で低学年の部の優秀賞に輝きました

 小学生が「未来にあったらいいな」と思うものを考え、カタチにし、自らプレゼンテーションまで行なうという、ホンダの「子どもアイディアコンテスト」が22回目の開催を迎えました。今回の応募総数は、過去最多に迫る1万1000件以上! その中から選ばれたファイナリスト20組による最終審査会が開催され、ありがたいことに私も審査員という役目をいただいて、会場の熱気と緊張感をリアルに体感してきました。

 いつも会場に到着するとまず先に、展示されている作品を1つ1つ間近で見るところから私の1日がスタートするんですが、今年はとくに大掛かりな作品が多く、動物や背景、道具などを細かく丁寧に作り込んでいる作品に目を惹かれました。ものづくりという観点から見ても素晴らしい才能を感じる作品が多くて、なぜか見ているうちに涙が出てくる……。ここにくるまでに、初めて立ちはだかる壁にぶつかり、失敗して落ち込んだりくじけそうになったりしながら、それでも工夫して知恵をしぼって完成させた作品なんだなぁと思うと、すでにジーンと胸にきてしまうのです。

 1年生から3年生の低学年の部からプレゼンテーションが始まると今度は、ほんの半年くらい前までは幼稚園・保育園だったとは思えない、堂々としたしゃべりと身振り手振りで自分の作品を伝える姿に、「がんばれ〜!」と応援しながら再び感動。これはスタッフの皆さんも同じらしく、私よりも子どもたちと長い時間を共にしているぶん、感動もひとしおのようです。

 そして毎年、カーボンニュートラルやSDG's、災害などは普遍的なテーマとしてあり、そのほかに世界で起こっていることや社会現象などに影響されたと思われる作品が多い傾向があるのですが、今年はどちらかというと身近な人への想いや、身の回りで困っていることを解決するようなアイディアが多いのかなと感じました。

 とくにユニークだと思ったのは、高学年の部の千葉県・5年生、相澤咲月さんの「反省させる せん風き」や、福岡県・5年生、渕上愛衣さんの「アレ へんかんき」。もうタイトルだけでどんなアイディアかが伝わると思いますが、「怒られても反省しない人が多い」とか、固有名詞が出てこなくてすべて「アレ」で会話しちゃうなど、やっぱり子どもってよく周りの人のことを見ていますよね。着眼点に感心します。

今年の審査員は、右から審査委員長で脳科学者の茂木健一郎さん、私、応援団長を務めたホンダの安田啓一さん、BEV商品技術企画部の春原健二さん、デザイン開発推進室の森岡さくらさん。司会は一緒にレースに出たこともある川崎かおりさんが務めていて、和気藹々とした雰囲気でした

 こうしてすべて甲乙つけ難いプレゼンテーションが終わると、審査委員長の茂木健一郎さんをはじめ審査員一同で話し合って、低学年の部と高学年の部でそれぞれ大賞1作品、優秀賞2作品、全体で審査員特別賞を茂木さんと私で1作品ずつ、さらに子どもたちが「いいな」と思った作品に1票を投じて決まるキッズ大賞も1作品ずつ決定します。

 私が今回、審査員特別賞に推薦したのは低学年の部・東京都・1年生の松澤史門さんの作品「ぼうけんパワー・リュック」。これは、身体の不自由な人や高齢者でもいろんなところへ冒険に出かけられたらいいな、という想いから膨らんだアイディアなのだそう。未来のモビルスーツ的な感じで実現しそうなところも良かったですし、ものづくりの観点からもすごく楽しみながら作った様子が伝わってきて、魅力的でした。

 最後は応援団長であるホンダの安田啓一さんの掛け声で、全員に金メタルをかけてあげて、大勢の中からファイナリストとなった子どもたちをあらためて労い、無事に最終審査会は終了。昨年からはその後に懇親会の場も用意され、プレッシャーから解放されてすっかり子どもらしい素顔に戻った参加者と触れ合えるのも楽しいひとときです。あとは、私は保護者の皆さまとお話ができるのもすごく嬉しくて、子どものやる気をどうやって引き出したのか、途中で放り出しそうになったらどうしてたのかなど、自分の子育ての参考にさせてもらおうと必死(笑)。娘が1年生になった時からこのコンテストのことを話して、「やってみない?」と誘い続けているのですが、すでに断られること4回……。なので私は、子どもアイディアコンテストに応募したすべての子どもたちとその保護者の皆さまを尊敬しています。

 想像力や構成力、実行力やものづくりのノウハウ、プレゼンテーション能力など、社会に出るまでに磨けば磨くほど身を助けるであろう、さまざまなスキルを育むと感じられるこのコンテスト。来年こそは、娘にもチャレンジしてもらいたいなぁと思っています。

最終審査会がすべて終了したあとは、お楽しみの懇親会。デザートの時間には、「もったいなくて食べられない!」とみんなが驚いたアイシングクッキーのプレゼントもありました
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。