2015フランクフルトショー

スズキ、次世代軽量プラットフォーム採用の「バレーノ」をワールドプレミア

最軽量モデルは860kg台。クラストップレベルの実用性を持つコンパクトモデル

2015年9月19日~27日(一般公開)

独フランクフルト Messe Frankfurt

 スズキは、フランクフルトショーで新型のコンパクトモデル「バレーノ(Baleno)」をワールドプレミアした。

 バレーノは、3月に開催されたジュネーブショーで公開されたコンセプトカー「iK-2」の市販モデル。コンセプトカーと同様の凝縮したエネルギーを前へ解き放つイメージの“Liquid Flow(リキッドフロー)”をテーマにした、流れるようなシルエットを持つ5ドアハッチバックとなる。

世界初公開された市販コンパクトモデルの「バレーノ」。リキッドフローをテーマにした外観の特徴は、全高を抑えつつも全幅を広げることで、スポーティでありながらも優雅なスタイリングとした

 スズキは「アルト」で超軽量な次世代プラットフォームを採用し、上級モデルに対しても軽量プラットフォームの展開を進めている。バレーノは、Bセグメント用の次世代プラットフォームを採用した初のモデル。同じBセグメントに属する現行「スイフト」と比べると約100kgの軽量化を果たしているという。MTとコンベンショナルなエンジンの最軽量モデルは860kg台なので、相当に軽くなっていることが分かるはずだ。

エンジンバリエーションは3タイプ。1.0リッターの直噴ターボエンジンは新規開発のモデルとなる。その他に1.2リッターとマイルドハイブリッドがセットされた1.2リッターのモデルがある

 エンジンは、新規開発された1.0リッターの直噴ターボ「ブースタージェット エンジン」、1.2リッターの「デュアルジェット エンジン」、この1.2リッターエンジンにマイルドハイブリッドシステム「SHVS」をセットした3モデルを用意している。

 次世代の軽量プラットフォームと、新規に開発された直噴ターボエンジンなど、エンジニアリングにも相当に力を入れたモデルとなっているのが伺える。これまで、スズキの車種ラインアップではスイフトと「SX4 S-CROSS」の間を埋める車種がなかった。その間を埋めることを期待されているのがバレーノになる。

 ボディーサイズは、3995×1745×1470mm(全長×全幅×全高)で、ラゲッジスペースはクラス最大級の355Lを誇っている。セグメントトップクラスのラゲッジスペースには、ゴルフバッグやベビーカーなどの大きな荷物も楽に収納できるようになっている。また、リア席の足下スペースも十分に考慮されているので、大人4人が乗っても狭さを感じることはないはず。

インテリアはすっきりとしたシンプルな印象を与える。トランスミッションはMTがメインとなっていて、CVTの組み合わせは現状はないそうだ。
ボディーサイズ以上に室内空間は広く取られている。後席の足下スペースが確保されているため、大人が乗っても狭さを感ないだろう
荷室はクラストップレベルとなる355L。ベビーカーなどの大きな荷物も収納できる

 機能性としては、ミリ波レーダー方式による衝突被害軽減システム「レーダーブレーキサポート」やアダプティブクルーズコントロール、iPhoneと連携させるApple CarPlay対応のディスプレイを採用している。

 インドのマーケットがメインと考えられているバレーノは、生産のすべてがインドの工場で行われる。今秋にもデリバリーが開始されるヨーロッパも、インドから輸出される予定。販売地域は欧州とインドは決まっているようだが、日本国内への導入は未定だという。

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。