東京オートサロン 2016
オートサロン2016、チューニングパーツ最新事情リポート
NDロードスター向けターボキットや新型デジタルメータなど気になる新製品を紹介
(2016/1/18 11:00)
- 2016年1月15日~17日開催
オートサロンと言えばチューニングカーの祭典である。となれば、否応なしに気になってくるのは2016年に発売されるチューニングパーツの動向である。本稿では、今回のオートサロン2016で展示されていた注目のチューニングパーツ群を取り上げていく。
RE雨宮ブース~現行デミオ向け新作パーツが発表に
ロータリーエンジンチューニングの名門RE雨宮は、ロータリーエンジン搭載車が絶版の現状を受け、近年はロータリーエンジン搭載車にこだわらずにマツダ車全般をターゲットにした自由な発想のチューニングパーツを幅広く手がけるようになってきている。
2016年の新作は、現行DJ型デミオ向けのパーツだ。新作サスペンションは、バネレート前5kg/mm、後4kg/mmで、発注時には±2kg/mmの範囲でのバネレート変更にも対応。減衰力は32段調整。ターゲットはワインディングからショートサーキット走行を楽しむユーザー層。トーションビーム式の後輪がしなやかな動きになるという。価格は16万8000円(税別)。
このほか、足まわり補強パーツとボディ補強パーツの新作も発表。ボディフロント上部のねじれ剛性を高めるフロントストラットタワーバー(税別1万8000円)、ボディフロント下部のねじれ剛性を高めるフロントパワーブレース(税別9800円)、旋回時のロールを抑制する前後スタビライザーセット(税別5万6000円)がラインアップされる。
デミオは工場出荷状態で、ガソリン車とディーゼル車とで純正スタビライザーの特性が異なり、ガソリン車の方が初期ロール量が大きいという。RE雨宮の新作スタビライザーはガソリン車/ディーゼル車に両対応するが、ガソリン車でロール量50%減、ディーゼル車でロール量30%減の性能を発揮する。ガソリン車は純正状態での初期ロールが大きいので、スポーツ走行時には特に効果を発揮することだろう。担当者によれば、「今回のサスペンション、そのほかの補強パーツ群は個別に購入することも出来るが、開発はトータルで行っているので、できれば同時装着をお勧めしたい」とのことであった。いずれも発売は近日を予定。
BLITZブース~NDロードスター向けターボキット。パワーも上がる新作電制スロットルコントローラなど
BLITZが発表して注目を集めていたのは、新型のNDロードスター向けターボチャージャーキット。夏ごろの発売予定となるこのキットは、タービン、エキマニ、インタークーラー、触媒、各種パイピング、エアクリーナー、コンピュータまでをセットにして40万~50万円という価格を想定。
すでに発売されて好評を博している86&BRZ向けのキット開発で得られたノウハウを活かし、最高出力+50PS、最大トルク+30%増しをターゲットに現在も開発が進められているとのこと。
サスペンションの新作としては、アルファード/ヴェルファイア、ヴォクシー/ノア/エスクァイアなどのミニバン向けが発表されている。ミニバンのファッションの1つとして、超低車高ブームがあるわけだが、このユーザー層を狙った新作が「DAMPER ZZ-R BB」だ。超低車高状態での活用を想定し、バネレートを厳選してバンプラバーを設計したとしている。キャッチコピーは「最低を、最高に」。
電子スロットルコントローラにも新作が出ている。これがこれまでにない独特の機能を備えていて面白い。電子スロットルコントローラは電子系アフターパーツの定番で、スロットルレスポンスをカスタマイズできるものだが、言ってしまえばアクセルワークとパワー/トルクの出方の対応を変えられるだけで、ピークのパワー/トルクは変わらない。
ところが新作の「パワスロ」は、なんとパワー/トルクのピークを上げてしまえる電子スロットルコントローラなのだ。ターボ車に装着した場合はブースト圧制御にまで介入する制御を行なうのである。BLITZが実施した実測テストによれば、スバル(富士重工業)のWRX S4では+30PSに、レクサス NX200tでは+20PSに、ホンダ S660では+6PSで約10%増しというデータが得られているというから期待大だ。
さらに、ターボ車だけではなく自然吸気エンジン車もパワーが上がるというから驚きだ。自然吸気エンジン車ではエアフロセンサーの制御に介入して、吸入空気量に対する燃料噴射量を制御してしまうのだ。その結果、パワーを上げにくい自然吸気エンジンの86&BRZで+12PSと約8%のパワー向上を実践できたとしている。
