東京モーターショー2017

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化

「ロッシの背中が見えた」と柳社長

2017年10月25日 開幕

2017年10月27日 プレビューデー

2017年10月28日~11月5日 一般公開日

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 プレゼンテーションを行なうヤマハ発動機株式会社 代表取締役社長 柳弘之氏
プレゼンテーションを行なうヤマハ発動機株式会社 代表取締役社長 柳弘之氏

 10月25日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第45回東京モーターショー2017」が開幕した。27日はプレビューデー、28日~11月5日は一般公開日となる。

 東7ホール EM02にあるヤマハ発動機ブースでは、開幕初日にプレスカンファレンスを開催した。出展概要で明らかにされているとおり、LMW(Leaning Multi Wheel)のラインアップ拡充はもちろん、バレンティーノ・ロッシ選手のサーキットタイムを上回ることを目的に2015年に発表されたMOTOMBOT(モトボット)の進化、そして新たなバイクロボットも発表された。

 ヤマハは、今回、3モデルの3輪LMWと1モデルのLMWを紹介している。うち1台は既に販売開始されている「TRICITY 155」だ。残る2台のうちの1台、「TRITOWN」は小型の電動モビリティで、ライダーのバランス移動によって旋回操作を行い、ヤマハ発動機 代表取締役社長 柳弘之氏は「身体の動きとともに意のままに操る乗り物」と表現している。その旋回はセグウェイのようでもあるが、LMWのリーンによって旋回時も安定しており、キックスターターよりやや大きい程度、およそ作業台車ほどのコンパクトさだ。このTRITOWNはカンファレンスのスタートを飾ったモデルで、ポップな映像で軽快さをアピールしていた。

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 ポップカラーの映像とともにカンファレンスのスタートを飾った「TRITOWN」
ポップカラーの映像とともにカンファレンスのスタートを飾った「TRITOWN」
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 TRITOWNは電動モビリティであるとともにかなりスリムな構造。ライダーのバランスで操作を行なう
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 TRITOWNは電動モビリティであるとともにかなりスリムな構造。ライダーのバランスで操作を行なう
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 TRITOWNは電動モビリティであるとともにかなりスリムな構造。ライダーのバランスで操作を行なう
TRITOWNは電動モビリティであるとともにかなりスリムな構造。ライダーのバランスで操作を行なう

 もう1台は大型LMWの「NIKEN」。NIKENを紹介するにあたり、柳弘之氏は「2018年、いよいよ本格的なスポーツセグメントにニューモデルを投入する」「間もなくお届けする」と発言している。TRICITYがLMWを安心感の面で訴求していたのに対して、NIKENはLMWの圧倒的なコーナーリング性能をスポーツライドで発揮できるモデル。さらに市販化を視野に入れた製品と表明したわけである。

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 スポーツセグメントに向けて“間もなく”投入する予定であるというNIKEN
スポーツセグメントに向けて“間もなく”投入する予定であるというNIKEN

 NIKENは東京モーターショー2015では「MWT-9」として紹介されていたモデル。アルファベット表記のほか漢字で「二剣」とも紹介された。二剣は同モデルのフロントフォークが左右2本づつであることを二刀流になぞらえたと言う。エンジンには水冷4ストローク並列3気筒/DOHC 4バルブを採用するとのこと。

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 二刀流になぞらえたと言う片側2本のフロントフォーク。ホイールは15インチ
二刀流になぞらえたと言う片側2本のフロントフォーク。ホイールは15インチ
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 エンジンは水冷4ストローク並列3気筒/DOHC 4バルブ
エンジンは水冷4ストローク並列3気筒/DOHC 4バルブ
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 スイングアームやエキゾースト、エンジンなどはMT-09をベースとしていると思われるデザイン
スイングアームやエキゾースト、エンジンなどはMT-09をベースとしていると思われるデザイン

「LMWの可能性は3輪から4輪へと広がります」と紹介されたのが「MWC‐4」。前後2輪であるとともに、LMWと発電専用エンジンを組み合わせている。LMWであるため、リーンした状態で展示されていた。デザインはモーターサイクルと楽器からインスパイアされたスタイリングとのこと。シャンパンゴールドのカラーリングでルーフを取り入れており、内装を見ると4輪自動車風のシートを前後2列並べている。フロントマスクは幅広な点はNIKENにも共通しているがMWC‐4のほうが柔らかく優雅だ。

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 LMWを4輪に広げた「MWC‐4」
LMWを4輪に広げた「MWC‐4」
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 ルーフを装備した横から見ると流線的なデザイン
ルーフを装備した横から見ると流線的なデザイン
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 フロントマスクはハンマーヘッドシャークのようでもある
フロントマスクはハンマーヘッドシャークのようでもある
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 シートはバイクのものではなく4輪自動車のものに近い
シートはバイクのものではなく4輪自動車のものに近い

