イベントレポート

【東京モーターショー 2019】「S660」ユーザー必見! 八千代工業ブースでS660用ハードトップの新バージョン展示中

独自考案した軽量化の秘訣も要チェックだ

2019年10月23日 開幕

2019年10月25日 プレビューデー

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

八千代工業ブースに用意されたS660用ハードトップの展示コーナー。スタッフに声を掛ければ実際に持って軽さを感じることもできる

 10月23日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第46回 東京モーターショー 2019」が開幕した。10月25日はプレビューデー、10月25日~11月4日が一般公開日となる。

 東京ビッグサイト 南4ホール(S4301)にある八千代工業ブースでは、本田技研工業のミッドシップ軽自動車「S660」用として6月に発売されたばかりの人気製品「CFRP ROOF」の実物と、参考出品の新バージョンを展示している。

 この八千代工業製ハードトップ、販売が八千代工業のWebサイト上でのオンライン通販のみとなっているため、店頭で見かけることはほとんどない。実物を見て、触れられる機会は珍しいので、S660ユーザーは要チェックである。

八千代工業ブース

八千代工業製のS660用ハードトップの実物を見られる貴重な機会

 オープンカーであるS660のルーフには「ロールトップ」と呼ばれる「巻いて収納可能な幌」が装着されている。比較的手軽に着脱できるのだが、雨の多い日本では、オープンにできる季節は意外と短い。筆者もS660ユーザーなのだが、この幌は防音性能に乏しく、雨音はうるさいし、高速道路では屋根の上を通過する風で起きる負圧で幌がややバタつく。そもそも幌は布製なので素地自体の防音性能が低いのは致し方ないところなのだが、屋根を閉じていることの多い季節には、できれば幌ではないハードトップが欲しくなる。しかし、ホンダ純正アクセサリーにハードトップの設定はない。いちおう、“準”純正ともいえる無限(M-TEC)製のハードトップも販売されているが、もう少し選択肢の幅が欲しいところ。

 そんな状況で6月27日に発売されたのが、S660向けフルドライカーボン製ルーフのCFRP ROOF。価格は32万7800円。

裏側(車内側)の仕上がりも良好。ぜひともチェックしよう

 この八千代工業製ハードトップ。試作品が初めて公開されたのは、さかのぼること3年前の「東京オートサロン 2016」(「S660」や「コペン」など最新のカスタマイズスポーツカーも数多く出展)の時だった。筆者はさすがに3年も待ちきれず、他社製のハードトップを購入してしまったが、実はそれを後悔してしまったほどよくできている。なにしろ重量が軽く、そして仕上がりがいいのだ。

 筆者が購入した他社製は重量が約10kg。前出の無限製は約12kg。それらに対してこの八千代工業製は約5.9kgと半分程度なのだ。しかも、純正装着する布製幌よりも22%(約1.3kg)も軽いのだからすごい。

 その秘密はカーボン(CFRP)製であるため。スチール製と比較して重量4分の1、強度10倍の高剛性のCFRP製なので、軽さのわりにガッチリとしている。

製品の裏側にシリアル番号も刻印される

 そして品質。無限製も含めてほぼすべてのS660用ハードトップは固定に純正幌のロックパーツを使用している。ところが、八千代工業製のハードトップは独自考案したロック機構を採用しており、ルーフ両端がすっきりとしているのだ。純正ロック機構は幌にテンションを掛けつつ堅牢性を出すため、太い梁のような構造を有している。これに対して八千代工業製のハードトップでは高剛性のCFRPを採用することで、この部分をまるごと省略することに成功しているのだ。この独自のロック機構は実物を見てじっくり観察していただきたい。

ロック機構は純正幌の流用ではなく、独自のロック機構を採用。これも軽量化に貢献している

 実物を見る際には車外側のルーフ形状にも注目したい。他社製では若干中央部が盛り上がった形状をしているのに対し、八千代工業製はかなりフラットな形状となっている。装着時には「これは純正品なのではないか」と感じるほど一体感があるのだ。

 そして車内側の処理にも注目したい。美しくもレーシーなカーボンの折り込み模様につや消しのウレタンクリア塗装が施されており、実に高級感があるのだ。筆者はこの部分に感動して買い替えたくなってしまったほどである。

ボディ同色カラー版を参考出品。発売すべきかの意見をS660ユーザーに求む!

ブースではボディ同色塗装版を参考出品。赤はホンダのスポーツモデルのイメージカラーでもあるため、今回は赤のみを展示。赤いボディカラーのS660に合うのは当然として、白や黒のボディカラーと組み合わせてもかっこよさそうである

 ここまでは販売されている既存の八千代工業製ハードトップを紹介してきたが、今回の東京モーターショー 2019では、このハードトップの新バージョンが展示されている。と言ってもマイナーチェンジ品が出るわけではなく、ボディ同色塗装版が参考出品されているのだ。

 既存の商品はカーボン柄の素地が透けて見えるクリア塗装となっているが、ブースで並んで展示されているのは、このカーボン素地の上にあえて塗装を施したボディ同色塗装のハードトップ。レーシーな雰囲気を出したいならばカーボン素地のブラックだろうが、S660の車高の低さを際立たせつつ、美しいボディラインを楽しみたいならば、断然このボディ同色塗装版の方がいい。

 今回の展示は参考出品扱いであり、発売するかどうかすら未定なのだが、価格について質問してみたところ「いざ発売するとなれば、値段は据え置きにする」という回答をいただいた。

 八千代工業のスタッフは「発売すべきかどうか、S660ユーザーの生の声を聞きたい」と力説していた。ちなみに同スタッフによれば、出荷済み車両のボディカラー割り合いや、色を組み合わせる汎用性までを考えると赤、白、黄あたりは発売の可能性大とのことである。

 S660ユーザーがブースに立ち寄った際には、ボディ同色カラー版がほしい人はその旨の訴えとともに、「何色が欲しい」というリクエストも付け加えたい。ちなみに、現在発売中の八千代工業製ハードトップは基本的に受注生産で3か月ごとの受注受付を行なっており、次回の予約申込は11月1日とのこと。

 既存のカーボン素地ブラックを注文するか、今回の参考出品のボディ同色カラー版の発売を期待して待つか、それが問題だ。

トライゼット西川善司

テクニカルジャーナリスト。元電機メーカー系ソフトウェアエンジニア。最近ではグラフィックスプロセッサやゲームグラフィックス、映像機器などに関連した記事を執筆。スポーツクーペ好きで運転免許取得後、ドアが3枚以上の車を所有したことがない。以前の愛車は10年間乗った最終6型RX-7(GF-FD3S)。AV Watchでは「西川善司の大画面☆マニア」を連載中、CarWatchの連載では西川善司の「NISSAN GT-R」ライフがある。ブログはこちら(http://www.z-z-z.jp/BLOG/)。