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独ZF、商用車向け技術サプライヤー「WABCO」を買収完了

今後は商用車向けのグローバルな統合システムサプライヤーとして機能

2020年5月29日(現地時間)発表

 独ZF(ゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン)は5月29日(現地時間)、すべての監督当局の承認を受け、商用車向け技術サプライヤーWABCOの買収を完了したと発表。これを受け、WABCOのニューヨーク証券取引所への上場は廃止となった。

 WABCOのZFへの統合により、それぞれの業界をリードする2社が力を合わせて商用車技術をさらに進化させ、クライアントやユーザーの要望に応える製品・サービスの提供を目指す。今後ZFは商用車部門のサービスポートフォリオとビジネスの拡大に注力するとしている。

 ZFのウォルフ=へニング・シャイダーCEOは「2社の合併により、商用車に関する技術力が大きく向上します。完全に補完しあう製品ラインアップとノウハウによって、われわれは例のない多様なソリューションおよびサービスを商用車メーカーとフリートユーザーに対してグローバルに提供できるようになります。われわれは変化する輸送業界の未来を担います。そして、お客さまや従業員、株主に対して高い価値を提供します。この買収は、当社の歴史上でとても大きなステップとなります。このようにして、われわれはパワートレーンおよびデジタル化の領域で進化を続けていきます」と述べている。

 将来的にWABCOはZFの10番目の「商用車コントロールシステム」事業部として活動を行ない、統合後もこれまで通りサービスポートフォリオの拡大と顧客ニーズへの対応を最優先する。

「この買収は前例のない社会的および経済的状況の中で手続きを完了します」と、ZFのシャイダーCEOは新型コロナウィルスのパンデミックとその影響についてコメント。さらに「私たちは現在、従業員の保護、生産の拡大、および会社の流動性の確保に注力しています。長期的には準備が整えられたこの統合はパンデミックの直接の影響を克服した後、私たちを将来に向けてさらに強くするでしょう」とコメント。

 新しい商用車コントロールシステム事業部は、世界45か所で従業員約1万2000人を擁し、ZFの商用車テクノロジー事業部、アフターマーケット事業部、およびグローバルの開発チームと緊密に連携する。

 WABCOのジャック・エスキュリエ会長兼CEOは引退することが決まり、新事業部のトップには、これまでZFの商用車テクノロジー事業部を統括していて、商用車分野において数十年の実績を持っているフレデリック・ステッドラー氏が就任する。

商用車市場向けのシステムサプライヤーを目指す

 WABCOとの統合を「商用車インテリジェンスのモバイル化」というパフォーマンス・プロミスと結び付けることで、ZFはさらに幅広い製品およびサービスをクライアントやユーザーに提供できるようになり、電動を含む駆動系システム、シャシーコンポーネンツ、センサー類、および統合型の先進ブレーキ、ステアリング、運転支援システムの供給を通して、OEMの技術的な競争力向上をサポート。さらに、商用車向けにデジタルフリート管理ソリューションやグローバルなアフターマーケットサービスも提供するとしている。

 また、商用車分野では道路交通の安全性向上、車両の高効率化や低排出ガス化と維持費の低減が望まれており、デジタル化が急速に進む中、ZFは業界の全ニーズに対応できる体制を整え、フリート管理におけるデジタルソリューション活用の増加は、システム全体の最適化と物流管理の効率化が進む機会となると結んでいる。