発売は3月を予定。価格は未定だが、これまで4万円前後で発売されてきたBLITZの電子スロットルコントローラの価格からは大きく外れないと見込まれる。かなり踏み込んだ制御に介入する商品のため、対応車種は徐々に追加していく流れとなる見込みだそうだ。3月の発売時には、前出の実測データ車種以外にレクサスのRCも追加になる予定。
フジツボブース~NDロードスター向け4本出しマフラーキット。カジュアルスポーツマフラーRIVIDにヴェゼル用が追加
マフラーメーカーの名門フジツボ(藤壺技研工業)の2016年新作商品のイチオシは、NDロードスターの4本出しマフラーキット。86&BRZユーザーにも人気の高い、サウンドと性能のバランスが取れたスポーツマフラーシリーズ「AUTHORIZE R TYPE S」にNDロードスター用が追加されたのだが、これがなんとテールパイプ4本出しデザインなのである。
そう、純正状態でのNDロードスターはマフラー片出しだ。担当者によれば「スポーツカーたるもの4本出しデザインが定番。フジツボのマフラーの性能に加え、美しいデザインのNDロードスターの後ろ姿を、より洗練されたものにできる自信作」とのこと。
商品セットには、マフラー本体に加えて4本出しのために専用デザインされたリアディフューザーが付属する。発売は今春。価格は塗装無しで19万2000円(税別)。つや消し黒塗装付きで20万8000円(税別)。付属のリアディフューザーはエアロメーカーのKEN STYLEが手がけたもので、取付には純正バンパーの一部カット加工が必要になる。KEN STYLEは、このリアディフューザーにあわせてフロントセクションのハーフスポイラーもデザインしており、こちらはFRP製・未塗装で4万6000円(税別)だ。
また、リアピースのみの交換でカジュアルにマフラー変更が楽しめる「RIVID」シリーズに、新たにホンダ ヴェゼル用が追加される。こちらは今月中にも発売が予定されており、価格は5万2980円(税別)。
クスコブース~きまじめなクスコらしい機能パーツをラインアップ
エンジンパーツからトランスミッション、サスペンションと、自動車を構成するさまざまな機能パーツの開発を手がけているキャロッセ(クスコ)のブースには、クスコらしい「小粒だがピリリと辛い」パーツの新作が展示されていたので紹介したい。
エンジンオイル中に混入する鉄粉を吸着させるドレンボルトをクスコも発売。ネオジム永久磁石採用は当然として、業界最強クラスの4500ガウスの磁力を有しているところが最大の特徴となる。ボルト本体は超々ジュラルミンを採用。ボルトサイズはM12×P1.25がトヨタ、日産、ダイハツ用、M14×P1.5がスズキ、ホンダ、三菱自動車、マツダ用、M20×P1.5がスバル用、そしてM16×P1.5は86&BRZ用として用意される。
また、これまでクスコがラインアップしていなかった軽自動車用のサスペンション製品が2016年より新設定される事が決定した。全長調整式の車高調整型で、車高状態に依存しない安定したサスペンション性能を発揮する。アッパーマウントは純正品を利用して、減衰力調整はリアのみ14段階。
対応車種はスズキ アルト(HA36S)、ダイハツ コペン(L800K/LA400K)といったスポーツ系のほか、日産 デイズ/デイズ ルークス、ホンダのNシリーズ(JG1/JH1/JF1)といった一般的な車種まで用意される。価格は11万8000円(税別)。
特にスポーツサスペンションという位置づけではないものの、長寿命、高剛性に拘った設計で、リブ加工などを惜しげもなく適用。競技用スペック並みの性能が出ているとのことである。
Kansaiサービス~NDロードスターとS660に新作エアロを投入
西日本を代表する総合チューニングファクトリー Kansaiサービスの2016年新作は、マツダのNDロードスターとホンダ S660用のカーボンエアロパーツ。両車種ともにフロントリップ(ロードスター用3万8880円、S660用6万2640円)、リアリップ(ロードスター用6万2640円、S660用6万480円)、リアフェンダーエクステンション(ロードスター用3万240円、S660用未定)がラインアップされる(価格はいずれも税別、以下同)。
また、ロードスター専用としてはサイドステップ(8万4240円)、S660専用としてはサイドインテークダクト(4万1040円)、リアバンパーアウトレット(5万6160円)が設定される。いずれもカーボン製で受注生産。両車種ともにリアフェンダーエクステンションは純正仕様ではゴム製で、メーカー純正アクセサリーにも代替品がないので、おしゃれなドレスアップアイテムとして人気が出そうだ。
八千代工業~ホンダ S660を製造する八千代工業がS660アフターパーツを発売!?
