イベントレポート

【東京モーターショー 2019】「有明」「青海」に分かれた会場を徒歩と電車で往復してみた

無料シャトルバスは長蛇の列で50分待ち!

2019年10月23日 開幕

2019年10月25日 プレビューデー

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

一般公開日になって最初の週末となる10月26日に、東京モーターショー 2019の「有明エリア」「青海エリア」の2会場を実際に往復してみた。当日は天候に恵まれ、多くの人がお台場周辺に足を運んでいた

 10月25日、2年に1度の自動車の祭典である東京モーターショー(第46回 東京モーターショー 2019)の一般公開日がスタート。開幕して最初の週末となる10月26日に、「有明エリア」「青海エリア」の2会場で行なわれている今回の東京モーターショーにおける会場間移動を確かめてきた。

 すでにいくつかの関連記事で紹介しているように、今回の東京モーターショーでは2011年から会場として利用している東京ビッグサイト(東京都江東区)の一部が、2020年に行なわれる東京オリンピック・パラリンピック競技大会での使用に向けて使えなくなっていることを受け、東京ビッグサイトの西展示棟・南展示棟などを「有明エリア」と設定。

 これに加え、南西側の「東京ビッグサイト青海展示棟」や「メガウェブ」などを合わせた「青海エリア」を新設し、2つのエリアを「夢の大橋」「夢の公園」などで構成する「OPEN ROAD」で接続するスタイルを採用している。2つのエリアは近隣を走る「ゆりかもめ」(東京臨海新交通臨海線)と「りんかい線」の路線でそれぞれ1駅分離れており、今回は各ブースでの出展内容に加え、2つのエリア間の移動についても話題となってきた。

 東京近郊で活動している人にとって、東京ビッグサイトのあるお台場周辺は各種イベントなどの際に足を運ぶ機会もあるだろうが、東京モーターショーを楽しみに日本各地から足を運ぶ人の中には不安を感じている人も少なくないはず。そこでこのタイミングで2つのエリアを実際に往復し、一般公開後の状況を調べてみた。

 なお、東京ビッグサイトなどには駐車場が用意されており、クルマでの来場も可能だが、東京モーターショーを主催する日本自動車工業会では公共交通機関による来場を推奨しているので、本稿では公共交通機関などの移動について紹介する。

まずはオーソドックスに東京ビッグサイトのある有明エリアから調査をスタート

無料シャトルバスは大混雑! 一時的には50分待ちも

まずは有明エリアの無料シャトルバスについて

 会場間移動で一般的に利用するのは、前出のゆりかもめとりんかい線といった公共交通、自工会が東京モーターショーのために用意している無料シャトルバス、そして多彩なコンテンツが用意されているOPEN ROADを楽しみながらの徒歩移動といったところだろう。

 中でも無料シャトルバスについては日ごろ運行しているものではないので、東京ビッグサイトに足を運ぶ機会が多いはずの報道関係者でも、プレスデーとなった10月23日から困惑する声が多数聞かれていた。

 無料シャトルバスは停留所は、有明エリアの東京ビッグサイトと青海エリアの東京テレポート駅前にそれぞれ用意されている既存のバスターミナルを使っており、10月26日には案内用看板を持ったスタッフなどもバスターミナル周辺に立って利用者にアピール。停留所を探して苦労するといった状況は避けられていた。

 そんな心配とは反対に、最初に足を運んだ東京ビッグサイトの無料シャトルバス停留所には長蛇の列ができており、12時前の状況で「50分待ち」と現場でアナウンスされていた。これはおそらく、10時の開場から東京ビッグサイトでのブース展示をひととおり眺めた来場者が、次に青海エリア側の展示を見ようと会場間移動を始めたタイミングに重なったためだと思われる。

 周辺の撮影や案内をしているスタッフへの聞き込みなどを行なっているうちに順番待ちの列は縮小していったが、取材中で最長の時は東京ビッグサイト1階の出口付近に迫るところまで列が伸びていた。なお、この混雑を受け、現地では車いすやベビーカーなどの利用者、妊婦、高齢者などを対象にゆりかもめのチケット配布が実施されていた。

有明エリアの無料シャトルバス停留所。東京ビッグサイトのバスターミナルを利用している
ゆりかもめの東京ビッグサイト駅側から見た停留所。階段手前側の状況を見ただけで待っている人の多さに驚いたが、実際にはその奥の東京ビッグサイト1階の出口付近まで列が続いており、筆者はバス移動を断念した
東京ビッグサイト1階の出口付近で無料シャトルバスなどの利用状況が紹介されていた。写真では45分待ちと書かれているが、スタッフの口頭で50分待ちが告げられていた
徒歩での会場間移動が難しい人に向けた対応。もともと混雑した場合の対応策として想定されていたという

