ダイハツ工業は、「第44回東京モーターショー2015」の会場で4台の参考出品車を世界初公開。10月28日にはダイハツ工業 取締役社長の三井正則氏によるプレスブリーフィングを実施した。
プレスブリーフィングで三井氏は、「これからのクルマ、未来の技術を各社が競って提案するこのモーターショーですが、ダイハツからは少し視点を変えて『私たちの将来の暮らし』という観点からお話ししたい」と前置きしてから、参考出品車の「NORIORI(ノリオリ)」「TEMPO(テンポ)」「HINATA(ヒナタ)」「D-base(ディーベース)」という4台についてそれぞれ紹介した。
NORIORIの紹介で披露された広々とした車内の活用デモ NORIORIは「コミカルな外観とは裏腹に、私たちの将来の暮らしに思いを巡らせてダイハツが提案する次世代コミューター」であると三井氏は紹介。「今のクルマはさまざまな用途に合わせて多彩なバリエーションを持っています。例えば、小さなお子様いる家庭での使いやすさに工夫を凝らした『タント』、高齢者の方や身体の不自由な方を考えた福祉車両などです。しかし、近い将来的には1台で多様な移動ニーズを満たすクルマも必要になるのではないかとダイハツは考えます。少子高齢化というひと言では括れない、新たな暮らしの姿。そのキーワードは『支え合い』ではないかと私は思います。子供と親、近くに住むご両親、地域の方々と、さまざまな支え合いのなかで暮らす姿。そんな暮らしを思い描くなかから、1つの提案として至ったのがこの『NORIORI』です」と語り、車内に車いすを導くデモを披露した。
軽自動車サイズながら、スクエアな形状のボディーとフラットなフロア、折りたたみ可能なシート、要所に配置された収納スペースなどで空間をフル活用している ボディー側面のドアは、運転席側が後方にスライドする1枚、助手席側は前後に開く2枚のワンツードアスタイル。開閉はスイッチを押して行う電動式 大きくスライドするドアは複雑で頑丈そうなヒンジ構造となっている フロントシート。助手席は折りたたんでインパネ側に小さく収納できる。低床パッケージとの組み合わせでかなりアップライトな乗車スタイルとなっている 丸形のライトが特徴的なフロントマスク。タイヤのトレッドパターンにも丸のモチーフを使っている タイヤにはブリヂストンのロゴマーク。後輪にはカバーが設定されている 低床パッケージに加えて車高を上下させることも可能。大きくスクエアに開くドアとの組み合わせにより、車名どおり「乗り降り」に着目したクルマとなっている 車いすの搭載デモ。フロアの後方部分がスロープとして車外に伸び、車いすを固定したあとフロアごと車内に入っていく 軽商用車のコンセプトカーであるTEMPOは、従来型の積載量を重視した軽商用車とは異なり、FFレイアウトの乗用車ライクな使い勝手を持ち、運転のしやすさや良好な乗降性によって女性ドライバーにもアピール。さらにウェイクやタントに採用されているプラットフォームを応用することによって従来型の軽商用車に匹敵するラゲッジスペースを確保し、小口配送などでも活躍できるモデルとしている。
このTEMPOについて三井氏は、「共働きで店を営んだり、先代の仕事を2代目が手伝うといったように、家族が支え合うなかで仕事のあり方は変わってきています。仕事が変わると必要とされるクルマも変わります。『商用車はちょっと苦手』という方にも使いやすいクルマを造れないだろうか。その答えが、乗用車のメリットを持つ新たな商用車であるTEMPOです」とアピールしている。
移動店舗としても活用できる新世代の軽商用車を提案するコンセプトカーのTEMPO LEDを組み合わせて使い、奥行きを表現したデザインのヘッドライト 助手席側に電動開閉するLED照明付きの大型ガルウイングドアを装備 ガルウイングドアの下には、さまざまな表示が可能なデジタルサイネージを設置 インパネではセンターメーターを採用。ステアリングは2本スポークタイプ ドアはヒンジを斜めに設定し、狭い場所でわずかだけ開けてもルーフ側がワイドに開くタイプとなっている ウインドーを上下に設定。車高の高さによる死角を減らしている 横開き式のリアハッチはボディー側面まで大きく開口。 “ナチュラルリラックス”を表現する内外装を与えられたHINATA。デザイン性とスペース機能を融合させた新しいラウンドデザインを提案するコンセプトカー 軽自動車ながら「テラスモード」「対面モード」など多彩なシートアレンジを備え、「親子で並んでひなたぼっこする」というイメージを与えられている 特徴的なテラスモードを実現するため、シートの固定方法やドアヒンジに工夫が凝らされている ライト類にはスクエアな形状を採用。ドアミラーウインカーはボディー側の付け根部分が点灯する リアコンビネーションランプは、外周部分がポジションランプ、内部の上側にある大きなキューブがブレーキランプ、下側の大きなキューブがバックランプとなっており、小さなキューブはウインカーとなっている。ウインカーは不規則に点灯する演出となっており、この点灯スタイルは現状の法規では認められないものだが、将来的な規制緩和に対するアピールとしても採用しているとのこと ドアはノブを使ってフロントドアを開け、内側に設定されたボタンを押してリアドアを開けるスタイル。前後両方のドアにピラーを内蔵している カラフルなシートを採用。フロアには芝生を思わせるカーペットが設置されている ステアリングやセンターコンソール、ペダル類にウッド調の加飾パネルを設定。パーキングブレーキは足踏み式 センターコンソールのウッドパネルは内側から光を透過させて操作内容を表示 ラゲッジスペースのフロアはウッドボードとなっている e:Sテクノロジーの進化と先進性のデザインによって次世代の環境車をイメージしたコンセプトカーであるD-base。4台のなかでこのモデルだけ「軽自動車」と表記されず、「ニューベーシックスモールカー」を紹介されている フロントドアは車両前方側を押し込み、出てきたノブを引いて開けるタイプ リアドアはドアノブをピラー付近に埋め込み、3ドアテイストを演出する 迫力ある18インチのタイヤ&ホイールを採用。次世代環境車ということで、ブリヂストンのオロジックタイヤを装着している フロントドアトリムにはホワイトとブルーを使っている D-baseのインパネデザイン。ステアリングは下側が水平のD型形状 単眼式のメーターパネルは外周部分にアナログ式のタコメーターを配置し、中央にデジタルメーターを組み合わせる。レッドゾーンは6000rpmから アシンメトリー形状でヘッドレスト一体型のフロントシート 薄型のフロントシートも手伝ってリアシートの足下空間が広い プレスブリーフィングでは展示車の解説に加えて、6月19日の「コペン セロ」に合わせてスタートしたデザインコンテスト「ドレスフォーメーション デザインアワード」の最優秀賞の受賞作品が発表された。選出されたのは越坂部圭亮氏の「COPEN ADVENTURE」。この車両は実車化され、2016年1月に開催される東京オートサロンで公開されるとのこと