イベントレポート CES 2020

ZF、レベル2+自動運転やレベル4自動運転を紹介。Microsoft「Azure」利用の開発ソリューションも提供するメーカーへ進化

2020年1月6日(現地時間) 発表

ZF CEO ウォルフ=へニング・シャイダー(Wolf-Henning Scheider)氏

 世界最大の技術見本市「CES 2020」において、世界的な大手サプライヤーであるZFはプレスカンファレンスを開催。同社 CEO ウォルフ=へニング・シャイダー(Wolf-Henning Scheider)氏は、すでに用意されているレベル2+自動運転システム、そして今後本格的になる完全自動運転のレベル4自動運転システムについて同社の準備状況を語った。

 ZFはドイツの大手サプライヤーで、スポーツカー好きなどには高品質なトランスミッションのメーカーとして知られている。そのZFも、サプライヤーとしてCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)に対応した多数のソリューションを用意。よく知られているところでは、日産自動車のスカイラインに搭載されるプロパイロット 2.0やBMWに3眼カメラの「Tri-Cam(トライカム)」が、レベル2+自動運転を実現するデバイスとして採用されている。

 レベル2+自動運転はここ数年急速に立ち上がってきた概念で、アクセル、ブレーキに加えステアリングを制御する“高度な”レベル2自動運転という意味。レベル3自動運転から機械にも責任が発生するが、レベル2自動運転は運転責任は人間にあり、レベル2+もそれは同様だ。では何が+(プラス)なのかは、人や会社によって位置づけが異なり、業界の共通認識としては高精度なHDマップを使い、高精度に車線をキープしての走行が可能。そのために、ステアリングから手を離しても走り続ける。高精度なレーンキープACCと思えばよいだろう。世界的には、日産のプロパイロット 2.0はレベル2+として認識されている。

レベル2+に関しては準備ができているとシャイダーCEO

すでにスカイライン プロパイロットで市場投入されるなど、レベル2+自動運転のサプライヤーでもあるZF

 シャイダーCEOは同社のCASE対応製品群を紹介した後、AD、つまり自動運転(Autonomous Driving)は現実だと語る。人間責任の高度ADAS(Advanced driver-assistance systems、先進運転支援システム)については、センサーや車載演算装置などフルシステムを2020年、つまりすでにサポート可能で、市場からの強い要求があるという。レベル2+の次のステップについては、自動レーンチェンジだとし、さらなる安全と快適性をもたらすとした。

 また、完全に自律で走行で、無人運転も可能なレベル4自動運転やレベル5自動運転に対応する「ZF ProAI」コンピュータも用意。レベル4用のECU(電子制御ユニット)を、大手商用車メーカー向けに開発中とし、市場への投入は2024年~2025年を予定しているとした。

センシングソリューションのパイオニア
CASE対応製品群
自動運転車を作るのは現実的
レベル2+自動運転
次の段階は自動レーンチェンジへ
レベル4/5自動運転は2024年~2025年

 また、将来のクルマをソフトウェア的に定義するというソリューションも紹介。このソリューションは、レーダーやカメラ、LiDARなどのセンサーフュージョン、サスペンション、ステアリング、ブレーキなどクルマの運動を統合する「cubiX」というソリューション名が紹介された。主な軸が6軸あることから、6面体が連想されるcubiXという名称になっているのだろう。

 このソリューションにはMicrosoftのクラウドサービス「Azure」を利用。開発コストなども抑えられる。ZFは自動車市場向けにハードウェアだけでなく、ソフトウェア製品やソリューションを供給するサプライヤーへと進化していく。

Microsoftのクラウドサービスを利用したソリューション
cubiXと名付けられていた
シャシー機能をコントロールしていく
ZFのProAIで動作する
プラットフォームとして用意
ハードだけでなく、ソフトも提供するサプライヤーに

編集部:谷川 潔