 運行状況を確認したところ、5分ほどで1台、10分ほどで2台が同時にといったように、バス自体は便数が確保され、定期的に停留所にやってきていたが、純粋に順番待ちをしている人数が多いこと、路線バスだけでなく観光バスまで動員されたことで、到着したバスからまず乗員を全員降ろし、車内を確認してから利用者が乗り込んでいくといった乗降にかかる時間でタイムロスが発生している印象を受けた。また、お台場周辺は日ごろから交通量が多めで、バスの所要時間は「片道20分」と紹介されていた。待ち時間と所要時間を合わせ、混雑時には開場移動で1時間前後が必要になることを考えると、利用しやすい時間帯以外はほかの方法を検討したほうが、会場内での見学時間を増やせそうだ。

 一方、青海エリア側のバスターミナルは、順番待ちの列が直線的な場所に設定されていたこと、取材したタイミングが青海エリア側から1時間ほど遅かったことなどもあり、待ち時間は当初は「30分」で、しばらくして「20分」に短縮されていた。

青海エリアの無料シャトルバス停留所。東京テレポート駅前のバスターミナルを利用している
ターミナル内の駅舎に近いエリアで無料シャトルバスの停留所をアピール
当初は待ち時間が「30分」となっていたが、取材中に「20分」に縮まった
青海エリア側の順番待ちは列が1回折り返してUターンするだけとなっており、並んでいる人の移動がスムーズだったことが印象的
無料シャトルバスにはさまざまなバスが利用されており、運がいいとFCV(燃料電池)のバスを体感できる場合もある
トヨタの企業スポーツ活動のサポートバスも動員されていた
日野自動車の燃料電池バス

ゆりかもめやりんかい線は余裕のキャパシティ

東京ビッグサイト駅からゆりかもめに乗車

 当初予定では無料シャトルバスの状況を取材し、そのままバスに乗って青海エリアに移動する予定だったが、混雑状況を目の当たりにしてバスの利用を断念。有明エリア側の停留所のから近いゆりかもめの東京ビッグサイト駅に移動した。

 ゆりかもめは土・日でも、10時台から新橋方面に4分間隔で運行。駅に向かう歩道は歩く人の姿も多く、少し心配になるが、そのままTFTビル方面に通り抜けていく人もいて、無料シャトルバスが混雑している状況でも問題なく乗車できた。

 念のため、改札の直前から青海駅の改札を通過するまでの区間タイムを計測してみたが、1駅ということで6分半といったところ。これはちょうど前の車両がホームから出ていくタイミングだったので、アベレージではもう少し短めになるだろう。

 ゆりかもめではどちらの駅でも券売機で紙の切符を購入している人も多く、インバウンド利用者が多いことが印象に残った。東京ビッグサイト駅~青海駅の料金(交通系ICカードを利用した場合)は189円。青海駅は改札前の通路が「メガウェブ」と直結しており、今回の東京モーターショーで無料エリアの1つとして用意されている「FUTURE EXPO」をすぐに楽しめる。

所要時間は6分半といったところ。料金は189円
青海駅の改札を出ると、「FUTURE EXPO」が行なわれている「メガウェブ」が視界に入る
FUTURE EXPOは、外観上はデジタルサイネージにロゴマークが表示されるぐらいで、日ごろのメガウェブと変わりなく見える
メガウェブのライドワン試乗コースでは、SBドライブの自動運転バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」の試乗が行なわれていた

 FUTURE EXPOと「東京ビッグサイト青海展示棟」を横目に見つつ、東京テレポート駅にある青海エリアのバスターミナルの状況を取材。その後、東京テレポート駅からりんかい線に乗車した。JRの路線とも接続し、「快速」「通勤快速」などもあるりんかい線はダイヤも少し複雑で、土・日の10時台以降は7分~10分ほどの間隔で運行している。

 こちらでも1駅先の国際展示場駅までにかかる区間タイムを計測したところ、結果はゆりかもめよりわずかに長い約7分。といっても、これはりんかい線の駅舎が大きく、そこで発生した移動時間の差のように感じた。東京テレポート駅~国際展示場駅の料金は210円。

りんかい線の東京テレポート駅
区間タイムは約7分。ゆりかもめとりんかい線で大きな差はない。料金は交通系ICカードと現金で同額の210円
国際展示場駅に隣接するコンビニでは東京モーターショーの入場券を販売していた

「OPEN ROAD」の移動時間は計測不能!? 多彩な誘惑が待っている

「OPEN ROAD」の有明エリア側起点は有明フロンティアビルとパナソニックセンター東京の間に位置する

 国際展示場駅から東京ビッグサイトに向かう途中で、無料エリアとなるOPEN ROADを使い、徒歩移動で2往復目を開始した。

 まず、有明エリアから青海エリアへの移動では、状況確認と撮影を行なうため、移動時間は気にせず、展示車両などを楽しみながらマイペースで歩く。折り返しての移動では、展示車両などに惑わされることなく、早歩きにならない程度のペースで歩いた。

