CES 2018
【CES 2018】ソフトウェアでレーダーなどの分解能を格段に向上。デンソーが展示した“魔法”みたいな「CS-SIGHT」
MaaSを明確に打ち出したデンソー。ブースの展示はソフトウェア中心(その1)
2018年1月13日 02:56
「CES 2018」で明確に感じるのは、自動運転、ADAS(先進運転支援システム)、デジタルコクピットという個々の流れを統合した先にあるMaaS(Mobility as a Service)へ向けた動きだ。
そのMaaSを明確に打ち出して展示を行なっていたのがデンソーのブース。MaaSコーナーと、技術コーナーの2つの展示となっていたが、技術コーナーは前年のようなロボットアーム展示ではなく、知能化技術などソフトウェアになっており、自動車に今要求されているものがなんなのか明確に示していた。
このデンソーの展示は数多くあるので、数回に分けて掲載する。
最初にお届けするのは、技術コーナーで展示を行なっている「CS-SIGHT」。現在研究中のCS-SIGHTは、レーダーやソナー、LiDARなどのハードウェアの分解能をソフトウェアだけで格段に引き上げるものだ。
展示は、2つのピラミッドをレーダーで認識する形で行なっており、普通に認識すると1つの山となるのだが、CS-SIGHTを通すときちんと2つの山となる。この技術を説明してくれたデンソー 先端研究3部 情報エレクトロニクス研究室 研究課 担当係長 堀井佑樹氏、同 研究課 北山敦史氏によると、特殊な計算式で計算するだけで分解能が向上するのだという。この技術は人体を輪切りに表示するMRI(Magnetic Resonance Imaging)などで使われているものと同様の理論で構築されており、デンソーの展示のポイントはそれをリアルタイムでできることにあるという。
何度か2人に説明を聞いたが、詳細は理解できず。CS-SIGHTのアイコンは、7色の1列の情報が入ってきたときに、複数の行列データにぶつかり、必要な赤いドットが出てくるものとなっているが、そのようなものだという。つまり、ある情報が入ったときに、あらかじめ蓄えてあったDBと照合、その結果で推定することになる。
見えてないものが見える“魔法”みたいな技術だが、液晶モニタ上では実際に分解能が向上しており、「CS-SIGHT」が可能な技術であることを示していた。
現在この技術は研究中で、デンソーとしては「まず知ってもらうことが大事」(北山氏)とのこと。CESで展示することで知ってもらい、要件に合わせての開発などへつながることを視野に入れている。
安全なクルマや自動運転車を作る上で、目の役割にあたるレーザーやライダーの分解能は高ければ高い方がよいだろう。しかしながら、それは部品が飛躍的に高価になることと同義で、ソフトウェアで分解能が上がるのなら、それを使わない手はない。クルマに組み込まれてしまったらなかなか見られない技術だけに、「CS-SIGHT」の展示は興味深いものとなっていた。