ホンダのS660は、八千代工業の四日市製作所でアクティやバモスといったほかの軽自動車と混流生産していることは有名な話。この八千代工業がオートサロンにブースを出展し、なんとS660用のアフターパーツのリリースに向けた展示を行なっていたのだ。
リリース予定パーツのジャンルはインテリアとエクステリア。インテリアパーツは純正クオリティの加装パーツ。8種類の色と8種類のテクスチャの組み合わせから選んでS660の内装にアクセントを加えるもの。極薄の樹脂パーツに両面テープを貼ったパーツとしてリリースされるので、ユーザーはそれを取り付けるだけでまるで欧州スーパーカーのような内装を楽しめるようになる。
エクステリアはCFRP製のエンジンフードカバーとハードトップルーフ、エアインテークカバーの3製品。エンジンフードはCFRP製とすることで、純正の半分以下となる58%の軽量化を実現。見た目だけでなく、走行性能にも大きく貢献することだろう。
ハードトップもCFRP製だが、樹脂製のクリア窓をあしらったデザイン。こちらは窓なしのモデルやスモーク窓のデザインも検討中とのこと。エアインテークカバーはターボチャージャー冷却用のインテークを、往年のスーパーカーであるランボルギーニ カウンタックを思わせる派手目なスタイルに置き換えるもの。
それぞれ発売日、価格ともに未定ということなので「シャレの展示」かと思いきや、実際に製品化を前提に開発がなされているという。しかも販路は「全国のホンダディーラーを想定」というから、本格的なプロジェクトである。発売計画は順調に進められているとのことだ。
RH9ブース~新作は86&BRZ用のチタンマフラー
全国の有力チューニングショップの連合ブランド「RH9」ブースでは、新作の86&BRZ用のチタンマフラーを展示。チタンマフラーとしてはかなり価格を抑えた25万8000(税別)を実現。今春発売予定。
RH9と言えば、日産 GT-R用のチタンマフラーをリリース済みで人気を博しているが、この開発ノウハウを活かして今回の86&BRZ用も開発したとしている。特徴的なのはGT-Rを思わせる大口径の4本出しデザイン。当然、純正リアバンパーには適合しないので、製品にはこのマフラーのテール部に適合する専用アウトレットパーツが付属する。
日本精機Defiブース~車両ステータスから周回タイム表示までのオールインワンデジタルメーター
スポーツメーターの定番メーカーである日本精機Defiのブースにあるイチオシは、今秋発売予定で価格未定の「Defi SPORTS DISPLAY F」だ。Defiのメーターシステムは、車体に設置した各種計測センサーをメーターハブの「ADVANCEシステム」に接続し、さらにここにメーターを接続していくスタイルだが、ここに新カテゴリのメーター製品として設定されるのが「Defi SPORTS DISPLAY F」ということになる。
従来のメーターハブのADVANCEシステムに対応するほか、OBD II端子にも対応。これにより、多彩な情報を一括して画面上に表示させることができる。ADVANCEシステムで取得できる情報は車速、エンジン回転数、吸気圧、油圧、水温、排気温度、OBD II経由では車速、エンジン回転数、吸気圧、水温、スロットル開度、吸気音、電圧などを取得可能。
さらに、GセンサーとGPSを内蔵し、サーキットタイムアタック時の荷重移動情報やラップタイムを記録、表示することができるようになっている。GPS読み取り周波数は10Hz(1秒間に10回)
トラスト/GReddyブース~新作のマルチレイヤー表示メーターを展示
日本屈指の総合チューニングパーツメーカーであるトラスト/GReddyブースのイチオシ製品も、アフター向け製品としては「業界初」という触れ込みのマルチレイヤー表示対応メーター「NEW METER」(仮称)だ。
