まるも亜希子の「寄り道日和」
30回目の「日本EVフェスティバル」で思ったこと
2025年1月23日 00:00
自動車の黎明期がそうであったように、レースを楽しむところからスタートした「日本EVフェスティバル」が、記念すべき30回を迎えました! 私が参加しはじめたのが何回目からだったかは忘れてしまいましたが(笑)、当時は筑波サーキットで開催され、電動カートでツインジムカーナをやったり、EVクラブの会員さんたちが製作したさまざまなコンバートEVが走っていたり、お祭りのような楽しさだったのを思い出します。
2020年からは会場をお台場に移し、シンポジウムや技術発表展示、インフラ紹介のブースなど、都市型フェスティバルとして進化してきました。場所やコンテンツは変わっても、テーマは30年ずっと変わらず「みんなでCO2削減」です。私もほぼ毎年、試乗インストラクターなど何かしらの担当で関わらせてもらっていますが、ここ数年はとくに若い世代やファミリーでの参加が増えているように感じています。
中でも、毎回すごく楽しみにしているのが学生さんやショップさんなどによるEV技術発表エリアの展示たち。休憩時間にぶらぶらと展示を見てまわっていると、何やら竹馬のようなもので動きまわっている人がいるんですね。なんだろうと思って近づくと、まさかの「乗れる掃除機」だと言うではないですか。見た目は、体重計のようなものの先頭に小さなモップが付いているような感じです。
これは、栃木県立鹿沼高等学校のサイエンス部・物理班の9名が製作した、KPCEV-12「乗れルンバ」。この高校では伝統的に日本EVフェスティバルでの技術発表を行なってきていて、昨年は確か動く椅子だったんですね。今回はなぜ、掃除機? と学生さんに質問すると、猫がルンバに乗っている動画を見ていたら、人間も掃除機に乗って掃除をしたらもっと掃除が楽しくなるんじゃないか、と思って作ることにしたのだそう。
私もさっそく、「これ、足をのせた瞬間に体重が表示されたりしないですよね?」と念を押してから(笑)、両足を乗せてグリップを握ると、学生さんがゲームのコントローラーみたいなリモコンを持ち、遠隔操作で動かしてくれました。発進がとてもスムーズで、路面に落ちている落ち葉を吸い込みながら進む姿が、けなげ〜。そしてかわい〜。速さは速度5km/h以下にすることで安全性にも配慮したというように、まったく怖さは感じずこれなら子どもでも楽しめるだろうなと思いました。
コントローラーでの操作のほかに、マイクロコンピューターによる自動操縦もできるように製作中とのこと。1人でも2人でも楽しめて、ついでに掃除までしてくれるという発想が素晴らしいですよね。いつか彼らが世界を驚かすEVを作ってくれるような予感? 期待? を勝手に抱いて嬉しくなったのでした。
さて、今回の日本EVフェスティバルでの私の担当は、最新EV、PHEVの試乗インストラクターと、日本EVクラブ副代表を務めるモータージャーナリストの御堀直嗣さんとのミニトークショー。EVフェスティバルの第1回から参加している御堀さんに、開催されるまでの経緯を聞いたんですが、なんと「アメリカで超盛り上がっているEVのレースがあるらしい」と聞いて、勢いだけで参加することになったところからだって言うのでビックリ。30年前の日本はEVなんて言葉もほとんど知られていなかったというのに、若さというかチャレンジ精神というか、ほんとにすごいですよね。
そこからず〜っとEV一筋でやってきた日本EVクラブ代表理事の舘内端さんをはじめ、EVの歴史をそばで見てきた先輩たちのお話、とても面白かったです。こうした話をなるべくたくさん聞いて、若い世代に伝えるのが私たち世代の役割でもあるのかなと思った1日でした。