イベントレポート

【ジュネーブショー 2018】フォルクスワーゲン、ショー前日にステアリングのない完全自動運転EV「I.D.VIZZION(アイ.ディ.ビジョン)」世界初公開

レベル5の完全自動走行は2025年から実現する可能性あり

2018年3月5日(現地時間)開催

完全自動運転EV「I.D.VIZZION(アイ.ディ.ビジョン)」と、フォルクスワーゲン乗用車ブランド CEO Dr.ヘルベルト・ディース氏

 スイス ジュネーブで開催される「第88回 ジュネーブ国際モーターショー」のプレスデー前日となる3月5日夜、フォルクスワーゲングループはモーターショー前日の恒例イベントとなっている「グループナイト」を開催した。

 グループナイトで世界初公開されたのは、レベル5の完全自動運転車である「I.D.VIZZION(アイ.ディ.ビジョン)」。I.D.ビジョンは、プレミアムクラスにフォルクスワーゲンが送り出す新世代のサルーンのコンセプトカーになる。

プレミアムクラスのクルマとなるI.D.VIZZION
I.D.VIZZIONのお披露目を終えた、フォルクスワーゲン乗用車ブランド CEO Dr.ヘルベルト・ディース氏

 フォルクスワーゲンは、EV(電気自動車)の新しい形として、「I.D.(アイ.ディ)」ファミリーを提唱。2016年のパリショーで世界初公開されたハッチバックタイプのコンセプトカー「I.D.(アイ.ディ)」、2017年のフランクフルトショーで世界初公開されたSUVタイプの「I.D.CROZZ(アイ.ディ.クロス)」、バン/MPVタイプの「I.D.BUZZ(アイ.ディ.バズ)」の3台を発表しており、完全自動運転EV「I.D.VIZZION」は4番目のI.D.モデルとなる。

I.D.VIZZIONの扉は観音開きタイプ
タイヤサイズは255/30 R24。ショーモデルのためか超大径ホイール

 このI.D.VIZZIONは、フロントを75kW、リアを150kWの電気モーターで駆動する4輪駆動システムを持ち、システム出力は225kW。111kWhのバッテリーを搭載し、航続距離(EU:NEDC サイクル)は最大665kmを実現。ボディサイズは5163×1947×1506mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは3100mmという大型サルーンサイズ。動力性能は、0-100km/h加速が6.3秒、最高速180km/h(レベル5、電子リミッター作動)と発表されており、その具体的な数値から市販化の可能性は非常に高いものとなっている。

 I.D.シリーズでは、ハッチバックタイプのI.D.が2020年、その後I.D.CROZZ、I.D.BUZZの順で市販化が予定されており、I.D.BUZZの市販化予定は2022年。その後、完全自動運転を備えるI.D.VIZZIONを市販化していくことになる。

I.D.VIZZIONのインテリア。ステアリングホイールが装備されていない
I.D.VIZZIONの運転はボイスコントロールなどを使って行なう

AIを搭載したI.D.VIZZION

 I.D.VIZZIONのEV技術コアとなっているのが、フォルクスワーゲンのEVプラットフォームであるMEB(モジュラー エレクトリック ドライブキット)。これはI.D.シリーズ共通のプラットフォームで、10億ユーロを投資してツヴィッカウ工場をeモビリティ専用の生産工場に転換、そこでの生産を行なっていくものだ。

 そして、I.D.VIZZIONで示された新しいコンセプトが完全自動運転の実現になる。フォルクスワーゲンは、現在のクルマをプログラミング型と定義。開発者はあらゆるシナリオを想定し、それをクルマに組み込んでいる。近未来は、それが機械学習型となり、未知の事実を推測によって把握することができるようになるという。

 このI.D.VIZZIONは、ステアリングホイールを持たないなどレベル5自動運転を志向するものだが、このようなレベル5自動運転について、2025年から実現する可能性ありとの見通しを発表している。

フォルクスワーゲングループのほかのブランドのクルマは、展示のみ行なわれた

編集部:谷川 潔