チューニングカーと言えば複数の機能メーターが運転席に並ぶイメージがあるが、21世紀型の走り屋は、できるだけメーター類もスタイリッシュに配置したいという要望が強いという。動きの少ない温度類はデジタル数値表示でいいし、エンジン回転数やブーストのような動きの速いパラメータは指針が回転するアナログメーターの方が見やすい。
そこで、デジタル、アナログの表示をマルチレイヤーで重ねて表示させてしまうというのがこの製品なのだ。
アナログメーターは従来と同じく文字盤の中心に設置された指針が回転するタイプ。デジタルメーターは透明有機ELパネル採用のもので、発光していない画素は透明になるため、アナログメーターを後ろに置けば、アナログの針表示は透けて見えるのである。
ユニークなのは、ユーザーのニーズに合わせてアナログメーターの種類を選ぶことができる点。アナログメーターはエンジン回転数(タコ)メーターとブースト計が設定される見込みだという。
デジタルメーターだけを購入することも可能で、純正メーターパネルに重ねて設置するような設置スタイルも考えられる。発売日、価格は未定だが、各方面からの引き合いがあるそうで、発売を待つファンの数は多そうだ。
トラストブースでは、NDロードスター向けのターボキットの展示も行なわれていたが、まだ開発初期段階でスペック等については語れないとのことであった。残念。
エーモン工業~新しいカテゴリー「ハタラククルマ」シリーズを展示
2016年から新しいロゴに変わったエーモン工業は、新しいカテゴリーとして「ハタラククルマ」シリーズの製品を展示。農家や職人といった人が、汚れた服のままでもクルマに乗れるシートカバーや、乗降時のステップの傷つきを防止する軽トラック用のすり傷防止フィルム、荷台に装着可能な荷台保護プロテクターやすべり止め、ラゲッジフックなどを展開する。
また、DIYをアシストする新商品も多数展示。長尺工具もポケットに入れられるエプロンや、ひざをつくときのためのクッションマット、工具に巻きつけて使うシリコングリップなど、ユーザーがDIYで作業をするときのことをイメージして作ったというアイデア商品が数多くラインアップされていた。ハタラククルマシリーズとともに2月発売の予定。
日産/NISMOブース~バージョンNISMOに迫れるか!? GT-Rオーナー向けの新バージョンアップキットの新作を展示
日産ブース内でNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は、日産 GT-R向けのバージョンアップキットの新作を展示していた。NISMOの日産 GT-R向けパーツと言えば、第1&第2のキャタライザーとチタンマフラーがすでに製品化済みだが、これに加え、新たに日産 GT-RのバージョンNISMOに採用されているGT3仕様の機能パーツを単品売りするソリューションを展示していたのだ。
ラインアップされるのは「GT3仕様カムシャフト」「GT3仕様コンロッド&コンロッドボルト」「GT3仕様インタークーラー」「GT3仕様インタークーラーパイピング」「GT3仕様ターボチャージャー」の5製品。NISMO担当者によれば発売時期や価格は未定だが、リリースに向けて開発を進めているとのこと。
コンピュータ(ECU)側のリセッティングも必須となるが、どう提供していくかは未定。スポーツリセッティングコンピュータを導入しているユーザーについては、ECUセッティングについて割引措置が行われる見込みだという。また、取り付けた車両のエンジンについて、NISMOが1年保証をするとのこと。
ただし、取り付けを行なった瞬間に日産としてのメーカー保証が切れ、NISMO保証に切り替わると言う。そこで、現時点ではエンジンのメーカー保証が切れる頃合いになる2007年モデルから2009年モデルのユーザーを対象にしていくという。気になる最高出力は、「バージョンNISMOのお客さまのこともあるので、600PS未満に設定する予定」とのことである。