 OPEN ROADとして設定されているこのエリアは、通常は「夢の大橋」「夢の公園」「夢の広場」などの名称で呼ばれている全長約1.5kmの緑道。関連記事の「【東京モーターショー 2019】70台近くのモビリティが展示される無料エリア『OPEN ROAD』」でも紹介しているように、多彩な車両展示が行なわれているほか、超小型モビリティの試乗コーナー、電動キックボード/パーソナルモビリティの試乗体験、グルメユニット「食べあるキング」のメンバーが推薦した名店グルメを販売する「グルメキングダム 2019」など、さまざまなコンテンツが用意されている。

 展示車両はスーパーカーや“痛車”、コンセプトカー、レースマシンなど幅広くラインアップしており、どの車両も多くの人が足を止めて撮影したり細部までのぞき込んだりしていた。

 もともと緑道として利用されているだけに、途中の至るところに小休止できるベンチが用意され、トイレなども定期的に設置。歩いて小腹が減ったところを狙うようにOPEN ROADの両サイドでグルメキングダム 2019のキッチンカーが出展しているほか、有明エリア側にはコンビニやファミレスがあって、散歩気分で歩くシーンにぴったりの環境が整えられている。

 それだけに、やはりこのOPEN ROADは単純な移動というより、展示車などを楽しみながらマイペースで歩き、結果的に会場間移動も実現できるといった利用方法がよさそうだ。念のために区間タイムを計測しているが、この45分という数字にはあまり意味がなさそうだ。

OPEN ROADの展示車両
グルメキングダム 2019のキッチンカーからは魅惑的な匂いが漂ってくる。OPEN ROADの両サイドという、歩いてカロリーを消費した状況を狙い撃ちにする絶妙な配置
青海エリア側にあるシンボリックなゲートを通過したタイムは45分ほど。とは言え、この時間は個人差によるところが大きいだろう

 青海エリア側からスタートする復路では、展示物などに気を取られずOPEN ROADをひたすら歩いてタイムを計測。結果は18分程度と、無料シャトルバスの所要時間と近い数字になった。ただ、青海エリア側はOPEN ROADと東京ビッグサイトがさらに5分前後離れているので注意が必要だ。

東京ビッグサイト青海展示棟とFUTURE EXPOの間にあるゲートを通過して計測スタート
OPEN ROADの途中には車道を横断する場所が数か所あり、クルマの通行で横断が制限されるシーンもある
タイムは18分程度

 また、7月に行なわれた東京モーターショーの概要説明会では、「OPEN ROADを全面的にコースとして設定する電動キックボードやパーソナルモビリティの試乗も移動手段として活用できる」と紹介されており、筆者もぜひ体験してみようと思っていたが、会場で案内されていた待ち時間は「60分~90分」。当日の様子をスタッフに確認したところ、午前中から多くの体験希望者が受け付けに足を運び、あっという間に待ち時間が増えていったとのこと。試乗車は豊富に用意したはずだったが、その予想を上まわる状態になっているという。

 試乗の開始前には試乗車について簡単なレクチャーが行なわれ、不安なく試乗できるようトレーニング時間も設定。試乗車の最高速は10km/hに設定されており、自分の順番になって試乗を始めると、所要時間は15分~20分ほどになるとのこと。また、試乗するためには受け付けの列に並んで待つことが必要で、事前に試乗枠を予約して、それまでブースなどをまわっているといった運用も行なわれていない。

 OPEN ROADの途中には橋などで緩やかなアップダウンがあり、こうした区間をモーターの力で楽に移動できるようになるメリットはあるが、現状では「新しいモビリティを体験しつつ、移動手段としても有効活用する」といった一挙両得を狙える状態ではないようだ。

電動キックボードとパーソナルモビリティの試乗受け付けには順番待ちの列ができていた
本格的にOPEN ROADを走り出す前に、受け付け裏のスペースでトレーニング
試乗の待ち時間は1時間オーバー。人気の高さがうかがえる
電動キックボードは13歳以上で身長が120cm以上、体重が100kg以下の人が試乗できる
FUTURE EXPOの「未来人」キャストによる電動キックボード試乗も実施。注目度は抜群で「何あれ!」「あれが試乗できるヤツ!?」といった声も出ていて、試乗コーナーが盛況になった理由の1つになったとも考えられる
OPEN ROADの夢の大橋にコースを用意する超小型モビリティの試乗も人気を集めていた

 取材当日は利用者の集中により、無料シャトルバスと電動キックボード/パーソナルモビリティの試乗を利用した会場間移動は確認できなかったが、移動についてある程度のイメージをつかんでいただけるのではないだろうか。

 また、両エリアのブース配置や日替わりコンテンツとして行なわれるイベントなどについては、東京モーターショーの開幕前に掲載した関連記事「会場がお台場全域の『東京モーターショー 2019』、どう回る?」でも紹介しているので、会場に足を運ぶ前に合わせて参照していただきたい。

編集部:佐久間 秀