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ZF、世界初の外側に展開するサイドエアバッグを公開

側面衝突で乗員が受けるダメージを最大40%低減

2019年6月5日(現地時間)発表

車両の外側にエアバッグを展開して乗員へのダメージを低減

 独ZFは6月5日(現地時間)、世界初のプリクラッシュ乗員安全システムのプロトタイプを公開した。これは側面衝突の数ミリ秒前に、車両外側にサイドエアバッグを展開させるというもの。これにより、側面の衝撃吸収スペースを拡大することができ、乗員が衝突で受けるダメージレベルを最大40%低減させるという。

 同社によれば、ドイツにおける交通事故の乗員死亡者数のうち、およそ3分の1が側面衝突によるもの。側面衝突においては、車両が大きく変形した場合に、衝突した側面側の乗員が特に胸部に重傷を負う危険を抱えているという。今回公開した新型プリクラッシュ・セーフティシステムであれば、衝突車両のインパクトを最大で30%抑制し、乗員の負傷リスクを大幅に低減するとしている。

 このシステム最大の課題は、衝突が起こる前に確実に衝突が不可避であるかを判断し、外部サイドエアバッグを展開させることにある。システムがエアバッグの展開を決定してから充填を行なうのには、約150ミリ秒が必要となる。

 まず車載センサーが、衝突の可能性を素早く正確に認識する。これはカメラ、レーダー、ライダーをネットワーク化することで可能とした。次にシステムのアルゴリズムが状況を判断。衝突が不可避であり、エアバッグの展開が可能かつ有効であると判断すると、システムがインフレータを点火し、エアバッグを膨張させる。エアバッグはサイドスカートから上方に展開し、A-Cピラー間のドア部分で衝撃吸収スペースを拡張する。このエアバッグの容量は、車両によって異なるが280~400Lで、運転席用エアバッグの容量の5~8倍にあたるという。

車両の側面衝突を検知、判断し、数ミリ秒前にエアバッグを展開する

 なお、ZFはこの衝突が不可避であると予測する技術は、既存の標準的な安全技術の有効性をさらに高める効果もあるとしている。