イベントレポート CES 2020

変わりゆくCES、2021年のクルマ関連展示はLVCCの新館へ。数年後にはSands Expoにモノレール駅を新設

2020年1月7日~10日(現地時間) 開催

CESを主催するCTAのCEO Gary Shapiro氏

 1月9日(現地時間)、世界最大の技術見本市「CES」を主催するCTA(Consumer Technology Association)は報道陣向けに記者会見を開催。成長し続けるCESについて紹介するとともに質疑応答を実施した。その中でCESの会場であるLVCC(Las Vegas Convention Center)拡張エリアが、モビリティに使われることを明らかにした。

IoTはInternet of ThingsからIntelligence of Thingsへ

Lesley Rohrbaugh氏(CTA Director of Research)

 最初に登壇したのは、CTAのDirector of ResearchであるLesley Rohrbaugh氏。Lesley氏は「2020 Tech Trends to Watch」でも紹介したように、IoTはInternet of ThingsからIntelligence of Thingsへというトレンドを紹介。IoT=“もののインターネット”と訳され、ものがネットにつながる時代の到来を象徴したIoTという言葉だが、つながることが当たり前になり、次は“ものの知能化”、つまりAIなどを使ったものが増え、デバイス側で処理を行なうエッジコンピューティングの時代へと突入していく。

Karen Chupka氏(CES Executive Vice President)

 CESのExecutive Vice PresidentであるKaren Chupka氏は、2020年のCESの規模などを紹介。CES 2020では1200社のスタートアップ企業を含む4400社以上が出展しており、CESは成長を続ける技術イベントとして世界中から注目を集めている。

 CTAのCEOであるGary Shapiro氏は、主に質疑に対応。年々成長するCESでは、米国ネバダ州ラスベガスにあるLVCCやホテルを広範囲に使って行なわれているが、展示のメイン会場となるのがLVCCになる。そのLVCCでは現在拡張工事が行なわれており、North Hallの西側にNorth Hallを超える長さの新館が作られている。この新館の使い道に聞かれたShapiro氏は、モビリティ分野がNorth Hallから新館に移ることを明らかにした。新館の完成タイミングは、2020年末となり、CES 2021が最初のイベントになる見込みとしている。この結果、これまで自動運転関連に代表されるクルマなどモビリティ分野の展示はNorth Hallで行なわれていたが、それがまるまる引っ越していくことになる。

 では、クルマ関連がいなくなったNorth Hallはどうなるのかというと、別の取材でヘルスケア関連になることが分かっている。モビリティ関連、ヘルスケア関連が次に伸びていく技術分野として期待されているわけだ。

North Hallの西側に建設中の新館

成長するCESと、モノレール駅の新設

 驚異的な成長を続けるCESというイベントについて、成長の秘訣をChupka氏に聞いたところ、衰退していく技術もあるが、伸びていく技術もあり、それらの産業が入れ替わり登場していることという。Shapiro氏も質疑応答でDVDについて触れていたが、かつてはDVDレコーダーなどDVD関連の多かったCESだが、現在はストリーミング技術に飲み込まれてしまった。CESではスタートアップの展示に力を入れており、LVCCとは別にSands Expo会場で多くの企業が小さいながらブースを構えている。そこから大きくなって、LVCCに大きなブースを構える企業もあり、そういった企業の成長を後押し、そして育成するための場を提供していることがCESの成長のポイントでもあるのは間違いない。

 ただ、CESに訪れる参加者が急激に増えてしまったため、LVCCとSands Expoの移動に時間がかかるのは、展示会の問題点として挙げられる。CESとして多数のシャトルバスを運行しているのだが、渋滞によって普段は5分程度の移動が1時間かかることもある。しかも、途中で降りるのは危険であるため、バスに閉じ込められて無駄な時間を過ごしたCES参加者も多いだろう。

 この点の解決についてChupka氏に聞いたところ、グッドニュースがあるといい、数年後にSands Expoにモノレールの駅ができるという。モノレールの駅ができれば渋滞とは無縁(ただ、モノレールに乗れないほどのラッシュが解決するかどうかは不明)なだけに、確実な移動が期待できる。「来年か?」と聞いたところ、「数年後(A few years later)」と笑って答えてくれたので、新館ができる2021年は無理だが、その先での解決に期待したい。

編集部:谷川 潔