ロッシ対MOTOBOTの対決の行方は如何に

 MOTOBOTについては、2015年からの3年間、速度、加速、減速の制御について調節を積み重ねてきたという。今回はステージ上のディスプレイで、ロッシとMOTOBOT、2台のサーキット走行映像を重ね合わせた形で、ラップタイムを計測、勝敗を決した。ロッシのラップタイムは85.740秒、これに対してMOTOBOTは117.505秒という結果で、今回はまだMOTOBOTはロッシに追いつくことはできなかった。ただし、MOTOBOTも時速200km/hを超える速度での自律走行を実用化しており、柳弘之氏は「ロッシの背中が見えた」と表現した。

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 MOTOBOTの目標はロッシのラップタイムに勝つこと。サーキットに場所を移していざ勝負
MOTOBOTの目標はロッシのラップタイムに勝つこと。サーキットに場所を移していざ勝負
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 ロッシが逃げる
ロッシが逃げる
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 MOTOBOTも200km/hを超える速度で追う
MOTOBOTも200km/hを超える速度で追う
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 しかしロッシのスピードにはまだ追い付いていけなかった
しかしロッシのスピードにはまだ追い付いていけなかった
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 3年を経てMOTOBOT Ver.2に進化
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 3年を経てMOTOBOT Ver.2に進化
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 3年を経てMOTOBOT Ver.2に進化
3年を経てMOTOBOT Ver.2に進化

音声で操作、自立してバランスをとる新ロボット「MOTOROiD」

 MOTOROiDは、概要が紹介されたときには斬新なデザインに注目が集まったが、デモンストレーションでは、「スタンドアップ」という声による操作でサイドスタンドを畳み自立するといった機能を搭載していることが明らかにされた。自立するバイクと言うとホンダの「Honda Riding Assist」が2017年1月のCESで公開されているが、ヤマハのMOTOROiDは音声認識技術を盛り込んだインタラクティブ性が斬新だ。柳弘之氏は、「MOTOBOTが中~高速での自律を目指して技術開発しているのに対し、MOTOROiDは低速時の、発進や停車時などの安定の制御化」を目指しているとのことだ。

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 MOTOROiDは柳弘之氏の声による操作で自立して見せた
MOTOROiDは柳弘之氏の声による操作で自立して見せた
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 EVであり、フロントフォークやバッテリー部分、カウルに独特のデザインが採用されている
EVであり、フロントフォークやバッテリー部分、カウルに独特のデザインが採用されている
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 バランス技術による自立は、低速走行時などでの安全性を向上させる
バランス技術による自立は、低速走行時などでの安全性を向上させる
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 左右補助輪を装着しているものの、自立中の安定度は高い
左右補助輪を装着しているものの、自立中の安定度は高い

4輪SUVコンセプト「CROSS HUB CONCEPT」

「CROSS HUB CONCEPT」は、MWC‐4とは異なり完全な4輪自動車スタイルだ。過去2回に渡り同社は4輪自動車コンセプトモデルを紹介してきたが、今回はSUVで、ヤマハファンのためのSUVを考えたとのこと。CROSS HUB CONCEPTは広大な荷台に2台のバイクを積載する形で展示されていた。2台のバイクは大小の競技用モデルで、モトクロスを楽しむ親子のトランポといった提案だ。外観デザインやドアの開け方なども特徴的だが、荷台の奥にはバイク用のツインショックを巨大化したようなサスペンションがむき出しで搭載されていた。これは実際にCROSS HUB CONCEPTのサスペンションとして機能するイメージであるとのことだ。

【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 ヤマハファンのためのSUVという「CROSS HUB CONCEPT」
ヤマハファンのためのSUVという「CROSS HUB CONCEPT」
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 ドアの開き方などユニークなデザインも特徴
ドアの開き方などユニークなデザインも特徴
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 後部の広い荷台スペースには大小の競技用モデルを積載。奥のYZ250FXのスイングアームの下から青いサスペンションが見える
後部の広い荷台スペースには大小の競技用モデルを積載。奥のYZ250FXのスイングアームの下から青いサスペンションが見える
【第45回東京モーターショー2017】ヤマハの未来、MOTOMBOT(モトボット)がVer.2に進化 バイク用のツインショックをモチーフとした巨大サスペンションはCROSS HUB CONCEPTの後輪サスペンションなのだと言う
バイク用のツインショックをモチーフとした巨大サスペンションはCROSS HUB CONCEPTの後輪サスペンションなのだと言う

石川ひさよし